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サッポロビールが恵比寿に「ヱビスビール」ブランド新拠点 35年ぶり醸造復活

オープニングセレモニーより

オープニングセレモニーより

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 醸造施設を併設する「ヱビス」ビールブランドの体験拠点「YEBISU BREWERY TOKYO(ヱビス ブルワリー トウキョウ)」(渋谷区恵比寿4)が4月3日、恵比寿ガーデンプレイス内に開業した。

ブルワリーエリア

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 1994(平成6)年の恵比寿ガーデンプレイス開業と同時に開設した旧「ヱビスビール記念館」をリニューアルした同拠点は、サッポロビール(同)が「新コミュニケーション、新リアル体験接点、新商品」を一体にした「顧客接点戦略」の一環として開設。延べ床面積は318平方メートル。「過去・ルーツ」「現在」「未来」をテーマに「ビールの原体験」を提供する。

 「過去・ルーツ」と位置付ける、ヱビスビールの歴史物語や過去の写真などを公開するミュージアムエリアに対し、 「現在」と位置付けるのはブルワリーエリア。同社の前身・日本麦酒醸造会社は1890(明治23)年に創業し、恵比寿ガーデンプレイスのあった場所(旧目黒村三田)に恵比寿工場を構え、「ヱビスビール」のルーツとなる「恵比寿ビール」の醸造・販売を開始。1988(昭和63)年6月の工場移転に伴い同所でのビール醸造は終了していたが、施設では、35年ぶりに恵比寿の地で醸造を行う。

 施設内には、ドイツ製の醸造設備(製造能力130キロリットル)を採用するビールの醸造設備や、ビール開発を担当するスタッフの部屋を設ける。 「未来」に位置付けるタップルームエリアにはスタンディング含めて110席を用意し、飲食の提供などを行う。恵比寿工場で使われていた「ヱビス酵母」や1890年のヱビスビール誕生当時に使われていたとみられるドイツ産ファインアロマホップ「テトナンガー」を一部使う「ヱビス∞(インフィニティ)」(1,100円)や、ホップ2種類を「ドライホッピング」した春夏限定の「Foggy ale 2024」、麦芽100%、燻製(くんせい)麦芽を一部、ホップ「ハラタウトラディション」を一部使う数量限定の「煙々」(以上1,200円)など、最大6種類のビールを提供。加えてフィンガーフードなどの軽食(400円~800円程度)もラインアップする。支払いはキャッシュレスのみ。

 5月12日からはガイド付きツアー「YEBISU the JOURNEY」(45分、1,800円)も始める予定。ミュージアムとブルワリーを巡るツアーで、タップルーム内の「ビアストーミングルーム」エリアでの「ヱビス∞」1杯とつまみを試飲・試食も付く。今月24日からブランドサイトで予約を受け付ける。恵比寿ガーデンプレイスで働く人を中心に記念ビールを醸造するプロジェクトも始め、10月の恵比寿ガーデンプレイス開業30周年イベントで披露を目指す。

 野瀬裕之社長は「(恵比寿ガーデンプレイス開業時)この場所に地ビール(クラフトビール)の設備を作ろうという計画が実はあった。時代の流れなど課題があり頓挫したが、ヱビスビールはこの街で生まれてこの街が恵比寿という名前になった」と背景を振り返り、「そういう歴史があるとすれば、今一度、今の時代に合った新しいビールの魅力を提供する場所を、恵比寿の地に復活させたいと若い頃から思っていた。ヱビスブランドの新たな拠点ということだけでなく、35年ぶりにビール醸造の復活という大きなイベントでもある」と施設の開業を喜ぶ。

 続けて、「過去・現在・未来をつなぐ、新しく『圧倒的なビール体験施設』と位置付ける。恵比寿は私たちの誕生の地、ルーツでありこれからの座標軸でもある。ビールメーカーとして先の100年を見据えて、ビールの魅力を広げ・高める挑戦をしていきたい」と意気込み、「全世界から多くの方にお越しいただきたいし、唯一無二の体験をしていただければ」と呼びかけ。「この場所で新しいビールの提案、新しい時代のヱビスブランドを展開していきたい」とも。

 3日のオープニングセレモニーに出席した長谷部健渋谷区長は、「僕自身この街で育ち、小学校の工場見学といえば恵比寿のビール工場に来ていた。子どもの頃からビールの街だという記憶があった」と回想。「都心なので産物がなかなかない街だが、ブルワリーができることで、恵比寿産のビールができるということは地元と長としてもうれしい。街のPRにもなる。恵比寿・渋谷区の名所となることを期待している」と話した。

 営業時間は12時~20時(土曜・日曜・祝日は11時~19時)。火曜定休(祝日の場合は翌平日が休み)。入館無料。

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