渋谷ヒカリエ（渋谷区渋谷2）9階・ヒカリエホールAで7月24日から、「バケモノの子」展が開催される。

細田監督が手掛けた作品の絵コンテエリア

　今月11日から公開されている映画「バケモノの子」を記念したもので、同作を中心に「時をかける少女」（2006年）、「サマーウォーズ」（2009年）、「おおかみこどもの雨と雪」（2012年）と、細田守監督が手掛けた作品の初めてとなる大規模企画展。原画などの展示に加えクリエーター集団とコラボレーションすることで、子どもやライトユーザーなども楽しめるような展覧会に仕上げたという。

　エントランスを通ると出迎えるのは、渋谷駅前スクランブル交差点を背景にした「バケモノの子」の主人公・熊徹と九太のパネル。続く絵エリアには、過去3作品の原画や細田監督が手描きした絵コンテ、貞本義行さんが手掛けたキャラクターデザイン画、美術監督たちが絵の具で描いている背景美術などを展示。「バケモノの子」エリアのものも含め約300点以上が並ぶ。

　「バケモノの子」エリアには、映画「ALWAYS三丁目の夕日」などで日本アカデミー賞最優秀美術賞を受賞している上條安里さん監修の下制作した、劇中に登場するバケモノ街「渋天街（じゅうてんがい）」のモニュメント（高さ5.5メートル、横幅4.7メートル）や、映画「ラストサムライ」に出演した経験を持つ刀匠・吉原國家さんらが作った、クマのバケモノ「熊鉄（くまてつ）」の大太刀をモチーフにした日本刀なども並ぶ。チームラボ（文京区）が手掛ける「熊徹道場」ブースは、リアルタイムで3次元CGによる架空の空間に入り込む体験をしながら動画撮影ができる「チームラボスタジオ」を活用した展示で、劇中に登場する「太刀さばきの修行」を体験できる。

　体験型展示コーナーには、カヤック（神奈川県鎌倉市）が手掛ける、対面して立つと千昭の等身大フィギュアが「未来で待ってる」とささやく「時をかける少女」のラストシーンを体験できるブース、「よろしくお願いしまあああすっ!!」と叫んだ後にエンターキーをたたき込むことで、「サマーウォーズ」の劇中シーンを体験できるブース、柱の傷に手をかざすと傷の高さに応じた雨と雪の姿がCGで現れるブースなども設置。デジタルサイネージとカメラ、モーションセンサーを組み合わせたフェイスブック連動型の「チームラボカメラ」では、各作品のポスターを背景に写真撮影ができる。

　場内にはショップを併設。クリアフォルダ（432円）やトートバッグ（1,512円）などの同展限定商品をはじめ、メディコム・トイ（上原3）が手掛ける各キャラクター「ウルトラディテールフィギュア」（1,296円または2,484円）、熊徹の剣を模したペーパーナイフ（4,500円）、雨と雪のマスコットキーチェーン（各1,728円）、サマウォーズのうちわ（400円）、などのオフィシャルグッズを販売する。

　人間界・渋谷とバケモノ界「渋天街」を舞台にした「バケモノの子」は、熊徹と渋天街に迷い込んだ少年・九太の師弟関係を中心に、渋天街での修行や冒険、渋谷でのアクション、親子の絆などを描いている。今月22日の段階で、興行収入は20億円を突破、動員数は150万人以上という。

　開催前日の23日に開いた開会セレモニーには、熊徹と九太の着ぐるみ、スタジオ地図（杉並区）社長でプロデューサーの齋藤優一郎さんらが登場。同展に特別協賛するサントリー食品インターナショナル（中央区）のスポーツ・機能性飲料「GREEN・DA・KA・RA」のCMキャラクターであるグリーンダカラちゃんとムギちゃんが、熊徹の刀をイメージしたミニチャンバラでスイカ型のくす玉を割るセレモニーを行った。　

　齋藤さんは「『時かけ』のころから細田監督と一緒に映画を作っているので、10年以上の付き合いになる」と振り返り、「映画を作ることは奇跡の積み上げ。あらためて見ると絵1枚1枚が美しく力強い。それが連なるからアニメーションは素晴らしい」と言い、「（同展は）作品が伝える主人公たちのバイタリティーとか未来を切り開いていく工程感などにみなぎっている展覧会」と話した。「映画とは違うアニメーションを体験していただきたい」と来場を呼び掛ける。

　開催時間は10時～19時（入場は閉場30分前まで）。当日入場料は、大人（大学生以上）＝1,700円、小人（高校生以下）＝900円、親子ペア（大人＋小人）＝2,400円。場内は一部を除いて写真撮影可。8月30日まで。