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渋谷・桜丘の老舗立ち飲み居酒屋「富士屋本店」が復活 再始動で新メニューも

「立呑 富士屋本店」店内。コの字型のカウンターがかつての店を思い起こさせる

「立呑 富士屋本店」店内。コの字型のカウンターがかつての店を思い起こさせる

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 渋谷・桜丘で「立ち飲みの聖地」として親しまれ、再開発により惜しまれつつ2018(平成30)年に閉店した老舗立ち飲み居酒屋「富士屋本店」が「立呑 富士屋本店」(渋谷区桜丘町、TEL 03-6455-2473)として桜丘に再オープンして、12月24日で1カ月がたった。

閉店前の店で使っていた取り皿も「復活」

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 同エリアで100年以上前に創業した酒販店「富士屋本店」が自社ビルの地階に開いた富士屋本店は、昔ながらの立ち飲みスタイルで長年親しまれたが、現在2024年度の開業を目指し開発が進む「渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業」によるビル取り壊しに伴い、2018(平成30)年10月に閉店した。主に200円台~300円台で提供する小料理や、レモンと焼酎、炭酸を客の好みの味で楽しめるレモンサワーセットなどの「定番」にはファンも多く、47年の歴史に幕を閉じることもあり、閉店前の数日間や閉店日には長蛇の列ができた。

 同店を経営するダイニング富士屋本店(桜丘町)は、同店のほかにも、渋谷エリアや都内で和食やバー業態を運営。閉店後は「復活」も模索してきたが、新型コロナウイルスの流行が重なった。おかみのヨシエさんをはじめ、同店に長年勤め独特な接客が「名物」にもなっていたスタッフも高齢になり、新体制への移行に時間がかかったという。新店オープンに必要な資材調達も困難を極めたが、今年に入り訪日外国人観光客の個人旅行も解禁されるなどコロナ禍が一定の落ち着きを見せ始め、再オープンに向けて本格的に動き始めた。

 「立呑 富士屋本店」の看板を新たに掲げ「復活」した店舗は、以前同社直営のバーが出店していた場所にオープン。店舗面積は約28坪で、最大収容人数は50~60人。店の外にも10人ほどが飲み食いできる立ち飲みスペースがある。閉店から4年たち、かつて店を切り盛りしたおかみらは「勇退」し、スタッフも一新した。

 かつての定番メニューは、「ハムキャ別」(400円)をはじめ、「ねぎぬた」「スパサラ」「なすみそ」(以上300円)などを引き継いだ。「レガシー」を継承する一方で、トレンドや料理・酒の質にもこだわりメニューを見直した。かつての店にもあった、メニューを記す黒板には、新たな一品料理の名前がずらりと並ぶ。

 新メニューの中でも「お薦め」は、酢じめしたイワシをのりで巻く「鰯海苔巻き」(850円)や、「寒ブリの塩たたき」(1,000円)など。ワインにも合う「アメーラトマトオリーブオイル」(400円)や、「白子グラタン」(900円)などの洋食メニューのほか、蒸したてのシューマイは「牡蠣焼売」「海老焼売」(以上、2個400円)などを用意する。「ナポリタン」(750円)や「白子とあん肝 酒盗 唐墨 『痛風パスタ』」(1,300円)などの締め料理や、プリン(500円)などの甘味も。

 バリエーションを増やしたアルコールは、瓶ビール「サッポロ赤星」(490円)、生ビール「アサヒ マルエフ」(550円)などのビールをはじめ、「宝焼酎」(220ミリリットル500円~)、「ホッピー」(白・黒350円、割り材は炭酸150円ほか)、ウイスキー「ブラックニッカ」(750円)などをそろえる。日本酒は冷・かん共に600円。「本日の日本酒」も用意し、ワインはグラスワインのほかボトルでも提供する。オープン後は、焼酎や割り物、日本酒の注文が多いという。客単価は3,000円前後だ。

 新体制となった同店を率いる酒主涼介さんは「長年の文化や名物スタッフがいたから成立していたこともたくさんあり、かつての店と同じサービスはしたくてもできない。(新店は)0次会から最後の締めまで、使い方もいろいろ選んでもらえる」と胸を張る。閉店後にビルの取り壊しがあり、撤退作業などが慌ただしかったため、かつての看板や食器などはほとんど残らなかったというが、「唯一取り皿が残ったので、店でも使っている」と笑顔を見せる。

 営業時間は17時~22時(土曜は16時~)。日曜・祝日定休。

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