Bリーグ・サンロッカーズ渋谷（以下、SR渋谷）が4月5日、横浜ビー・コルセアーズ（同、横浜）に競り負けた。

代行として指揮を執った木下博之アシスタントコーチ

　ゴール下の番人であるジェームズ・マイケル・マカドゥ選手が前節の試合で悪質でスポーツマンシップに反するファウルを宣告されことから欠場となったこの日。横浜も主力選手を欠いた中ではあったが、アウトサイドのSR渋谷、インサイドの横浜と攻撃の強みが相対する戦いとなった。

　好守から先制しオープンの3ポイント（P）シュートが高確率で決まり22-19とリードを奪った立ち上がり。マカドゥ選手の欠場に伴い「（出場の）チャンスはあると思っていた」と言う井上宗一郎選手も「狙うのが自分の仕事」と第1クオーター（Q）から3Pを沈めた。第2Q序盤はライアン・ケリー選手がミスマッチを突き得点を重ねリードを広げるが、ミスが続くと同時に横浜の外国籍選手を抑えきれず一時逆転を許す。それでも、渡辺竜之佑選手が強みのオフェンスリバウンドで攻撃をつないだり、ゴール下に飛び込み得点を挙げたりして37-37-の同点で前半を折り返した。

　横浜の外国籍選手に対して最初は1対1で守りつつ周りの選手が手を出すなど妨害をしたが「疲労が蓄積してきた」（木下博之アシスタントコーチ（AC））ことから、外角のシュートの成功確率が低い選手をマークしている選手がヘルプに行きダブルチームを仕掛ける守り方に変更。目論見は当たり、横浜のシュートが外れる場面も散見したが、後半序盤に連続で取られるなど、横浜のオフェンスリバウンドを抑えきれなかった。

　リードを許しながらも、ベンドラメ選手や関野剛平選手のアタック、小島元基選手の3P、好守からの速攻などでついていき52-60で迎えた最終Q。立ち上がりには、横浜の帰化選手とマッチアップした井上宗一郎選手は「比べられる所もあると思い、負けるのも嫌だったので積極的に行こうと思っていた」とリバウンドから得点を挙げたほか、連続でファウルを誘発するなどチームに勢いを与える。小島選手やケリー選手が積極的にインサイドにアタックし、ファウルで得たフリースローなどで得点をつなぎ点差を詰めたが、要所で横浜の得点を抑えきれず72-82で敗れた。

　強みとする3Pの成功確率がチームで約22％と苦しんだこの日。特に日本人シューター陣はシュートを打つ本数自体が少なかった。「シューターが打つセットは考えたがうまくいかず、外国籍が思った以上にワイドオープンになった。彼らは（成功）確率がチームでもトップなので、信じて最後まで打ち続けようとした」（木下AC）と言うが、この日はケリー選手、ジョーンズ選手ともに3P成功確率が10％前後と伸び悩んだことから、終盤はベンドラメ選手の3Pで追い上げを図ったが決めきれなかった。「良いシュートは打てていたので入るか入らないかは紙一重だった」と木下ACは振り返った。「勝てるチャンスがあったので負けたのはすごく悔しい」と唇をかんだ。

　追い上げるきっかけをつくった井上選手は「流れは持ってこれたかもしれない」と手応えを感じつつ、ファウルで得たフリースローを3本中2本外したことから「たった2点だが、あのようなゲームになると2点は大きいので決めきらないといけない」と悔やんだ。当初から帰化選手に合わせて井上選手起用することを考えていた木下ACは、「プランとしてはうまくいった。短い時間でも自分の仕事、シュートだけで無く自分が今できることを全力で考えてプレーするよう伝えていた。遂行してくれたので信頼は高まった」と評価した。

　SR渋谷は浜中謙ヘッドコーチ（HC）が新型コロナの陽性判定を受けたため、前節に続き木下ACが代行した。浜中HCが練習メニューを考えるなどコンタクトは取っているが、木下ACが試合の戦術を立てたという。元選手であることから「戦術は経験から考えることができるが、メンバーの構成や変えるタイミングはまだまだ足りない。その一つで流れ変わるので、表情や疲れを感じながらやっていけたら」と話した。この日に関しては前節よりプレータイムを伸ばした盛實海翔選手や津屋一球選手の名前を挙げ「（起用に）応えてくれた」と触れた。

　次節は今月8日・9日、新潟アルビレックスBBと戦う。木下ACは「新潟もインサイドを中心に攻めてくる。今日の試合が良い経験になったので、戻ってくるマカドゥ選手とのケミストリーを確かめ合って、自分たちを信じて戦いたい」と話した。