渋谷で「ピンク映画」特集上映-「おくりびと」滝田監督作品も

「おくりびと」滝田監督もピンク映画出身(写真提供=新東宝映画、「痴漢電車 下着検札」(1984年)より)

「おくりびと」滝田監督もピンク映画出身(写真提供=新東宝映画、「痴漢電車 下着検札」(1984年)より)

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 第81回米アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「おくりびと」滝田洋二郎監督の初期作品など、60年代から脈々と受け継がれてきた日本の「ピンク映画」を一挙公開する特集上映「WE ARE THE PINK SCHOOL!日本性愛映画史1965-2008」が2月28日、渋谷「シアター・イメージフォーラム」(渋谷区渋谷2、TEL 03-5766-0114)で始まる。

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 誕生から約50年、ポルノ色だけでなく「ドラマ」との両立にこだわり独自の文化を築いてきたピンク映画は、低予算で量産されるなどの背景から、監督にプロデューサー的資質が問われるなど、優れた人材を育てる場にもなってきた。アカデミー賞受賞で一躍「渦中の人」となった滝田監督をはじめ、「Shall we ダンス?」周防正行監督、「トウキョウソナタ」の黒沢清監督などの著名監督もピンク映画出身。近年では、欧州の国際映画祭でもピンク映画特集が行われるなど海外からの評価も高い。

 特集上映では、若松孝二監督らが草創期を支えた60年代をはじめ、黄金期の70年代、近年の作品に至るまで全42作品をラインアップ。有名映画のパロディーや時事ネタを盛り込むなどさまざまな手法を重ね、気取ることなく面白さを追求してきたピンク映画の歴史に迫る。

 「壁の中の秘事」(1965年)は、1963年に監督デビューした若松監督が、団地の閉塞(へいそく)感を描き出した初期作品。昨年死去した向井寛監督は、ピンク映画界の「巨匠」。特集では、借金返済に追われる株師とその娘の復讐を鮮やかな映像で描いた「ブルーフィルムの女」(1969年)を上映。

 「パッチギ!」井筒和幸監督もピンク映画出身。自主制作した監督デビュー作「行く行くマイトガイ 性春の悶々」(1975年)では、関西の田舎まちで暮らす若者の倦怠(けんたい)感を等身大に描き出す。滝田監督作品は1984年公開の「痴漢電車 下着検札」。中華民国初期の政治家、張作霖(ちょうさくりん)爆殺事件の際に失われた黒真珠を巡るミステリーで、全編松本清張さんの物まねで「怪演」する若手時代の竹中直人さんも見どころ。

 80年代作品ではこのほか、周防監督処女作「変態家族 兄貴の嫁さん」(1984年)や、黒沢監督「神田川淫乱戦争」(1983年)などが登場。近年にかけては、「感染列島」瀬々敬久監督の「アナーキー・イン・じゃぱんすけ」(1999年)や、瀬々監督とともに低迷期のピンク映画を支えた「四天王」のひとり、サトウトシキ監督の「不倫日記 濡れたままもう一度」(1996年)、「ピンク七福神」と呼ばれるニューウエーブ、今岡信治監督、田尻裕司監督らの作品を上映する。

 上映は2本立て(21プログラム)。料金は、一般1,400円、学生・シニア・会員1,000円ほか。3月20日まで。

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