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特集

エリア特集2008-04-19

恵比寿東口に新たな潮流-出店が続く注目エリア
「恵比寿イースト」最新飲食店事情

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 恵比寿駅周辺の飲食店事情に、新たな潮流が生まれつつある。立ち飲み店や大箱系ダイニングなど幅広い業態が集積する西口エリアに比べ、これまで目立った動きの少なかった「恵比寿東口エリア」に今、独自の個性を打ち出す「こだわり系」飲食店が相次いで出店している。ひそかな出店ラッシュが続く「恵比寿イースト」の動向を追う。


東口で20年続く名店「にんにくや」-「飲食店の変化はここ数年」(店長)

 JR恵比寿駅を挟み、西口・代官山方面と逆方向に広がる恵比寿・東口エリア。今でこそ、有名店などの進出でにぎわいを見せるこのエリアだが、周囲の飲食店の動きが活発になったのは、ここ数年のことだ。

 「(店を出した)当時は、まだ何もなかった」と話すのは、東口エリアに店を構えて20年のにんにく料理専門店「にんにくや」マネージャーの山本真也さん。1983年、天現寺に開店した同店は、オーナーシェフ遠藤栄行(えいこう)さんが腕をふるうにんにく料理が話題となり、増床目的で現在の場所に移転してきた。

 移転オープンは1988年。バス通りを1本入った住宅地で、当時まだ商業色の薄かったこの地に越してきた理由は「この場所がオーナーの実家だったから」(山本マネージャー)。当時は駅から近いバス通りにも「飲食店はまれだった」(同)というが、熱心に通う目的客も多く、移転前から客の入りは特に変わらなかったという。

 その後、にんにくやのあるこの通りには、1992年にタイ料理店「マイタイ」がオープン。ガーデンプレイスが1995年に開業するも、駅から近いバス通りを含め、「この界隈がにぎやかになってきたのはここ5年のこと」と山本さんは振り返る。

恵比寿 にんにくや

戦後バラックからの出店、定食屋「こづち」を機に始まる東口飲食店の歴史

 ここ数年で飲食店の出店も目に見えて増えてきた恵比寿イースト。「にんにくや」山本マネージャーも語るように、知る人ぞ知る「穴場」的名店は昔からこのエリアに根付き、恵比寿・西口にはない独自色を形成してきた。

 周辺の開発が進み、古い街並みも消えつつある駅から徒歩1分のビルの1階に、現在も昔ながらの「アーケード」を残しているのが、青果店や魚屋など商店が集積する「えびすストア」。開業当時からこの中で家具店を営む「家具のまるます」店主、鈴木さんに話しを聞いた。

 「戦後昭和23年(1948年)、この辺りにできたバラック市場『東口マーケット』が今のストアの原形。防犯・防火上の理由から建て替えを迫られ、お金がないから都の公団住宅(現在は別のオーナー)とタイアップするかたちでオープンした。完成したのは昭和35年。そのころは恵比寿にもいくつかバラックがあって、みんな『トントンぶき』(こけらの板で葺いた屋根)だったのが、開発でなくなったり建て替えになったりしていった」(同)。

 東口にはこの「えびすストア」のほか、道を挟んで向かいに同じくアーケード商店街の「山下ショッピングセンター」が今もその姿を残す。こちらも元は市場だが、現在は改装工事が進められ、今後は飲食店中心のフロアにリニューアルするという。


 これらの商店と並ぶように、戦後東口に開店したのが、老舗定食店「こづち」。当初バラックからの出店だったが、今の店が入るビルの建設に伴い店構えを変え、「飲食店がほとんどなかった」(前出・家具店オーナーの鈴木さん)という時代を乗り越え、今でも根強い人気を誇っている。店の壁や黒板にずらりと並ぶ、あじフライやオムレツ、焼きそばなどの懐かしいメニューは、創業から50年以上経った今も、地元住民や周辺のビジネスマンから支持され、客足が途絶えることはない。

 戦後から続く商店の流れの主流は、現在の街並みからも分かるように、その後西口へと移る。アーケードのように複数の商店が束になり店を出すケースはなくなったが、高度経済成長が落ち着きバブル期へと向かう中、東口でも1980年代ごろから、飲食店事情にも動きが見え始めるようになる。1985年には、ホルモン専門の老舗焼き肉店「徳ちゃん」がオープン。東口駅前の現「DCカード恵比寿諸戸ビル」前には、現在は店じまいした“伝説”の屋台「おゆきさん」が夜になると店を出し、常連客にはミュージシャンら著名人が名を連ねるように。

 1989年にオープンした本格イタリアン「イル・ボッカローネ」も、その後の相次ぐイタリアン出店ブームの先駆けとなる。この時期、業態やサービスは違いながらも店単体で集客力を持つ「実力派」店舗の出店が増えだし、後の変革期へとゆるやかにつながっていく。そして、1995年の恵比寿ガーデンプレイス開業。このころから、街並みも徐々に変わり始める。

恵比寿ガーデンプレイス、ゼストの登場が転機に?出店ラッシュの背景


 ラ・ボエムなどの外食事業を手がけるグローバルダイニング(港区)の大型メキシコ料理店「ゼスト」がバス通り(国道305号線)沿いにオープンしたのは、恵比寿ガーデンプレイス開業から約3年半経った1998年5月のこと。ガーデンプレイスの人気も安定し始めた時期での出店だった。

 グローバルダイニングの「十八番」ともいえる作り込んだ内外装が存在感を放つ同店の出現で、恵比寿東口交差点近くの風景も一変。2年後の2000年には、豪華な外観が目を引く大型寿司店「びっくり寿司」が同じバス通り沿いにオープンし、共に飲食店の中でもバス通りのランドマーク的存在となる。

 とはいえ、施設内で動線が完結するガーデンプレイス、アトレなどの大型商業施設や点在する飲食店だけでは「大きな流れ」を生まなかったのが、西口に比べ商業的開発が遅れた東口の実情。商業の動き以外での転機のひとつが、高層オフィスビル「恵比寿ビジネスタワー」の完成といえる。

 メーン通りから1本入った地上18階建てのビルには「オールアバウト」などの有力IT企業も入居、ランチや仕事帰りの飲み場所として、東口の飲食店需要が一気に高まる。東口に店を構える地元不動産会社によると、実際目に見えて人通りが増えたのは同ビルができた直後からだという。

 別の老舗・不動産会社関係者も「西口に比べ宣伝力や口コミにも耐えられるこだわりが必要」と前置きした上で、「人通りが増えたこともあり、今は昼でも夜でもニーズがある。(飲食店を)やりたい人は西口でも東口でも構わない、という人が増えている」と口をそろえる。

 恵比寿ビジネスタワーの完成と前後して、共に東口エリアに開業した「超」の付く人気店2店も、このエリアでの飲食店経営の成功例として、その後の出店加速に影響を与えたといえる。

 2003年、ゼストと道を挟んだバス通りにオープンした「キムカツ」は、「行列のできる店」としても知られる人気店。薄切り豚ロース肉を25枚以上重ねた看板メニューのとんかつを求め列を作る客の姿は、恵比寿東口の「名物」にも。続く同年12月には、もつ鍋「蟻月(ありづき)」が1号店を出店。大きな看板もなくメーン通りにも面していない「隠れ家」的店舗ながら、こちらも「予約の取れない」人気店として根強い人気を誇っている。

 こうした変化を、20年続けてきた店の客層からも感じているのが、前出・にんにくやマネージャーの山本さん。山本さんが変化を感じ出したのも「ここ数年のこと」。レストランとは別にウェイティングバー(現在は閉鎖)を設けていた同店ではかつて、「料理食べたさに3時間ほど待つ人もいた」(同)というが、「今では長くて1時間」(同)。

 流行に敏感な女性客が多かったオープン当初に比べ「最近はようやく男性が追いついてきたみたい」(同)と笑う。山本さんは「お客さんが増えても基本は一緒。にんにく目的で来る元気出したいお客さんに、がんばろうと思ってもらいたい」と話している。

「キムカツ」恵比寿本店が増床リニューアル−面積2倍にオウケイウェイヴが本社移転、渋谷から恵比寿の新拠点へ

出店ラッシュ最新事情-「看板」を持たない独立系事業主が挑む戦略とは?

 JR山手線、地下鉄日比谷線の2路線が乗り入れる都心きってのターミナル駅、恵比寿。今では首都圏に住む仕事帰りのOLやビジネスマンの利用も多いことから「合コンの街」とも称される恵比寿で、東口の動きが活発だ。

 出店者の中には、有名企業や大手チェーンなどの「ブランド」を持たない個人事業主や独立系企業も多い。前出・老舗不動産会社関係者もこう明かす。「昔からにぎやかな西口は、ビルオーナーも大企業や有名チェーンの看板を持っている入居者を探しがち。目立った実績のない個人事業主にとっては『狭き門』で、その分東口で物件を探す人も増えている」。

 行列のできるとんかつ店「キムカツ」の隣に軒を連ねるのは、昨年9月にオープンしたカレー・レストラン専門店「モンタンベール」。「三井ガーデンホテル」のレストランに30年間務めた伊藤義信シェフが独立、開業した。

 欧州スタイルのいわゆる「ホテルカレー」は、インドカレーの辛みとは違い、「優しい味」(同シェフ)。「東口エリアは夜になると、極端に人足が減る」(同)ことも考慮し、かき入れ時のランチタイムにも食べやすいカレー店を選んだ。客層は、ふたを開けてみると7~8割が女性。年齢層も幅広く、リピーターも増えているという。「東口エリアは目的意識がハッキリしていないと、なかなか足を運びづらいところ。目的客が圧倒的」と西口との違いを感じている。

 昨年は、一般にも有名な企業や大手チェーンではないものの、専門分野で卸業を営む問屋が「素材」をウリに打ち出す「実力派」店舗の出店も続いた。大阪でかつお節を中心に乾物の卸業を手がける「山長商店」が開いた「うどん 山長(やまちょう)」もその1つ。既存業務のノウハウを生かす「だし」をメーンにしたうどん店で、飲食事業を手がけるフードゲート(渋谷区西原3)がプロデュース。

 通称「たこ公園」としても知られる「恵比寿東公園」沿いにある約15坪の店舗は、創業150年以上続く「歴史」を感じさせる和風の内装。開発に3年もの時間を費やしたというだしは「関東と関西の中間の味」(フードゲート・根本淳也取締役)で、温汁うどん(9種類)に加え、冷汁うどんも提供。九条ネギ、季節の野菜などをトッピングした主力メニューの「山長うどん」(850円)をはじめ、8種の冷汁うどんを用意した。

 深夜営業も行っている同店では、深夜になると「恵比寿周辺に住む著名人がたびたび訪れることも」(同)あるほか、週末には家族連れの姿も。昨年10月のオープン以降、公園が隣にある好環境も手伝い、地元住民にも親しまれる店になっている。

 中には、「東口限定で店を探した」というオーナーも。オール1コイン(500円)の本格窯(かま)焼きピザで人気を集める三軒茶屋のスタンディングバール「VOCO(凹)」の2号店を今年1月、たこ公園近くにオープンしたばかりのオーナー附田国造さんは、1号店と同様「終電などを気にせず仕事後も気軽に立ち寄れる地元客の『社交場』を目指したい」との思いから、飲食店が集積する西口エリアではなく、「あえて」東口への出店を果たしている。

オール1コイン、三軒茶屋の人気ピッツァ・バーが恵比寿に2号店

 元相方が西口のちりとり鍋専門店「大島」で成功を収め、自身初の飲食店「馬焼肉(うまやきにく)たけし」出店の際には全面的にアドバイスをもらったというお笑いコンビ元「ドロンズ」の石本武士(芸名=ドロンズ石本)さんも、「今東口が面白いと聞いた。体育会系の男性客に混ざって女性客の姿も多い」と集客力にも自信を見せている。

ドロンズ石本さん、恵比寿に「馬焼き肉」店−元相方のアドバイスも
ちりとり鍋 大島」増床へ−元「ドロンズ」大島さんの人気店

東口エリアの「プチブーム」-恵比寿イースト個性派スイーツ店事情

 カフェなども多い代官山エリアへ続く西口に比べ、あまり知られていないのが、東口スイーツ店事情。欧州の「三つ星」レストランでもシェフパティシエを務めた鎧塚俊彦シェフが2005年にオープンした「Toshi Yoroizuka」が有名だが、それ以降も小規模ながら独自のメニュー開拓に挑むスイーツ店の出店が続いている。

