芸術家が集ったベルギー・ラテーヌ村の企画展-渋谷Bunkamuraで

村人の生活を描いた象徴主義の画家ギュスターヴ・ヴァン・ド・ウーステイヌ「春」(1910年、個人蔵)

村人の生活を描いた象徴主義の画家ギュスターヴ・ヴァン・ド・ウーステイヌ「春」(1910年、個人蔵)

  • 0

  •  

 日本で公開される機会の少なかったベルギーの近代絵画を、芸術家たちがコロニーを築いたフランダース地方の村をテーマに紹介する企画展「フランダースの光 ベルギーの美しき村を描いて」が現在、渋谷「Bunkamuraザ・ミュージアム」(渋谷区道玄坂2、TEL 03-3477-9413)で開催されている。

[広告]

 芸術家たちが移り住み集団で創作活動を展開するコロニーは、19世紀半ばからフランスやドイツなどヨーロッパ各地で見られた現象。産業革命が発達し、生活環境が変わる中で芸術家が都会の喧騒(けんそう)を離れ、田園に制作の場を求めたことがきっかけとされる。

 同展で紹介する村シント・マルテンス・ラテーム(以下、ラテーム村)も、19世紀末から20世紀初頭にかけてフランダース地方の芸術家たちが集まった地域。「村の美しさ」「人の素朴さ」に加え、多くの画家を輩出したベルギーの都市ゲントが同地と至近距離にあったことが、コロニー形成の理由の一つに挙げられるという。

 会場では、ラテーム村で制作された89点の作品を、象徴主義・印象主義・表現主義という時代別3部構成で紹介。1988年、産業化を嫌って最初に同村に移住した彫刻家ジョルジュ・ミンヌや、ラテーム村に隣接する地域に生涯暮らして周辺の自然や人々の暮らしを描いた印象主義の画家エミール・クラウス、ドイツ表現主義やフランスのキュビズムの影響を受け、田園の生活を独自の造形で表現したギュスターヴ・ド・スメットなど、時代ごとに芸術家がたどった表現様式が、ラテーム村をモチーフに明らかにされる。

 20世紀初頭に年にベルギーに渡り、エミール・クラウスに師事した日本人画家・太田喜二郎と児島虎次郎の作品も併せて紹介。Bunkamura地下1階のカフェ「ドゥ マゴ パリ」では関連企画として、肉類をゆでた煮汁にクリームと卵黄を入れて作るゲント地方の郷土料理「ワーテルゾーイ」(1,680円)を提供する。

 開館時間は10時~19時(金曜・土曜は21時まで)。入館料は、一般=1,400円、大学・高校生=1,000円、中・小学生=700円。10月24日まで。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース