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渋谷区コミュニティーバス「ハチ公バス」にEVバス初導入 表参道など運行

新たに導入されるEVの「ハチ公バス」

新たに導入されるEVの「ハチ公バス」

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 渋谷区コミュニティーバス「ハチ公バス」に3月1日、国産EVバスが導入される。

車内の様子

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 ハチ公バスは2003(平成15)年に1ルートで運行を開始し、現在は恵比寿や代官山エリアを循環する「夕やけこやけルート」、渋谷駅と代々木上原を結ぶ「丘を越えてルート」、富ヶ谷や笹塚などを経由する「春の小川ルート」、原宿・表参道などを経由する「神宮の杜(もり)ルート」を運行。運行は東急バスと京王バスが2ルートずつ受託している。

 今回は東急バスが2021年11月から運行を担当している「神宮の社ルート」に導入。コロナ禍で拡大していた同ルートの運転間隔を戻すことに合わせて新たに車両が必要となり、時代に合わせてEV車両を選択した。東急バスは、東急グループの脱炭素・循環型社会の実現に向けた「環境ビジョン2030」に合わせて、ハイブリッド車両や燃料電池車両を導入してきたが、EV車両は初導入となる。

 コミュニティーバスは住宅が密集したエリアを走行することもあることから、二酸化炭素の排出が無く騒音が低減される可能性があるEVバスは地域住民にとっても「環境にとても良いバスになると期待している」(東急バス古川卓(たかし)社長)。

 導入するのはEV モーターズ・ジャパン(福岡県)の「F8 series4-Mini Bus」というコミュニティーバス向けの車両(ダブルドアタイプ)。全長6.9メートル×全幅約2.1メートル×全高3.1メートルで、現行のディーゼル車両とほぼ同じ。後方部にバッテリーやモーターなどを搭載していることもあり、座席は現行車両より1席少ない29席で、乗車定員は同じく7人少ない29人となる。バッテリー容量は114キロワットアワー(スマートフォンの充電に換算すると1万3000台強)で、航続距離は290キロ(定速40キロ、付加重65%、エアコンオフでの試験結果より)。災害時には移動電源車として機能する。

 導入台数は2台で、現行車両6両に加えるかたちとなる。東急バスはさまざまな車両を検討したというが、現行車両同様国産であることに加えて、航続距離が長いことなどからEVモータズ・ジャパン製に決めた。担当は渋谷駅から最も近い淡島営業所となる予定で、1日の走行距離は120キロ程度(同ルートの1周は約15キロ)を想定。充電は、1日の営業を終え営業所に戻って(21時ごろ)から翌日の営業所出発(7時ごろ)まで間を想定している。必要充電時間は0からの充電で6時間程度となっている。

 車両デザインは、「ハチペイ」のロゴと、そのロゴに起用されている渋谷区観光協会の公式キャラクター「SHIBUYA■HACHI」(■はハートマーク、読み方は「ラブ」)を採用する。車内一部座席近くには乗車客が利用できるUSBポートが標準装備されている。三角型のつり革は、つかまる部分が手の指に合わせるように凹凸が付いているタイプが標準装備だが、東急バスの仕様として優先席付近のみオレンジ色でつかまる部分もフラットなタイプになっている。

 車両は1台約2,600万円で購入し、別途仮装費用、充電スタンド(40キロワットの急速充電器1台、2台同時に充電できるタイプ)などに数百万円かけている。ナンバーは渋谷にかけて「428」を付ける。

 併せてダイヤ改正を行う。代々木駅発の始発は現行より6分繰り上げ8時14分に、渋谷駅西口発の終発は現行より7分遅い19時30分にそれぞれ変更。運転間隔は、平日・土曜・休日共に23分間隔から15分間隔に短縮する。代々木駅・千駄ヶ谷駅の始発・終点便を廃止し、全便が渋谷駅西口から渋谷駅ハチ公口まで運行する。

 加えて同日からハチ公バス全路線で、区が昨年サービスを開始したキャッシュレス決済「ハチペイ」にも対応する。

 EVバスは現行車両との共通運用なるため、運行時刻は毎日異なる。

 災害時の移動電源車になることもあり、区は公用車などでEV車を導入してきたが、航続距離などの課題もあり「技術革新を待っていた」ことなどから踏み切れなかった。今後も都の補助金導入を活用しながらEVバスの導入を引き続き検討していく。同時に各ルートでバス車内にAIカメラを設置し利用実態の調査を進めており、利便性を高める方策の検討を進めていく。

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