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「渋谷ヒカリエ」テーマにトークイベント-日比野克彦さんらが男性目線で

トークを展開する日比野克彦さん、山口昌彦さん、渡辺祐さん

トークを展開する日比野克彦さん、山口昌彦さん、渡辺祐さん

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 セルリアンタワー東急ホテル(渋谷区猿楽町)地下2階「能楽堂」で2月22日、64日後に開業が迫った「渋谷ヒカリエ」をテーマにしたトークイベント「渋谷文化茶会~渋谷ヒカリエからシブヤを考えよう~」が開催された。主催は東急電鉄、後援はシブヤ経済新聞。

能楽堂を会場に開かれたトークイベントの様子

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 2010年春に始まった同フォーラムは、渋谷の多様なビジネス・カルチャーシーンで活躍するキーパーソンと共に渋谷のまちや未来について考えるシリーズ企画。今月10日に開かれた「女子会」に続くもので、アーティスト日比野克彦さん、「散歩の達人」編集長の山口昌彦さん、エディター・パーソナリティーとして活躍する渡辺祐さんを招き、建築物としての渋谷ヒカリエや導線変化など、「男性ならではの視点」でディスカッションを繰り広げた。コーディネーターはシブヤ経済新聞の西樹編集長が務めた。

 「宙空に浮かぶ大劇場の構造は?」「街と交通を結ぶアーバンコアとは?」「巨大なデジタルサイネージとは?」「エコな取り組み」など、建物やスペックに対する素朴な疑問を「切り口」に挙げてトークを展開するとともに、企画に携わる「渋谷ヒカリエ」担当者3人が詳しい解説を加えて進行。建物の印象については、地下3階から地上3階、渋谷駅と宮益坂の傾斜面に沿って造られている構造に「裏側から見たときの大きさに驚いた」という山口さん。「非常にボリューム感があり、いろいろなパーツがくっついて『メカメカ』した感じ。そうした意味では未来的な印象もある」と話した。

 オフィス・劇場・商業施設などあらゆる要素が入っていることから、渡辺さんは「直線的な感じやオーブ(劇場)の持つ曲線など、いろいろなパーツが組み合わさっている印象。ブロックではめていった感じで、男子目線で言えば、模型を組み立てているような楽しさが感じられる」とも。

 11階~16階に位置する劇場「東急シアターオーブ」の舞台は間口約20メートル、奥行16メートルで、その間に1トンのものをつるすことができるバトン(幕昇降装置)が60本あり、1秒に2メートルのスピードで昇降できるというスペックを関係者が披露。これを聞いた日比野さんは「それだけでショーができる。予算が無くて何か見せたいときはバトンだけ見せれば」とし、間口8メートル・奥行3メートル・高さ4メートル50センチの搬入用エレベーターに関しても、「何かに使えそう」とバックヤードにも興味を示し、会場の笑いを誘った。

 ディアンドデパートメント、小山登美夫ギャラリー、コクヨファニチャーが参画し文化発信拠点を目指す8階クリエーティブスペース「8/(はち)」。日比野さんは「渋谷のクリエーターが集まって、何かできる装置にしていくことができればポイントになる。空間の環境としては、ものづくりが楽しいという匂いが充満しそう。モノはゼロから生まれるのでなく、何かの核があって、それに繭が糸を巻くようにして形になっていく。コート(同フロア中心にある多目的空間)と周りのショップが連動していけば」と期待を寄せた。

 渋谷の街について話題が及ぶと、池尻生まれの山口さんは「渋谷には、いろいろなものが生まれてくる面白さがある。いろいろな街を取材して思うのは、渋谷はまだ郊外で、都市としての成熟がこれからという感じも受ける。それだけ関わる余地がある街だから面白い。渋谷ヒカリエが、そのきっかけとなり、僕ら自身が面白がって関わっていくことがいいことなのでは」と話した。

 「提供されたものを消費するだけでなく、自分の力で何かをしたいと思ったとき、小さいけど店が持てる、何かを発表する場があるということを集約して『渋谷は面白かった』という時代を僕らはアーカイブとして知っている」と話すのは、渋谷に長く事務所を構える渡辺さん。「個人が隙間に入り込める余地がある、そういうものを排除しない街であってほしい」と渋谷の街に望みを託した。

 長く渋谷にアトリエを構える日比野さんは「スクランブル交差点にはサッカーで勝った時とかハイタッチをする人たちが集まる。一緒に喜びを分かち合いたい、人に会いたいというと思うと、東京では渋谷に集まる。人に会いに行くときは渋谷に行く。ランドマーク的な建物というより、人がいるというところが面白い。渋谷は人を育ててくれるところがある」と街の特徴を捉える。

 トークイベントの模様はUSTREAMでも閲覧できる。渋谷ヒカリエは4月26日開業予定。

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