特集/コラム
穴場スポットから名所・目黒川沿いまで
広域渋谷圏の「花見」スポット事情2008
暖かい気候が続き、都内の開花宣言も早まった今年、広域渋谷圏各所の「桜の名所」では早くも桜が咲き始め、春の訪れを告げている。桜丘町の桜並木や例年見事な花を咲かせる目黒川沿いなど桜の名所をはじめ、金王八幡宮など「隠れた」花見スポットも見逃せない。「花見需要」を見込む周辺飲食店も活気を見せる、広域渋谷圏の花見スポットをレポート。

【桜丘町】都会の街をピンクに染める桜−「桜丘町」のソメイヨシノが一斉開花
渋谷駅から国道246号線を隔てた桜丘町「さくら通り」の桜並木は、商業ビルが立ち並ぶコンクリートの坂を、今年もきれいなピンク色に染めている。1990年代初頭のソメイヨシノの移植以来、現在では通りを覆い尽くすほどの枝ぶりに成長した桜並木は、近接する246号線の喧噪を忘れさせてくれそうだ。
地元商店会の「渋谷桜丘駅前共栄会」では3月20日からさくら通りのちょうちんを点灯。桜が咲き終わる4月中旬ごろまで点灯を続けるほか、4月4日には、さくら通り上のオフィスビル「インフォスタワー」前でイベントを開催するなど、見物客を迎える予定だ。
【金王八幡宮】渋谷エリアの隠れた名所−「金王八幡宮」の歴史ある一本桜
代々木公園など各地から多くの見物客が集まる「定番」の花見スポットに対し、「しっとり」と花見を楽しみたい人向けの穴場が、渋谷の地名の由来にもなったとされる「金王(こんのう)八幡宮」。会話や飲み食いで盛り上がる「宴会」的花見ではなく、ここでは境内の社務所隣で優雅に花を咲かせる、おもむきのある一本桜を楽しむことができる。
桜は、1982年に渋谷区の指定天然記念物にも指定された「金王桜(こんのうさくら)」。「長州緋桜(チョウシュウヒザクラ)」と呼ばれる珍しい種で、1本の枝に一重と八重の花が入り交じって咲くのが特徴。その昔、源頼朝の指示で鎌倉から移植されたという言い伝えもあり、歴史と伝統を感じさせる文化財の1つだ。
同神社によると、境内では事前に申し込めばござなどを敷いて花見をすることも可能。夜は19時までで、多い時には3組〜4組の花見客が訪れることもあるという。予約は現地のみで受け付ける(電話予約は不可)。
【渋谷橋〜広尾】明治通りでも桜が開花−「時間差」花見も?
都内でも公園や川沿いなど、比較的自然の多い地区での花見スポットは一般的だが、明治通りと駒沢通りが交差する「渋谷橋」交差点から広尾方面へと続く桜並木は、大通り沿いながらもゆったりと広い歩道から桜が一望できる「隠れた」名所。
都心でも桜が開花し始めた3月25日前後、明治通りの両側を彩る一連の桜並木は、ビル群の陰になる南側(恵比寿側)の桜とは対称的に、日当りのいい北側(広尾側)の桜が一斉に開花。道を隔てて両側の桜を「時間差」で眺めるのも、都会ならではの花見の楽しみ方かもしれない。
【恵比寿】店内演出で花見商戦に参戦?恵比寿でですけの「桜プラン」
花見目当ての見物客をターゲットにした出店や限定メニューなどもあちこちで増える中、一風変わった「花見」便乗商売も飛び出す。「酒が飲めるうどん屋」をコンセプトに炙り焼きと讃岐うどんを提供する「恵比寿でですけ」(渋谷区恵比寿1、TEL 03-3444-5511)では、店内の「装飾」で独自の屋内花見空間を演出するユニークな「桜」企画を桜の開花時期に合わせて展開中だ。
座敷スペースには、2メートル近く枝ぶりを広げる桜が出現。照明で「夜桜」風の空間を作り上げている。期間中、「お花見コース」(3,800円〜)も登場。重箱に入った前菜や「桜の水ようかん」などの期間限定メニューをそろえる。
外の気候に比べ比較的暖かい店内では、「つぼみは5日ほどで満開になる」(畑中和明店長)ため、桜は期間中5日おきに入れ替える念の入れよう。同店では昨年からこの企画を展開。「桜が舞い散るころまで」(同)桜企画を続ける。
【中目黒】花見スポットの「王道」、目黒川沿い花見商戦が今年もスタート
広域渋谷圏界隈でも見物客の多さや周辺店舗のにぎわいで群を抜くのが、代官山からも近く、目黒から池尻まで800本以上もの桜が咲き誇る目黒川周辺。交通面でのアクセスもよく、川沿いにはカフェからレストラン、バーまで多業態の飲食店が集まる中目黒付近では、早くも屋台に列をなす見物客の姿が見られるなど、例年の熱気ぶりが街全体から伝わり始めている。

今年が「最後のサクラ」−上目六さくらSCの定番屋台が見納め
民家や町工場を再利用した複合施設が川沿いのランドマークにもなっている「上目六(かめろく)さくらショッピングセンター」(TEL 03-3792-5223)も、毎年店の外にブースを出し、見物客にフードやアルコールを提供している店の1つ。スパークリングワインやホットワインなどのアルコールをはじめ、今年は北海道産のカマンベールチーズ入りソーセージグリルやクラムチャウダースープ(各500円〜)などがメニュー入り。
この恒例となった上目六さくらSCからの「花見」も、実は今年で見納めになるという。2003年のオープン以降、店名の由来でもある「さくら」を6年にわたり見届けてきた同店。運営を手がけるマン・フュージョン・システム(目黒区)の関野社長も、咲き始めた桜を前に「この店から見上げる最後の桜になる」と残念そう。
店は今年8月末の閉店とともに原宿へと拠点を移す予定。4月12日には2階テラス席で「最後の夜桜会」と題したイベントも予定している。
ジャズとワインで楽しむ目黒川の桜−目黒区主催「さくらフェス」
花見イベントの目玉の1つは、目黒区観光・雇用課が主催するジャズとワインのオープンカフェ企画「目黒川さくらフェスタ2008」。立体交差近くの山手通り沿いにある目黒川船入場には桜が見ごろの3月29日と30日の2日間、赤れんが造りの広場に特設ステージが登場。ジャズアーティストがライブパフォーマンスを行うほか、オープンカフェでは石窯焼きピザ(500円)やワイン(赤・白各300円)を提供。「大人」なひとときとなりそうだ。入場無料(雨天中止)。
そのほか2005年10月、山手通りと駒沢通りがクロスする中目黒立体交差の一角にオープンしたバルスの複合店「BALS STORE」では、ショップ内のデザインストア「BALS TOKYO」で若手アーティスト、大巻伸嗣さんによる桜をテーマにしたエキシビションを開催。「桜の苑」と題し、インテリアの一部も作品に加えながら桜の空間を表現している。3月30日には京都の抹茶やようかんなどを提供する無料の茶会イベントも開催。
目黒川沿いではすでに夜間のちょうちん点灯が始まっており、4月6日まで風情ある「夜桜」を楽しめる。点灯時間は18時〜22時。

気象庁によると、東京の桜(ソメイヨシノ)開花は平年より6日早い3月22日。「花見需要」に照準を合わせ、すでに商戦に乗り出した地域や店舗もある中で、金王八幡宮のように喧噪を離れ、ゆっくりと桜を楽しめる穴場スポットもある広域渋谷圏。花見を機に自分だけの「名所」を見つけてみるのもいいかもしれない。
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