山種美術館で「東山魁夷と昭和の日本画」展-所蔵の魁夷作品19点公開

川端康成が東山魁夷に「古きよき京都が失われていく前に描きとめておいてほしい」と依頼し、完成された京洛四季(けいらくしき)のシリーズより。「年暮る(としくる)」(東山魁夷、1968年)

川端康成が東山魁夷に「古きよき京都が失われていく前に描きとめておいてほしい」と依頼し、完成された京洛四季(けいらくしき)のシリーズより。「年暮る(としくる)」(東山魁夷、1968年)

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 山種美術館(渋谷区広尾3、TEL 03-5777-8600)で現在、昭和期を代表する日本画家・東山魁夷(ひがしやまかいい)の所蔵作品などを公開する特別展「没後10年記念 東山魁夷と昭和の日本画」が開催されている。

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 魁夷は1908(明治41)年横浜に生まれ、3歳のときに神戸に移住。東京美術学校日本画科を卒業後、1933(昭和8)年にドイツに留学した。1950(昭和25)年、画面中央に大きく道を描いた大胆な構図で知られる「道」を日展に出品し、風景画家として不動の地位を確立。東宮御所大広間の壁画「日月四季図」(1960年)や皇居新宮殿大壁画「朝明けの潮」(1968年)なども手掛け、1969(昭和44)年には文化勲章を受賞。1999年5月に90歳で逝去。

 同展では「友人だった作家・川端康成から『古きよき京都が失われていく前に描きとめておいてほしい』と依頼され完成させた」(山種美術館広報担当者)という京洛四季(けいらくしき)のシリーズ作品など同館が所蔵する魁夷作品19点を公開。加えて、昭和期の日本画を「それまでにない技法や画材を積極的に取り入れ、スタイルの多様化がおこった」と評し、魁夷と同時期に活躍した画家として、東京美術学校時代の同級生だった橋本明治、加藤栄三、山田申吾の作品、昭和の画壇に話題を振りまいた未更会(みこうかい)メンバーの作品も紹介する。

 そのほか会場では、幅9メートルを超える大壁画「満ち来る潮(うしお)」(東山魁夷)、「日本の花・日本の鳥」(上村松篁)、「朝陽桜」(橋本明治)など、1968(昭和43)年に完成した皇居新宮殿の宮内庁委嘱作品にちなんで制作された作品群を12年ぶりに一挙に公開。これらの作品は「新宮殿で作品を目にした同館創立者・山崎種二が感動し『一般の方にも作品を見ていただけるように』との思いから画家たちに直接依頼して同趣の作品を描いてもらった」という経緯を持つ。

 昨年10月に広尾に移転した同館の開館記念特別展第2弾となる同展。来場者については、「50~60代以上の女性客やご夫婦でお見えになる方が中心だが、移転後は男性客や学生、ベビーカーを押した若いご夫婦、外国人の方たちも増えている」(山種美術館広報担当)という。

 開館時間は10時~17時(入館は16時30分まで)。入場料は、大人=1,200円、大高生900円、中学生以下無料。月曜休館。1月31日まで。

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