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渋谷にストリートアートの資料室 大山エンリコイサムスタジオが開設

資料室 ©LGSA by EIOS, Photo ©Shu Nakagawa

資料室 ©LGSA by EIOS, Photo ©Shu Nakagawa

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 資料室・ギャラリー「Library and Gallery of Street Art by Enrico Isamu Oyama Studio(別称LGSA by EIOS ラグサ バイ エイオス)」(渋谷区桜丘町)が10月30日、渋谷・桜丘町にオープンする。運営は大山エンリコイサムスタジオ。

ギャラリー

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 美術家・大山エンリコイサムさんが収集した資料をベースとした管理資料を収納する資料室と、ギャラリーを併設する同室。イタリア人の父親と日本人の母親を持つ大山さんは、慶応義塾大学卒業後、東京芸術大学大学院修了。1970~80年代のニューヨークで始まった「エアロゾル・ライティング(=グラフィティ)」文化に影響を受け、その特有の線の動きを抽出し再構成した独自のモチーフ「クイックターン・ストラクチャー(QTS)」で知られる。米・NYブルックリンと東京の2都市で制作を行っている。

 同室は、ストリートアートとエアロゾルライティング、および隣接する文化領域の社会理解の浸透と向上を目的に位置付ける研究拠点。面積は約35平方メートル。書架エリアには、入門書や作品集、研究書、「世界的な貴重書」を含む書籍、フリーペーパーや展覧会フライヤーなどの印刷物、映像、プロダクトなど約500点(オープン時)の管理資料を収納。

 対象領域は、1970年代~1980年代のニューヨークを中心としたストリートアートを軸に古代~現代、西洋~東洋などの路上や公共の場における文化表現。「ストリートアートの拡張」を踏まえ、絵画や書、都市、建築などの資料も扱うほか、展覧会の関連資料や新規資料を選定した書棚なども展開。来場者が資料を手に取って読める閲覧デスクも用意。

 有料サービスとして複写やスタッフ同伴で貴重書の閲覧にも対応する。2026年2月には、同書の管理資料を中心とする検索データベースを公式ウェブサイトで公開予定。

 展示エリアでは、管理資料を軸にした研究の成果を踏まえて独自に企画する展覧会を開く。ストリートアートの歴史的背景や社会的文脈を多角的に読み解き、「深度のある視点」の提示を試みるという。

 オープニングは、「The New Beginning ーー2000年代の渋谷におけるライブペインティング」と題した企画。モニター3台を使い2000年代の渋谷のクラブにおけるライブペインティング映像を展示。2000年代の渋谷のクラブシーンは大山さんがライブペインティングを活発に行っていた場所で活動の原点の一つだという。

 2007(平成19)年に閉店したクラブ「恵比寿みるく」や、渋谷のライブハウス「SHIBUYA THE GAME」(現・宇田川町、当時・渋谷1丁目)などで撮影された映像は、「多様なペインターが交わり、ジャンルとしての自意識が育まれる様子」を記録した映像だという。4月5日まで。

 今後は、展示や資料に関連したトーク、読書会、スクール、動画の公開収録なども行い、ストリートアートをめぐる知的関心の触発や人的ネットワークの形成を図る。

 13時~18時。月曜~水曜閉室。

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