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裏原に米スティーブン・パワーズさんのストリートアート-「落書き」抑制に期待

スプレーで作品を描くスティーブン・パワーズさん

スプレーで作品を描くスティーブン・パワーズさん

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 裏原の「落書き」抑制を目的に、米アーティストのスティーブン・パワーズさんがストリートアートを描いた。

ブロック塀に「NOW IS FOREVER」の文字を描いた

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 パワーズさんは1968年米ペンシルベニア・フィラデルフィア生まれ。1984年、本格的にグラフィティを描き始め、1999年にアーティスト業に専念するためグラフィティを描くことなどをやめた。美術館での個展のほか、「街にアートを増やすこと」を目的にストリートアートを手掛けている。現在は「看板屋」として活動する。

 パワーズさんの日本初個展が企画される中、パワーズさん自身が「パブリックアートを手掛けたい」という思いを持っていた。しかし、ギャラリー側が場所探しなどをするには限界があり、スポンサーを探す中、米マーク ジェイコブス本社に話が舞い込んできた。日本法人のマーク ジェイコブス ジャパン(港区南青山3)がブックストア「ブックマーク」(渋谷区神宮前4)を出店していることや、「街をきれいにしたい」「(アートで)街が明るくなるのでは」と考え原宿で実施することになり、「落書き」されている建物や壁面などの所有者に交渉するも難航。つながりがあった原宿神宮前商店会の理事を通じ、同商店会の八木原保会長に協力を求めた。

 八木原さんによると、同商店会の地区をはじめ原宿エリアには「昔から(落書きが)多い」が、今年の年明け以降「街全体で増えている印象を受ける」という。各商店会、町会で予算を組んでいるほか、原宿地区美化推進委員会で落書き消しやゴミ拾いなどを行っているが、量が多いことや費用・備品・人手がかかることから「追いつかない」のが現状だという。ストリートアートは「他人の作品の上に絵は描かない」という傾向があるため、「少しでも抑制につながれば」という思いから企画に賛同した。

 パワーズさんは4月11日に来日。12日に「ブックマーク」エントランスの壁面、翌13日には「マーク バイ マークジェイコブス 原宿店」に隣接するコンクリート壁をライブペインティング。15日・16日に原宿通りを東に進み突き当たるブロック塀、17日に裏原・キャットストリート沿いの年内に取り壊しが決まっている「田辺マンション」(以上神宮前4)のシャッターを手掛けた。「ブックマーク」「マーク バイ マークジェイコブス 原宿店」の作品は残す予定だが、ブロック塀の作品は同塀所有者に著作権があるため、掲出期間は未定。

 マーク ジコブス ジャパンのディレクター・店舗開発、磯田浩之さんは「街をきれいにしたいと口で言うのは簡単だが、実際にやるのは難しい。今回のプロジェクトがきっかけになれば」と期待を込める。八木原会長は「抑制につながれば」という思いを持ちながらも、「いつかパワーズさんの作品の上から落書きされてしまう可能性はゼロではない。その後のフォローの問題も考えていかなくては」と課題を見据える。

 「ブックマーク」では今月18日、パワーズさんの作品集「A LOVE LETTE TO THE CITY」(3,564円)や、パワーズさん描き下ろしのグラフィックをプリントしたペン(540円)を限定販売。同日19時~20時には同写真集購入客を対象にサイン会を開く。

 パワーズさんの個展は5月6日まで、「GALLERY TARGET」(神宮前2)で開催中。

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