渋谷の単館系映画館で上映リレー開始―プラスヘッズが初の映画配給

スーダンで今も続く紛争をテーマに、世界の情勢に無関心に生きる人々を皮肉なタッチで描いた群像劇「SING FOR DARFUR(シング・フォー・ダルフール)」(2007年、ヨハン・クレイマー監督)

スーダンで今も続く紛争をテーマに、世界の情勢に無関心に生きる人々を皮肉なタッチで描いた群像劇「SING FOR DARFUR(シング・フォー・ダルフール)」(2007年、ヨハン・クレイマー監督)

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 バルセロナの1日を描いた群像劇「SING FOR DARFUR(シング・フォー・ダルフール)」(2007年、ヨハン・クレイマー監督)が9月19日、映画館から映画館へとフィルムをバトンのように受け継ぎ順に上映する「リレー上映」を、シアターN渋谷(渋谷区桜丘町、TEL 03-5489-2592)を皮切りにスタートする。配給はプラスヘッズ(港区)。

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 スーダン・ダルフール地方で今も続く紛争と虐殺をテーマに非営利で製作された同作品は、紛争のためのチャリティーコンサートが開かれるスペイン・バルセロナでの1日を、そこで生活する人やコンサートに訪れる人のバトンリレーでつなぐ実験的な群像ドラマ。学生やチンピラ、日本人夫婦らが登場し、世界の情勢に無関心に生きる人々への皮肉を軽妙なドキュメンタリータッチで描く。

 人気CGアニメ「The World of GOLDEN EGGS」の製作を手掛けるプラスヘッズは、パルコ各店での大型複合イベントや企業とのコラボレーション企画など独創性の高いコンテンツビジネス展開で知られる。初の映画配給となった同作について、社長の臺(だい)佳彦さんは「この映画を最初に見たときに、わたし自身も自分の無関心さに失望した」と明かす。その後、関係者らと日本での製作に関するアイデアを話し合う中で「だったらあなたが配給してくれればいい」と提案され、「誰かが真剣に取り組まなければ、制作者や俳優たちの高い志や、それを受け止めるはずの多くの観客の『ココロ』がどこかにしまわれてしまうのではないか」と配給を決めたという。

 作風の一つである「リレー形式」を踏襲した渋谷でのリレー上映は、シアターN渋谷を皮切り(~10月2日)に、ヒューマントラストシネマ渋谷(同3日~23日)が受け継ぐ。その後の上映については「検討してくださっているところがあり、頑張る」と臺さん。「配給ビジネスは初めてで既存のルールに対する不勉強もあるので、どうしても無理なところは別なアイデアで乗り切る努力も」としながら、「劇場が単体ではなく相互にリンクすることで、たくさんの人がその映画を見るために情報を追いかけながら街と直接関係を持てるのでは。結果的に街の魅力が増幅したり、今までにないメリットが生まれたりするのでは」と付け加える。

 そのほか、GOLDEN EGGSのキャラクターイラスト入りの劇場鑑賞券付きTシャツ(2,500円)の販売や、ブレンダ・ヴォーンさんを中心に国内外から50人以上のアーティストが参加するサポートソング「Touch The Sky」の提供、大学や専門学校での特別試写会など、幅広い企画を予定する。

 今後の同事業の展開について、臺さんは「プラスヘッズが発信する新しいコンテンツとして、その中に劇場が入ると素晴らしいと思う」とし、「同時に街を舞台に遊ぶなど、いろいろなメディアと双方向に世界観を補完しながらプラスヘッズらしいモノを作っていきたい」と意気込む。

 公開初日のシアターN渋谷では、臺さんが舞台あいさつを行うほか、ヴォーンさんは「Touch The Sky」を披露する(ともに13時40分の回の上映前)。

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