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桜丘「渋谷サクラステージ」完成へ 渋谷駅周辺再開発の「ラストピース」

「渋谷サクラステージ」外観(写真左=SHIBUYAサイド、右=SAKURAサイド)。中央は区道「補助線街路第18号線」(SAKURAストリート)

「渋谷サクラステージ」外観(写真左=SHIBUYAサイド、右=SAKURAサイド)。中央は区道「補助線街路第18号線」(SAKURAストリート)

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 渋谷・桜丘エリア約2.6ヘクタールを一体的に整備する大規模再開発のランドマークとなる大型複合施設「Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)」が11月30日、完工する。

JR線頭上に開通する「北自由通路」

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 老舗の大衆居酒屋や青果店、楽器店なども立ち並ぶ桜丘エリアで2019年から工事が進められてきた、100年に一度といわれる渋谷駅周辺の再開発の目玉の一つとなる「まち」が同23日、報道陣に公開された。施設は順次開業し、店舗なども出そろった来年7月26日に「まちびらき」となる予定。

 事業名は「渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業」。東急不動産や地権者らが参画し、渋谷駅南西部に広がる桜丘エリアに、渋谷駅や周辺地区を結ぶ新通路や、駅周辺再開発最大面積となるオフィス、渋谷駅直結唯一の集合住宅、テナント数100店舗を超える商業施設、子育て支援施設などを整備する。

 地権者らと共に再開発に参画する東急不動産の星野浩明社長は、1998(平成10)年に旧再開発準備組合が設立されたところから地元有志によるまちづくりの検討が始まったことに触れ、「その後25年という長い歳月を経て120人の地権者の方々の思いを形にした。多くの関係者さまと、莫大な時間とリソースをつぎ取り組んだこの再開事業が竣工することで、 地元の方々の悲願であった街の分断を解消し渋谷の特徴でもある谷地形を克服する大規模な基盤整備がいよいよ完成する」とし、渋谷サクラステージを「100年に一度といわれるこの渋谷の再開発で、渋谷駅中心地区のラストピース」と表現した。

 SAKURAタワー3~4階部分やSAKURAテラスの外壁には、桜の花びらが風の流れなどで変化する様子を表現したピンク色のデザインをあしらうガラス2枚を重ね、「モアレ」と呼ばれる現象で歩きながら見るとデザインが動いて見える仕かけを採用。ビジョンを立体的にレイアウトするサイネージ「ストリートビジョン」、JR渋谷駅線路側の外壁に設置する全長117メートルの「レールビジョン」など随所にサイネージも配置する。

 「まち」は、駅と線路に沿って東側に位置する「SHIBUYA(渋谷)サイド」(A街区)と、ソメイヨシノ約20本を植えるなど新たに整備された区道「補助線街路第18号線」(SAKURAストリート)を挟んで西側に位置する「SAKURA(桜)サイド」(B街区)をメインに構成。ビル名は、「SHIBUYA サイド」のA1棟が「SHIBUYAタワー」、A2棟が「セントラルビル」で、「SAKURAサイド」のB棟が「SAKURAタワー」、B 先端棟は「SAKURA テラス」。

 道路の上空には2つの歩行者デッキ(横断橋)を架け、丘陵地となる桜丘エリアと駅との高低差を解消する。南側の横断デッキの両サイドには、まちの中心となる広場「にぎわい STAGE」が出現。床面には人工芝を敷き、水盤を設置。広場内には小型照明約1200台やミスト噴出口、スピーカーなどを備えた木のような形の什器を配し、日没後にはセンサーで取得する気象情報や人流などのデータに合わせて、照明や音響などが変わる空間演出を行う。

 JR線の頭上を東西方向に横断する2つの新通路も開通する。駅東側にある高層施設「渋谷ストリーム」とJR線路の頭上3階部分でつながる新通路「(仮称)北自由通路」と、渋谷サクラステージの南端とホテルメッツ側(JR新南口改札口)をつなぐ跨線橋「(仮称)南通路」。両通路は共に12月1日に暫定的な供用が始まる。2階部分には「渋谷駅西口歩道橋」とつながる「渋谷駅西口歩道橋デッキ」も開通。北自由通路に沿って建設工事が進むJR「(仮称)渋谷駅南口橋上駅舎」は2027年の完成を目指すが、2024年秋には新改札が一足早く開通する予定だ。SHIBUYAタワー地下2階は、来年夏に開通予定の「西口国道地下通路」で渋谷フクラスとつながるという。

 この日は、大型 LED ビジョンを常設し厨房(ちゅうぼう)施設も併設するSHIBUYA タワー3階のイベントスペース「BLOOM GATE(ブルームゲート)」や、同タワー北端に位置する地下2階~地上3階をつなぐ階段・エスカレーター・エレベーターから成る立体動線「アーバン・コア」と併設する「ときめきSTAGE」など施設の内部も公開。「にぎわいSTAGE」のシンボルとなるのは、「渋谷・桜丘(Shibuya Sakuragaoka)」のイニシャル「S」をかたどる外壁の3階~4階をつなぐ屋外階段「しぶS」で、ピンクの鏡面曲面も広場を彩る。ほかに、SAKURAサイド西側に屋外広場「はぐくみSTAGE」も整備。シンボルツリーとなる山桜や宇宙桜などを植えるほか、施設内の子育て支援施設と連携する菜園も設けた。同広場に隣接してC棟として「日本基督教団 中渋谷教会」が建て替えらえている。

 オフィスフロアは、SHIBUYAタワーとセントラルビル、SAKURAタワーにそれぞれ展開。SHIBUYAタワー地下2階~地上5階と、SAKURAタワー地下1階~地上5階に入る商業施設は、総店舗面積約1万5200平方メートルで、約100店のうち東急不動産が担当する約半数は全てが契約済み。地権者が所有する区画が多い低層部は路面店も多く商店街のようなイメージになり、テナントで構成する区画は「最先端のトレンドやカルチャー」を意識し、「ブランド体験型テナント」が約4割となり、まちびらきまでに全店がオープンする。

 集合住宅は、SAKURAタワー16階~30階に「ブランズ渋谷桜丘」(総戸数155戸、東急不動産の所有は48戸)を整備。同タワー6階~16階には、ハイアットグループの「ハイアットハウス」都心初進出となるサービスアパートメント「ハイアットハウス東京渋谷」(全126室、来年2月26日)が入り、キッチンや洗濯乾燥機、共用部分にラウンジやフィットネス、プールなどを完備。中長期滞在者や外国人ビジネスパーソンなどの利用を見込む。5階には2~5歳の未就学児を対象とする子育て支援施設「CTIS Kindergarten, Shibuya」(来年4月)が入る。

 SHIBUYAタワー38階には、ラウンジバーやダイニング、季節食材を生かした料理を提供するシェフズカウンター型のレストランなどを備える飲食関連の起業支援施設「manoma(まのま)」が来年2月にオープンするほか、4階にはインディーゲームクリエーターの「聖地」を目指す次世代クリエーターのグローバルクリエーション拠点「404 NOT FOUND」が7月にオープンする予定。イベントスペースや書店、フードコートなどで構成する。

 まちびらきを行う来年7月26日はパリオリンピック開会式でもあることから、同大会関連のイベントも予定する。

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