青学大で「明日の神話」招致記念シンポジウム-箭内道彦さんら登壇

パネルディスカッションでは多摩美術大学・鶴岡真弓教授と井口教授が持論を主張し合う場面も。「明日の神話」記念シンポジウムで

パネルディスカッションでは多摩美術大学・鶴岡真弓教授と井口教授が持論を主張し合う場面も。「明日の神話」記念シンポジウムで

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 青山学院大学(渋谷区渋谷4)総合研究所ビルで10月28日、来月中旬渋谷駅構内で公開される岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」招致と周辺の渋谷・青山エリアの文化発展をテーマにしたシンポジウムが開かれ、クリエーティブディレクターの箭内道彦さんらがパネルディスカッションを行った。

渋谷駅構内に搬入される巨大壁画「明日の神話」の一部

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 シンポジウムは、「明日の神話」招致活動の中心となったNPO法人・青山景観整備機構(本部=港区南青山5、以下SALF)と同大社学連携研究センターの共催で、文部科学省が推進する現代的教育ニーズ取組支援プログラム「教育GP」(旧現代GP)の一環で開催。

 渋谷区が大阪府吹田市、広島市と並び、招致合戦を繰り広げていた昨年は、周辺地域で繰り広げられた招致活動の詳細や壁画を設置した場合の「満足度」の統計、2025年渋谷の将来像について研究成果などを学生らが発表した。

 今年3月の渋谷駅構内への壁画設置決定を受け、今年は実際に恒久設置場所の審査にあたった岡本太郎記念館(南青山6)平野暁臣館長がゲストとして登壇。明日の神話や、没後も若い世代に支持され続ける岡本太郎の魅力について講演した。

 現在設置作業が進むJR渋谷駅西口と井の頭線改札を結ぶ「渋谷マークシティ」内・2階連絡通路部分ついて平野館長は「外国人も含め、太郎も壁画のことも知らない人が『偶然』出会える場所」と評価。「明日の神話は、見るのではなく向こうからシャワーのように降ってくる『浴びる』に近い作品。壁画をきっかけに新しいムーブメントが起きれば」と期待を込めた。

 後半のパネルディスカッションには、SALF理事長で青山学院大学の井口典夫教授、クリエーティブディレクターをはじめ、箭内道彦さんやアートディレクターの浅葉克己さん、宣伝会議の田中里沙編集室長らが参加。「太陽の塔」をまねた立体モチーフを作ったという幼稚園時代のエピソードを明かした箭内さんは「今思えば生まれて初めて作品を模写した人」と振り返り、「若い世代も皆が『太郎チルドレン』になっていけばいい。とんでもない絵が渋谷に来る、という印象」と壁画設置を前に心境を語った。

 「若いころから渋谷を拠点に仕事がしたかった」と渋谷エリアへのかつてのあこがれを語った浅葉さんはこの日、真っ赤なジャケットにシューズ、バッグまで赤で統一したファッションで登場。「昔は渋谷に来るといつもプラネタリウムが見られた。ハチ公だけではさみしかった」と渋谷の新シンボル誕生を喜び、「(設置されたら)いろんな人を連れて見せてあげたい」と話した。

 招致活動を中心となり進めてきた井口教授は「(明日の神話を)実際に見た時に純粋に素晴らしいと思ったから頑張ってきた」と明かし、「見えざる手が働いている。ふつうは接点を持たない人が一堂に会する力もある」と壁画招致で感じた絵の魅力について語った。

 明日の神話は現在すべての搬入作業を終え、最終調整を経て11月17日に公開予定。設置を記念し、同日よりBunkamura(道玄坂2)や岡本太郎記念館など渋谷・青山周辺エリアで「TARO Week」と題した複合イベントも開催する予定。

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