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明治神宮外苑の再開発着工 明治神宮球場・秩父宮ラグビー場建て替えも

東側から計画地を望むイメージパース

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 明治神宮外苑エリアの再開発事業「(仮称)神宮外苑地区市街地再開発事業」が1月30日、着工した。

神宮球場と秩父宮ラグビー場の段階建て替えのイメージ

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 1926(大正15)年、体力の向上や心身の鍛錬の場、文化芸術の普及の拠点として創建した同エリア。明治神宮球場(1926年完工)、秩父宮ラグビー場(1947年完工)、東京体育館(1954年完工、1990年改築)、国立競技場の前身となる国立霞ヶ丘競技場(1958年完工)などが整備され、1964(昭和39)年の東京オリンピック時の競技会場として使われるなど、スポーツの拠点として知られる。同時に黄葉スポットとして知られる4列のイチョウ並木など、都心の中でも緑豊かなエリアとなっている。

 一方でスポーツ施設などの老朽化、「気軽に」スポーツなどをしたり人々が「自由に」立ち入って緑を楽しんだりできるオープンな空間が少ないこと、歩行者空間の不足による混雑や連続的なバリアフリー経路の不足などの課題を抱えている。

 2011(平成23)年に老朽化による国立霞ヶ丘競技場の建て替え計画がスタートし、現在の国立競技場を2021年に開催された東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場と位置付けた。それを踏まえ、東京都は同エリアをスポーツ施設の集積地としてにぎわいを生み出し、街を「再生する」ため整備方針を決め、2013(平成25)年に地区計画を発表。2015(平成27)年には都や宗教法人明治神宮、独立行政法人日本スポーツ振興センター、ラグビー場に隣接して本社がある伊藤忠商事、三井不動産といった地区内の関係権利者が覚書を締結。2018(平成30)年には都がまちづくりの指針を策定した。

 計画地は国立競技場や聖徳記念館絵画館と青山通りに挟まれた約28.4へクタールのエリア。4社は昨年5月に現在の緑豊かな都市景観を保全しつつ、スポーツ施設が集積した複合市街地の実現を目指す。

 スポーツ施設は、老朽化した明治神宮球場と秩父宮ラグビー場を現在行われている競技の継続を配慮しながら建て替える予定。まず1961(昭和36)年に完工した第二球場を解体し跡地にラグビー場棟を建設(神宮球場にかかる南側を除く)。その後秩父宮ラグビー場を解体し、その跡地にホテルを併設する野球場棟(とラグビー場の南側)を建設。神宮球場跡は多目的に利用できる広場(約1.5ヘクタール)を整備する。

 緑に関しては、イチョウ並木は全てを保存する予定。施設の整備計画に支障する樹木のうち256本を移植、移植が困難であるものなど743本は伐採するが、カシやケヤキ、サクラ、外苑の各所で見られるヒトツバタゴ(俗名ナンジャモンジャの木)など837本を新植(いずれも2月1日現在)することで従前の1904本から1998本に増加する計画。絵画館前に位置する軟式野球場の場所には広場(約2.5ヘクタール)とテニス場を整備。広場には新植を列植し、芝生を基調とした誰もが自由に立ち入れる広場にする。

 広場や主要スポーツ施設などは、国立競技場に隣接した位置に再整備を予定する都立明治公園と一体となった大規模災害時の防災拠点として位置付け、エリア全体として防災性の強化を図る。

 スポーツ施設などはバリアフリー化するほか、地下鉄駅と地区内のスポーツ施設や広場とを連絡するバリアフリー動線も確保する。

 2035年11月30日完工予定。

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