学ぶ・知る

渋谷駅東口地下広場に渋谷の「未来」描いたポスター 気候変動を「自分事」に

掲出されているポスター内に描かれた荒廃した「未来」の渋谷

掲出されているポスター内に描かれた荒廃した「未来」の渋谷

  • 24

  •  

 渋谷駅前のスクランブル交差点は水であふれ、洪水の被害から逃げ遅れた人々を救出に向かう複数のボートが浮かぶ――気候変動などによる豪雨や洪水などによって起こりうる渋谷の「未来」を描いたポスターが現在、渋谷駅東口地下広場に掲出されている。

東口地下広場に掲出されているポスター

[広告]

 掲出したのは、国連の難民支援機関UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)の活動を支える日本の公式支援窓口の「国連UNHCR協会」 (港区) と、アートやエンターテインメントを通して社会問題の解決に取り組むクリエーティブ集団「SEAME」(目黒区) 。ポスターには専用サイトにつながるQRコードを記し、チャリティーで資金を募り、支援金が集まるごとに「描き換えられた」渋谷の街が姿を現す仕掛け。

 渋谷の未来の姿を描いた作品はアーティスト「東京幻想」が担当。東京幻想は、2008(平成20)年に活動を始め、月刊「リベラルタイム」の表紙や米映画「ザ・ウォーカー」の国内ポスター、舞台の背景イラストなどを手がけるほか、現在は主にゲーム背景制作を中心に活動している。

 荒廃した様子の渋谷駅周辺の様子は、渋谷区が発表した洪水ハザードマップのデータに基づき描いたもの。1時間最大雨量 153ミリ、24時間総雨量 690ミリの想定最大規模の降雨があった場合、渋谷駅東口地下雨水貯留施設では最大1時間75ミリまでの降雨にしか対応できず、1~3メートルの浸水被害があるとされる。作品には、豪雨被害から逃げ遅れ建物に閉じ込められた人々を、救援ボートで避難させている様子を描いている。

 ほかにも、作品の中では気候変動について「列島各地で40度」の見出しで報じるニュース動画が屋外ビジョンに映される様子も。国際的にも自然災害のリスクが高いと指摘される日本から移住を試みる人たちに向けた「移住の申請、お手伝いします」と書かれた広告も描かれ、気候変動による避難や強制移住が起こりうるという可能性を「自分事化」してもらい、気候変動や自然災害により増える難民や避難民への支援にもつなげたいと考える。

 支援や意識の変化によって変えることができる未来を描く作品「今、行動を起こすことで実現できる未来」には現在、モザイクがかかっている状態。特設サイトからプロジェクトに対して1口(500円)の支援があるごとに、サイト上でモザイク1つは剥がれ、合計1万口の支援が集まると作品の全容が明らかになるという。募金は、必要経費を差し引いた金額が、国連UNHCR協会を通じて国連の難民支援活動に充てられる。

 1月31日まで。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース