昭和の花形「プレスカメラマン」に迫る写真展-恵比寿・写美で

会場では花形カメラマンの作品を通じ写真表現に迫る(写真=大束元、題不詳(女子プロレス)、1960年代ごろ)

会場では花形カメラマンの作品を通じ写真表現に迫る(写真=大束元、題不詳(女子プロレス)、1960年代ごろ)

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 戦前から戦後にかけてシャッターを切り続けた「プレスカメラマン」に焦点を当てた写真展「プレス・カメラマン・ストーリー」が5月16日、東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス内、TEL 03-3280-0099)で始まる。

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 新聞社に所属し、「記録」としてのプレス写真を撮り続ける一方で、作家性を強く打ち出した作品を雑誌などに掲載し自由な創作活動を見出した花形プレスカメラマンの功績を追う企画展。自社で写真部を組織する先駆けとなった朝日新聞社所属の写真家を中心に、当時の新聞、雑誌などを併せて紹介し、一時代を築いたプレスカメラマンの「表現」に迫る。

 1942年、第二次大戦・東南アジア戦域でのシンガポール陥落に際し、山下司令官、パーシバル中将会談のスクープ写真をカメラに収めた影山光洋(こうよう)は、戦時中の歴史的瞬間を数多く記録。朝日新聞社を退職しフリーに転身した戦後も、5歳で亡くなった息子の一生を収めた作品集「芋っ子ヨッチャンの一生」(1951年、新潮社フォトミュゼ刊)や実母の記録写真展「おふくろ」(1960年)などで独自の「家族像」を表現した。

 同時代に活躍した大束元(おおつか・げん)は、撮影、取材を同時にこなし、紙面上で写真と文を1人で担当するスタイルを確立した第一人者。無個性なニュース写真を撮る傍ら、モンタージュを取り入れたユニークな作品を発表。退職後は全日本写真連盟理事を務めアマチュア写真の発展にも尽力した。

 昨年、影山・大束両氏の作品をコレクションに加えた同館では、初公開の作品も展示。政治から一般大衆文化に至るまで高度経済成長期の日本社会を広い視野でとらえ続けた吉岡専造(せんぞう)や、大束・吉岡とともに「朝日出版写真部の三羽鳥」と呼ばれ活躍した船山克(かつ)さんら5人の写真家を中心とした約180作品を展示する。

 会場は3階展示室。開館時間は10時~18時(木曜・金曜は20時まで、入館は閉館30分前まで)。月曜休館。入場料は、一般=500円、学生=400円ほか。7月5日まで。

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