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実録映画「アトムの足音が聞こえる」、渋谷で上映-音響デザイナーの足跡たどる

音響デザイナー大野松雄さんを追ったドキュメンタリー「アトムの足音が聞こえる」より©シネグリーオ2010

音響デザイナー大野松雄さんを追ったドキュメンタリー「アトムの足音が聞こえる」より©シネグリーオ2010

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 円山町のミニシアター「ユーロスペース」(渋谷区円山町、TEL 03-3461-0212)で5月21日、音響デザイナー・大野松雄さんを追ったドキュメンタリー「アトムの足音が聞こえる」のレイトショー上映が始まる。

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 1930(昭和5)年東京都生まれの大野さん。高校中退後、1949(昭和24)年に文学座の1期生として入団。1952(昭和27)年にNHK効果団2期生として入局後、効果音を担当するも翌年同局を退局し、フリーの電子音響デザイナーとして独立。国産テレビアニメ第1号「鉄腕アトム」(1963年~66年)で効果音を手掛けたほか、特撮SF映画「惑星大戦争」(1977年)など多数の映像作品の音響、「未来の東北博覧会」(1987年)などのパビリオンの空間音響システム・デザインなどを担当し、2009年には国際アニメフェアで「音響効果部門・功労賞」を受賞した。

 1950年代に誕生した、発振器「オシレーター」とテープレコーダーを用いる電子音楽のテクニックを用いてアニメ「鉄腕アトム」で「未来の都市の音」を生み出した大野さん。合金製のアトムの足跡に「ピョコピョコ」という音を当て、原作の「バキューン!」「ギョロギョロ」などの擬態語には自身の声を素材にオーラルサウンドという手法を用いてサウンド化するなど、「日本アニメの音響の歴史」の第一歩を記すも、「ルパン三世」第1シリーズにクレジットを残したのみで、表舞台から姿を消す。同作では、当時のフィルム素材や「秘蔵」音源、2009年に大野さんが開催したライブのリハーサル風景などを交え、時代背景や大野さんの人生哲学、映像音響の歴史をたどる。

 監督・脚本・編集を手掛けたのは冨永昌敬さん。1975(昭和50)年愛媛県生まれの冨永さんは、日本大学芸術学部映画学科監督コースに入学後、卒業制作で手掛けた「ドルメン」が2000年「オーバーハウゼン国際短編映画祭」で審査員奨励賞を受賞。「パビリオン山椒魚」(2006年)で長編監督デビュー以降、太宰治原作「パンドラの匣」(2009年)などを発表。音楽家・文筆家などで活動する菊地成孔さんやロックバンド「相対性理論」などのPVを手掛けるなど音楽にも造詣が深い。

 公開に伴い同館で今月22日、オープンデッキメーカー「ティアック」(多摩市)のオープンデッキで、イベントのために実機を修理した「TEAC 40-4」を使った大野さんのミニライブを開くほか、上映期間中はオープンデッキ「TEAC A-4010GSL」のプレミアム機を展示する。

 鑑賞料は、一般=1,700円、大学・専門学校生=1,400円ほか。同館を皮切りに全国で順次公開。

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