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渋谷・忠犬ハチ公像が一日限定であたたかい「部屋」に アーティストが制作

雨の中、あたたかい「部屋」に包まれる渋谷駅前・忠犬ハチ公像

雨の中、あたたかい「部屋」に包まれる渋谷駅前・忠犬ハチ公像

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 駅前で亡き主人を待ち続けた「忠犬」にあたたかい部屋を――渋谷駅前のシンボルとなっている「忠犬ハチ公像」が現在、ベッドやソファなどが置かれた一日限定の「部屋」に滞在している。

作品の前に立つアーティスト西野達さん

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 ハチは1923(大正12)年11月10日、秋田県大館市で生まれ、今年生誕100年を迎えた。生後2カ月ごろに主人となる旧東京帝国大学元教授の上野英三郎博士に譲り渡され渋谷での暮らしが始まり、1925(大正14)年の上野博士急逝後も、渋谷駅の改札口前で亡き博士の帰りを待つハチの姿が目撃されていたことから、その姿を形にした銅像が作られ、駅前の待ち合わせ場所や、連日外国人らも訪れる観光名所になっている。

 11月12日の一日限定で出現した「部屋」は、現代アーティスト西野達さんが手がけた作品。西野さんは2011年にシンガポールの像「マーライオン」を取り囲む「ホテル」を建て話題となった「マーライオンホテル」などの代表作でも知られる。12日未明の1時ごろに「部屋」の設営を始め、夜通しかけて早朝7時に作品を完成させた。

 「マーライオンの時はその場で2カ月かけて設営したが、今回は熱海で作った部屋を深夜トラックで持ってきて像にはめ込んだ。今までにないやり方で心配はあったが全てうまくいった」と安堵(あんど)の表情。部屋は、「人が住んでいる部屋にハチ公が遊びに来たようなイメージ」で作った。内装の細部にも意味があり、壁紙をよく見ると、かつての渋谷駅舎や上野教授などの絵がある。

 中には両手を上に広げた立像「大空に」の絵も。現在駅前に立っている忠犬ハチ公像が、2代目として再建された際のエピソードに由来するという。初代のハチ公像を制作したのは、彫刻家・安藤照さんで、初代が東京大空襲で原形を焼失した後、2代目を作ったのは長男の士(たけし)さんだ。西野さんは「戦後間もなくて銅が不足していて、庭のがれきの中から見つけたお父さんの代表作である立像『大空に』を溶かして、ハチ公銅像を制作したと聞いて、描いた」と話す。

 雨風に吹かれながらも主人を待ち続けた「ハチ」は、この日14時間限定で、ふかふかとしたベッドの上に座り「部屋」に滞在する。フローリングの床にはラグが敷かれ、部屋には一人がけのソファやライトも置かれている。西野さんは、「ハチ公に安らいでほしい」と言い、訪れる人たちには「あまり難しく考えずにアート作品を楽しんでほしい」と笑顔を見せる。

 作品は、今月6日から渋谷エリア各所で展開されているアートイベント「第15回渋谷芸術祭2023~SHIBUYA ART SCRAMBLE~」の一環で設置され、入場口を設け部屋の前で写真撮影ができる(入場無料)。12日22時まで。

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