見る・遊ぶ

表参道で石川直樹さん写真展 ヒマラヤ・カンチェンジュンガなど登頂の記録

カンチェンジュンガ山頂での写真と石川直樹さん

カンチェンジュンガ山頂での写真と石川直樹さん

  • 54

  •  

 写真家・石川直樹さんの写真展が現在、表参道「GYRE(ジャイル)」(渋谷区神宮前5)3階のギャラリー「GYRE GALLERY」(TEL 03-3498-6990)で開催されている。

太陽が昇る頂上直下の写真などが並ぶダウラギリのエリア

[広告]

 石川さんは1977(昭和52)年渋谷区生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。人類学や民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら作品を発表し続けている。

 コロナ禍の影響もあり約2年間海外に行けなかったなか、昨年春から秋にかけて、ネパールやパキスタンにまたがるヒマラヤ地域に足を運んだ。4月にダウラギリ(8167メートル)、5月にカンチェンジュンガ(8586メートル)、7月にK2(8611メートル)とブロードピーク(8051メートル)、8月にナンガパルバット(8126メートル)、9月にマナスル(8163メートル)と、6つの山に遠征。雪崩で撤退を余儀なくされたナンガパルバットを除いた5つ山の登頂に成功し、同10月に帰国した。どの山も何度も下見をして「虎視眈々(たんたん)」と登頂を狙っていたという。

 同所では、カンチェンジュンガ、 ダウラギリ、マナスルを登山する際に撮影した写真を展示する。最初に登ったダウラギリは、国内でトレーニングを積んでから行くことで順応期間を短縮することができ、10日で登頂に成功した。夜通し進むなか昇ってきた太陽の光に暖かさを感じた頂上直下での写真などが並ぶ。続くカンチェンジュンガは、頂上を誤ってしまったことから一度下山し登り直したという。石川さんは「相当疲れた」と言うが、「せっかく来たんだから登らないと」と諦めること無く挑んだ。マナスルは2012年に一度登っていたが、山頂付近は崩れやすいことから頂上の約10メートル手前までしか行っていなかった。今回は改めて頂上まで登った。その過程では雪崩が発生したり、頂上付近では強風にさらされたり天候が悪く、指先もしびれ体重も落ちるなど過酷だったという。

 石川さんは、1本で10枚しか撮影できないネガフイルムを装填(そうてん)した古い中判カメラで撮影をしているほか、山の麓の町から登頂するまでのプロセスを収めているのも特徴。会場では、それぞれの山の登山の過程を時系列で並べるほか、登山ルートを示した地図や山頂付近で撮影した写真のコンタクトシートも置いている。場内ではカンチェンジュンガの登山の記録映像を、同施設地下1階に設置されているテントの中ではマナスル登山時の映像を、それぞれ流している。

 登山は「街の中では絶対に得られない、自分を使い果たす、空っぽになる感覚がある」と話す石川さん。食事など日常的に行うことも「意図的になる」と言い、「構図を考えたり複数枚撮ったりすることできないとか、抜き差しならない関係の中でしか撮れないのが面白い」とその魅力を語る。「世界の片隅でいろいろな人が暮らしていて多様な人・生活がある、人が寄りつけない局地というか、8000メートルを超す山があることを少しでも感じてほしい」と期待を込める。

 1月13日~2月5日には、渋谷駅近くの商業施設「RAYARD MIYASHITA PARK」(神宮前6)SOUTH3階の「SAI GALLERY」で、K2、ブロードピーク、ナンガパルパットを登山した際の写真を展示。同期間、原宿・表参道エリアから渋谷エリアまでの道のりに店舗を構えるアウトドアショップ「THE NORTH FACE」系列7店舗では、石川さんの写真展示に加えて関連書籍、コラボレーショングッズの販売、トークショーなどを展開する。

 開催時間は11時~20時。入場無料。2月26日まで。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース