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「39(サンキュー)」 ポケベル最後の日、渋谷で遊んだかつての若者も感謝の言葉

90年代、ギャルなどの若者が闊歩(かっぽ)したセンター街

90年代、ギャルなどの若者が闊歩(かっぽ)したセンター街

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 「724106(何してる?)」「8181(バイバイ)」――90年代に社会現象にもなり、渋谷を訪れるティーンたちの必需品にもなっていたポケットベル(ポケベル)が9月30日、サービスを終了する。国内で唯一、無線呼び出しサービスを展開していた東京テレメッセージが9月30日付けでサービスを終えるため。

元ヤマンバギャル「あぢゃ」さん(現在)

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 携帯電話が登場する以前、無線呼び出し通信機器として一時代を築いたポケベルは、個人需要がピークを迎えた90年代には若者の間でも広く普及。歌手・安室奈美恵さんをまねたアムラーファッションや、雑誌「egg」の影響などで、「SHIBUYA109」やセンター街を歩く「コギャル」「ギャル」などが一世を風靡(ふうび)する中、「ベル」と呼ばれ愛用された端末は、10代にとって友人や仲間との関係をより強くするツールの一つだった。

 ブーム真っただ中だった90年代に女子高生だった会社員の女性(39)は「渋谷に着いたらひとまず、公衆電話に張り付いてメッセージを入れまくっていた。マックなどで返信が来るのを、人間観察をしながら待つ」と、当時ポケベルが渋谷での「遊び」になくてはならない存在だったと振り返り、「女子校に通っていたので、主に男子校の人たちに送っていた(笑)」と振り返り、「押せる速さを競った。相当早かったと思う」と懐かしむ。

 雑誌「popteen」のモデルも務め、真っ黒に焼いた肌やハイブリーチで白く染めた髪やシールを貼り付け派手に飾ったメークなどで脚光を浴びた「あぢゃ」さんも、ポケベルのヘビーユーザーの一人。「最初は姉のお古や、展示品を持って『若いのにベル持ってる!』と自慢目的で(ポケベルに付いていた)チェーンもわざと見えるように見せびらかしていた」と話し、ポケベルは当時憧れの品だったという。

 「とりあえず、マルキュー(109)かセンターマック(渋谷センター街のマクドナルド)、メッカ(プリクラのメッカ)とか」と当時の渋谷での遊び場について触れながら、「恥ずかしいときはポケベルで告白もした。ハートマークで告白して、相手からOKだと『0』で〇の意味。だめなときは『74(なし)』と来て、今でも車のナンバーで『74』と見ると思い出してつらい…」と青春らしいエピソードも。

 サービスが終了することについては、「ショックー!」と声を張り上げ、「相手と顔を合わさずにやりとりできるようになった最初の機械。ポケベルがあったおかげでどこでも待ち合わせできるのは画期的だった。通信代がかかったのでお金の大事さも分かった」と、感謝の言葉を口にする。

 「39(サンキュー)」。90年代、若者の「友達ネットワーク」を支え、さまざまなストーリーを生んだ通信ツールが、その歴史に幕を閉じる。

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