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渋谷で「おかんアート」展 都築響一さんら収集、「共感呼ぶ」手芸作品1000点超

「おかんアート」が並ぶ場内には、「おかんアーティスト」の写真なども掲出する。

「おかんアート」が並ぶ場内には、「おかんアーティスト」の写真なども掲出する。

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 母親たちが作る手芸作品「おかんアート」の展覧会「Museum of Mom’s Art ニッポン国おかんアート村」が1月22日、渋谷・公園通りの「東京都渋谷公園通りギャラリー」(渋谷区神南1)で始まる。

「おかんアート」を解説する都築響一さん

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 「おかん」は関西方面の方言で「母親」を指す愛称で、同展の「おかんアート」は母たちが作る手芸作品のことを指す。同展は、10年ほど前から「おかんアート」に注目していた作家・編集者・写真家の都築響一さんと、兵庫を拠点に下町の魅力発信を行っている「下町レトロに首っ丈の会」がキュレーションしている。

 1000点以上の作品を集積する今回。「下町レトロに首っ丈の会」のネットワークで集めた作品が多いことから9割程度が兵庫・神戸の「おかん」たちの作品で、作者不詳のものもあるが20~30人程度の作品となっている。都築さんが道の駅で購入した作品も一部並んでいる。場内は「バザーのようにはしたくなかった。見え方を変えれば格好良くなるのでは」と、「雑誌の中を歩いているよう」に構成。壁全体に都築さんが撮影した作品の写真、出品する「おかん」アーティストの写真やエピソードなどを掲出している。

 作品は、結束バンドで作る犬、ペットボトルのキャップを使ったストラップ、糸や布を貼るアサリなどの貝、指先を動物の顔にした軍手、発泡スチロールを使うカエル、ビーズ作品、毛糸などで作るキューピー人形の服、布のわらじ、トイレットペーパーカバーの「ロールちゃん」などが並ぶ。タオルで作る犬の作品は、壁に工程を掲出し作り方を紹介している。

 「おかんアート」は手芸キットで作ることが多いことから、地域性などは無く各地に同じ作品が存在するが「個人の差が出てくるのがすごく面白い」と都築さん。さらにあまりお金を使わず身近にあるものを使い、キッチンやダイニングテーブルなどで作られることが多いことから、片手にも収まる程度の小型の作品が主流になっているという。

 特別展示「おかん宇宙のはぐれ星」は、都築さんが注目する「独自のゾーンに入った」作家3人の作品を集積。総菜用のトレーや菓子のおまけ、バランなど廃材を使って作ったオブジェは、名画座・早稲田松竹の掃除婦をしていた荻野ユキ子さんの作品で、同劇場のエントランスやトイレなどに飾っていたという。今年80歳になる嶋瑛子さんは新聞紙のバッグとチラシ広告を切り抜いたコラージュ作品を手掛けている。福祉施設に通所している野村知宏さんはチラシ広告を折って箱を作り続けている。

 都築さんは「『おかんアート』で展覧会ができるとは夢にも思っていなかった」と開催を喜び、「(『おかんアート」はアート界で)メジャーではないが、皆が一番作っているマジョリティーではあるので、作る人・見せる人・見る人が同じレベルで楽しめる展覧会なのでは。『見たことがある』というのが圧倒的に多い感想だと思う。共感を与えられるような展覧会ができたら」と話す。

 2月(予定)には都築さんと「下町レトロに首っ丈の会」の山下香さんによるトークイベントを同ギャラリーのユーチューブチャンネルで配信するほか、3月4日・19日には都築さんによるギャラリートーク(事前予約制)を行う。

 関連イベントとして、参加型企画「おかんアート村 クラウド・ミュージアム」も展開。会期中、「おかんアート」の写真をハッシュタグ「#おかんアート村」を付けてツイッターやインスタグラムに投稿すると、同ギャラリーのウェブサイト上に表示される。

 開館時間は11時~19時。入場無料。月曜休館(2月21日は開館し翌22日が休館)。4月10日まで。

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