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渋谷・桜丘の老舗立ち飲み居酒屋「富士屋本店」閉店へ 惜しむ声後絶たず

仕事帰りの「憩いの場」としても親しまれた店内。味のあるカウンターが客を出迎えた

仕事帰りの「憩いの場」としても親しまれた店内。味のあるカウンターが客を出迎えた

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 渋谷・桜丘で「立ち飲みの聖地」として親しまれてきた老舗立ち飲み居酒屋「富士屋本店」(渋谷区桜丘町)が10月末で47年の歴史に幕を閉じる。

30年以上店に立ち続けたおかみのヨシエさん

 同エリアで100年以上前に創業した酒販店「富士屋本店」が自社ビルの地階に開いた同店は、「大衆立呑酒場」と書かれた看板をくぐり傾斜のある階段を下ると広がる昔ながらの立ち飲みで長年親しまれてきた人気店。「ハムキャベツ」「煮込みハンバーグ」「スパゲティーサラダ」など、主に200円台~300円台で提供する小料理や、レモンと焼酎、炭酸を客の好みの味で楽しめるレモンサワーセットなどを提供してきた。

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 注文時に代金を支払うキャッシュオンデリバリー制で、ちょい飲みや一人飲みでもフラッと立ち寄れる気軽さもあり、仕事帰りの「憩いの場」として訪れる常連客も多い。一枚板を組み合わせた大きな木製カウンターを中心に、壁沿いにも配されたカウンターの前には、所狭しと客が立つ。「多いときは100人近く入っていたと思う。数えてはいないけれどね」と笑顔を見せるのは、おかみのヨシエさん。

 「メニューは奥に貼ってあって、ここからは見えないから」と、何も見なくても注文できる常連客は店に入ってすぐの場所に立つ「暗黙の掟(おきて)」も同店ならではの光景。「もう店に立ち始めて34年ぐらいになる」と話すヨシエさんが、「しょっちゅう変えている。飽きちゃうからね」と客目線で作る料理を目当てに訪れる客も多く、閉店を惜しむ声が絶えないという。

 閉店は、東急不動産が中心となり進める再開発計画によるビル取り壊しに伴うもの。同店を運営するダイニング富士屋本店の加藤賢一郎社長は「おかみをはじめ、スタッフも高齢になってきている。自社物件だから続けてこられた特別な業態で、別の場所で同じような雰囲気を出すのは難しい」と、店の再開は考えていないという。

 店は10月末まで営業する予定だが、「状況によって前倒しするかもしれない」とも。

 営業時間は17時~21時(ラストオーダー)。日曜・祝日、第4土曜定休。