 小倉やきなこ、甘納豆などの食材を使った「和風アイスクリーム」専門店として昨年4月にオープンしたのは「ジャパニーズアイス 櫻花(おうか)」。駅からも近いバス通りに面したモダンで明るい印象の店内にはイートイン・スペースも設け、オープン時には行列もできる話題の店に。カップ売りのアイスは種類も豊富で季節感も取り入れた独自の味。京都や都内で店舗プロデュース、飲食店経営などを手がけるウィンウィンアソシエイツ(東京オフィス=恵比寿西2)が「地元密着型」店舗を目指し、出店した。

恵比寿に「和風アイス」専門店−きなこ・甘納豆など20種以上

 学生時代のアルバイトやその後のカフェ勤務などでスイーツ作りを学んだという大阪出身の磯谷仁美さんは2006年10月、東口・恵比寿郵便局近くに約8坪ほどのスイーツカフェ「hoco(ホコ)」をオープン。木目のナチュラル感が印象的な店内の一角に構えたキッチンでスコーンやシフォンケーキなどの手作りスイーツを出し続けている。磯谷さんは当初、広尾界隈で物件を探す中、この物件を気に入り出店を決めたという。東口は、広尾や白金エリアにつながる「入り口」にもなっている。

恵比寿東口にスイーツカフェ、素材にこだわりコース風に

 このほか、たこ公園近くには兵庫・姫路のたいやき店が東京1号店として開いた「たいやき ひいらぎ」も。「有名なたい焼き店が多くある中で勝負したい」との思いから東京出店を決めたという店も、昼休みや夕方以降になると周辺オフィスに務めるビジネスマン、OLの姿でにぎわっている。

兵庫・姫路のたい焼き店が恵比寿東口に東京1号店

 恵比寿駅東口には今秋、東急不動産(道玄坂1)が開発を手がける複合商業施設が開業予定。1〜2階には旧ビルのキーテナント「モンベル」が再入居するほか、3階〜5階には東急不動産グループ直営のフィットネスクラブの「都市型旗艦店」が出店する予定で、駅近くの動向にも注目が集まりそうだ。

来秋、恵比寿駅前に新商業施設−東急不動産が開発着手

 大きな地元商店会もなく、古くからある名店や勝負を仕掛ける個人事業主らが独自の地域性を形成し、面的な広がりを見せてきた東口飲食店事情。出店ブームは今後も続くとみられ、さらなる個性を打ち出す新店の登場が期待される。

【店舗情報】

恵比寿 にんにくや
恵比寿東口に店を構えて20年の人気店。オーナーシェフ遠藤栄行さんが腕を振るうにんにく料理の同店おすすめは、「ガーリックトースト」(550円)、「にんにくの丸揚げ」(660円)、「ガーリックステーキ」(2,750円)など。全45席の店内は、ウッド調であたたかみのある雰囲気。
(住所) 渋谷区恵比寿1-26-12 TEL 03-3446-5887
(営業時間) 18時~24時(月曜定休)

モンタンベール
「三井ガーデンホテル」などのレストランに30年間務めたシェフが開いた欧風カレー専門店。店名は、シェフが20代の時に旅したフランスの登山鉄道の終着駅の名前を用いた。カレーは夜限定の「フワッとオムレツカレー」(1,000円)など。ランチ営業も行っている。
(住所) 渋谷区恵比寿4-9-5 TEL 03-3441-7521
(営業時間) 昼=11時30分~15時、夜=17時30分~23時(日曜定休)

山長
大阪のかつお節問屋「山長商店」が手がけるうどん店。創業100年以上のノウハウを生かした「だし」がウリの豊富なうどんメニューがそろう。九条ネギ、季節の野菜などをトッピングした「山長うどん」(850円)などのうどんに加え、おでんなどの一品料理も。
(住所) 渋谷区恵比寿1-1-5 TEL 03-3443-1701
(営業時間) 昼=11時30分~16時、夜=17時~翌4時30分

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渋谷・神山町に牛肉料理店。様々な部位の牛肉を使う料理を提供する
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