山種美術館で「浮世絵入門」-「東海道五拾三次」も20年ぶりに披露

歌川広重「東海道五拾三次」を一列に並べ、「保永堂版」初摺りの特徴を細かく紹介

歌川広重「東海道五拾三次」を一列に並べ、「保永堂版」初摺りの特徴を細かく紹介

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 山種美術館(渋谷区広尾3、TEL 03-5777-8600)は5月29日より、歌川広重「東海道五拾三次」など約85点の浮世絵コレクションを通して、浮世絵の「いろは」を紹介する企画展「浮世絵入門」を開催している。

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 速水御舟を代表作家に、近代・現代の日本画を数多く所蔵することで知られる同館。同展について、監修を務めた国立歴史民俗博物館教授の大久保純一さんは「浮世絵は通常千~2千枚の単位で収集されることが多い。山種美術館の所蔵は量的には決して多いものではないが、有名絵師の代表的な作例がそろっており、ついさっきすり上げたような色残りなど保存状態が良い。吟味して集められたことが伝わる」と話す。

 会場では、コレクション85点を紹介しながら、雲母の粉を使って画面に光沢を出す「雲母摺(きらずり)」や、毛の生え際の精密な彫り「毛割(けわり)」など、浮世絵特有の技法を解説。20年ぶりに公開する歌川広重の連作「東海道五拾三次」を中心に、初期の浮世絵版画の中でも現存数の少ない紅絵の作品「踊り一人立」(奥村政信)、良好な保存状態の作品が少ないことで知られる東洲斎写楽(とうしゅうさいしゃらく)の「二代目嵐竜蔵(あらしりゅうぞう)の金貸石部金吉(かねかしいしべきんきち)」などもお目見えする。

 東海道五拾三次は、広重が生涯に描いた東海道シリーズ20種の中でも最初に手がけ、「最も優れた出来栄え」として知られる「保永堂版」。「人気作だったのですられた枚数も多いため、同じシリーズの同じ図柄でもすりのバリエーションが多様。山種美術館のものは今日『初ずり』と呼んでいるすりの特徴を持つ図が数多く含まれており、重要なそろい」(大久保さん)。

 会場地下1階ミュージアムショップでは、同展に合わせた関連商品も展開。東海道五拾三次に登場する人物や風景をあしらったタンブラー(1,050円)、A4ダブルクリアファイル(650円)、Tシャツ(2,800円)などを販売する。関連イベントとして今月5日17時15分より、大久保さんによる講演会「山種美術館の浮世絵版画―保永堂版《東海道五拾三次》を中心に」も開催(要予約)。

 開館時間は10時~17時(入館は16時30分まで)。入場料は、大人=1,200円、大高生900円、中学生以下無料。月曜休館。7月11日まで。

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