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渋谷駅西口仮囲いで「壁面アート」 アーティスト5人がライブペインティング

アーティストの選定からディレクションなどを担当したTokyoDexのダニエル・ハリス・ローゼンさん

アーティストの選定からディレクションなどを担当したTokyoDexのダニエル・ハリス・ローゼンさん

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 渋谷駅西口の工事現場「西口仮囲い」で10月26日、5人のアーティストが5日間かけて手描きした「壁画アート」が完成し、一般公開が始まった。

壁面アートを制作したアーティスト5人

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 渋谷駅周辺のまちづくり活動を行う「一般社団法人渋谷駅前エリアマネジメント」と、アートエージェンシー「TokyoDex(トウキョウ・デックス)」(世田谷区)のコラボレーションで実現した同企画。壁面アートの制作場所は「JR渋谷駅南改札」向かい、「渋谷フクラス」(道玄坂)側に渡る歩道近くの工事現場。「渋谷スクランブルスクエア中央棟・西棟」建設に向け区画整理が進む、「西口仮囲い」の全長約12メートルの白い壁を活用する。

 企画を担当する渋谷駅前エリアマネジメントの吉田七海統(なみと)さんは「(再開発で)駅前全体に仮囲いがどんどん増えていて、どこもかしこも真っ白い殺風景な壁ばかり。自分がどこに居るのかさえ分からない。アートを目印やサインとして施すとともに、アートで街のにぎわいを創出し、工事が続く渋谷の街のイメージを少しでも変えたい」という思いがあったという。

 一方、アーティストの選定からディレクションなどを担当したTokyoDexのダニエル・ハリス・ローゼンさんは「壁面アートを描いた経験のない若手アーティストたちに練習の場を与えたいという発想から、2年前に『Mural Rookies Project(ミューラル・ルーキーズ・プロジェクト)』を立ち上げ、アーティストの育成を行っている」とし、「壁を探している僕らと、仮囲いをどうにかしたいという渋谷駅前エリマネジメントのニーズが一致した」と今回のコラボレーション実現の経緯を明かす。

 今回の制作に当たっては、「壁面アート」経験のないアーティストを募集。静岡在住のアーティストJIRO(ジロー)さん、東京在住の画家デザイナーKAISO(カイソ)さん、新潟在住のぺインターLITTLE YORKE(リトルヨーク)さん、東京在住のイラストレーターSHIO(シオ)さんの4人のルーキーたちを選抜。さらに先輩アーティストとして、経験のないルーキーたちのサポート役にアーティストのJAY SHOGO(ジェイ・ショウゴ)さんが加わり、計5人のアーティストが10月21日~26日までの5日間にわたって、「私にとっての渋谷」をテーマにライブペインティングを行った。

 作品づくりは、全長約12メートル×高さ1.5メートルの壁面を4つに分け、各アーティストが3メートル×1.5メートルの壁面キャンバスを担当。JIROさんは「白黒の世界が、渋谷の華やかさでカラフルに染められていくように人生が色づけば」といい、ポジティブな決意を作品に込めたという。「ハチ公」「ビル群」など、渋谷のイメージをポップなカラーで仕上げたSHIOさん、人々の熱気が渋谷の天空に舞うイメージを抽象的に描いたKAISOさん、「渋谷の情報発信力」をポップな図形で表現したLITTLE YORKEさんと、各々テイストや個性の異なる4つの作品が仕上がった。

 さらに先輩アーティストのJAYさんは、各作品の境に額縁のようなラインアートを施し、個々の作品が一枚の絵に見えるような統一感を加えた。「渋谷の過去・現在・未来への時の流れ、渋谷につながる路線(場所と場所をつなぐ)、渋谷で働く人々、また渋谷に訪れる人々のつながり」をラインアートで表現したという。

 最後に吉田さんは「最近、AIで描いた絵が話題になっているが、ライブペインティングの壁面アートを通して、作品の先にも人が存在し、その奥に思いが込められていることを分かってもらえると思う。ボタン一つでできるものではないし、労力も掛かっているので。また11月には街を挙げて渋谷芸術祭の開催も予定し、今回の取り組みを皮切りに街行く人々にアートへの期待感が高まれば」とコメントを寄せた。

 一般公開は12月31日まで(継続、移設などは未定)。

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