写美で「日本写真開拓史」展-幕末写真や貴重国産カメラなど

漆を重ね塗りし、文様を彫刻した幕末の国産カメラ「堆朱(ついしゅ)カメラ」(1863年ごろ、福井市立郷土歴史博物館蔵)

漆を重ね塗りし、文様を彫刻した幕末の国産カメラ「堆朱(ついしゅ)カメラ」(1863年ごろ、福井市立郷土歴史博物館蔵)

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 東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス、TEL 03-3280-0099、以下「写美」)は3月7日より、全国にある幕末~明治期の写真・資料を調査し体系化する「夜明けまえ 知られざる日本写真開拓史」シリーズの第2弾企画展を開催する。会場は3階展示室。

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 2007年に第1弾を開催した同シリーズは、全国の美術館、博物館などの公開施設所有機関が所蔵する幕末から明治時代中期の写真・資料を通じ、芸術としての表現が開花する以前の「写真開拓史」に迫る。「関東編」に続く第2弾では、中部、関西、中国地方の施設約2,000カ所に行ったアンケートを基に、同館学芸員が現地調査を実施。カメラ、浮世絵など初期写真にかかわる資料を展示する。

 会場では、都内未公開作品を含む貴重なオリジナル写真・資料を「であい」「まなび」「ひろがり」の3部構成で紹介。「であい」編では、現存する日本最古の写真をもとに制作された「ペリー遠征期」(1857年、写美所蔵)や、1860年(万延元年)に渡米した遣米使節が現地で撮った写真などから日本人と写真の「出会い」を振り返る。

 日本人初の「営業写真師」とされる鵜飼玉川による写真や幕末の写真研究資料などを紹介する「まなび」では、日本に定着し始めた「写真」の姿に迫る。ダゲレオタイプ(銀板写真)発明後、日本では幕末から明治中期にかけて広まった写真術「アンブロタイプ」で撮影された侍の写真や、明治初期のクローズアップ写真などを集めたのは「ひろがり」編。街の景観をとらえたパノラマ写真や名所をまとめたアルバムなど、個人向けの作品から社会的役割を担う作品まで写真史の広がりが浮かび上がる。

 このほか、写真に影響を受けた浮世絵とその元になった写真を見比べる試みや、幕末の国産カメラ「堆朱(ついしゅ)カメラ」の展示も。会期中の3月28日・29日と5月2日・3日には、同館所蔵の初期写真作品イメージを使い、幕末~明治の印画方法をレクチャーする「鶏卵紙」ワークショップを開催する。

 開館時間は10時~18時(木曜・金曜は20時まで)、月曜休館。入場料は、一般=500円、学生=400円ほか。5月10日まで。

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