アートショップ「ナディッフ」、新天地で再始動-恵比寿に複合施設

恵比寿オフィス街の裏手にオープンした「NADiFF A/P/A/R/T」外観。ビルは隣接するアパート(写真右)を含め設計したという

恵比寿オフィス街の裏手にオープンした「NADiFF A/P/A/R/T」外観。ビルは隣接するアパート(写真右)を含め設計したという

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 恵比寿に「アート」の新たな潮流を――昨年閉店し、再開が待たれていた表参道の複合アート施設「NADiff(ナディッフ)」が7月7日、新天地・恵比寿に拠点を移し、再オープンした。恵比寿駅東口、通称「たこ公園」近くのオフィスビル街裏手に新たに構えた複合施設で、書籍販売、ギャラリー運営などを通じ「現代アート」を発信する。

店内の様子

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 出店場所はオフィス街の中にぽっかりと残った路地の奥手。施設を運営するニューアートディフュージョン(渋谷区恵比寿2)の芦野公昭社長は「ブラックホールに吸い込まれたような感じ。恵比寿の中でもこの場所が特に気に入った」と土地との「縁」を感じている。

 表参道に代わる新天地に恵比寿を選んだのは、「ターミナル駅で原宿(表参道)とも似たようなところだと思ったから」(芦野社長)。池袋西武にかつて存在した美術館「セゾン美術館」脇のミュージアムショップ「アール・ヴィヴァン」出身の芦野社長にとって、「西武(SEIBU)」の文字を並べ替えた「恵比寿(EBISU)」の地名も「深層心理に働きかけた」(同)という。

 新築した拠点の隣にある、それとは対照的な古びたアパート「第7美晴荘」。「今どき都会に残っていること自体が珍しいぐらい『完璧』な残り方。(新拠点は)この建物とセットで設計も考えた」(同)と、隣接するアパートもこの土地を気に入った大きな理由の1つだ。

 その名も「NADiff A/P/A/R/T(ナディッフ・アパート)」(恵比寿1、TEL 03-3446-4980)と名付けた新拠点には、地階と1階にナディッフの新拠点、2階〜4階にはそれぞれテイストの違うギャラリー、飲食店が入居する。表参道の流れを継承するのが、地階のギャラリー、1階の書店から成る「NADiff a/p/a/r/t」(TEL 03-3466-4977)。書店では独立系書籍などを含む和洋書やアートグッズなどを販売、ギャラリーでは年間約10本の企画展開催を予定している。

 2階には2つのギャラリーがオープン。「Art Jam Contemporary」(TEL 03-5449-8122)は、芸能マネジメントなどで知られるアミューズ(桜丘町)が運営する若手作家中心の現代アートギャラリー。編集者・後藤繁雄さんがディレクションする「G/P gallery」(TEL 03-5422-9331)は日本人写真家の作品を中心に扱うコンテンポラリーフォト&グラフィックアートギャラリー。出版社「artbeat publishers」と連動し、海外写真家の作品も積極的に取り上げていく。

 3階には、精神科医で現代美術コレクターの岡田聡さんが代表を務めるギャラリー「magical, ARTROOM」が六本木から移転オープン。ギャラリーでの展示に加え、雑誌出版や国内外アートフェアへの出店など「複合的」な活動を展開していくという。

 清澄白河のギャラリー「MAGIC ROOM?」は今回、最上階4階に「喫茶&スナック」として出店。トーキョーワンダーサイト渋谷のアートカフェ「kurage」や青山「A to Z cafe」などを手掛ける飲食店運営のジェリーフィッシュドット(広島市)と同ギャラリーが組み、カフェ、バー運営のほか、パーティーなどのイベントも企画する。

 表参道の旧店舗と大きく変わった点について、芦野社長は「これまでは同じ空間の中でよそと組めなかった。大きな箱になって考え方の違う『個別』のもの同士が隣り合えるようになった」と話す。東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス)内のミュージアムショップ運営に携わっていることもあり、長年にわたりこのエリアの街並みを見てきた芦野社長。

 来秋、恵比寿駅近くの駒沢通り沿いに移転オープンを予定している日本画美術館「山種美術館」などの例を挙げながら「ここ(ナディッフ)ができたことで皆に(恵比寿に)来てもらいたい」(同)と、今後さまざまな拠点のオープンを後押しする「きっかけになれば」と考えている。

 営業時間は12時~20時。4階は11時30分~24時(金曜・土曜・祝前日は翌4時まで)。

店内の様子(関連画像)アート書店「ナディッフ」が恵比寿に復活−複合アートビル新築へ(シブヤ経済新聞)表参道のアート書店「ナディッフ」が閉店−年内に新店出店へ(シブヤ経済新聞)日本画「山種美術館」、広尾に移転へ−新美術館の構想発表(シブヤ経済新聞)六本木の現代アート発信拠点が閉鎖−著名ギャラリー多数移転(六本木経済新分)

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