Bリーグ・サンロッカーズ渋谷（以下、SR渋谷）が3月13日、宇都宮ブレックスと対戦した。

　新型コロナウイルス感染症の影響で延期していた試合の代替試合となったこの日。SR渋谷は、チームの得点源であるジェームズ・マイケル・マカドゥ選手が体調不良で帯同しなかったほか、渡辺竜之佑選手も欠くなかでの戦いとなった。

　立ち上がりから、ドライブ（ドリブルでのインサイドへのアタック）から攻撃を組み立てていくがシュートを決め切れず重い展開となるなか、途中交代で出場した高橋耕陽選手がコートに入った直後にドライブから得点を挙げたほか、3ポイント（P）シュートなど積極的に得点を狙っていき、11-19で第1Q（クオーター）を終える。

　第1Qで攻守ともにリバウンドを許していたなか、第2Qには、西野曜選手やマックス・ヒサタケ選手を中心にリバウンドに絡んでいく姿を見せる。宇都宮の攻撃を制限時間いっぱい守ったり、ボールを奪ったりする好守も見られたが、同時に失点につながるミスが増えるなど失点を止められず25-39で前半を折り返す。

　マカドゥ選手1人を欠いていることもあり、中心選手のジョシュ・ハレルソン選手への負担軽減などを目的にゾーンディフェンスを多用した前半。伊佐HCは「シュートを打たせて良い選手と場所、シチュエーションを明確にした部分はパーフェクトにできていた」と一定の評価を示した。

　第3Qには、リバウンドや好守からの速攻で西野選手が連続得点を挙げたほか、ディフェンスを引き寄せハレルソン選手のダンクを演出し勢いをもたらすも、流れを引き寄せきれず38-67と点差を広げられ同Qを終える。伊佐HCは、「ディフェンスの約束事ができず激しさも無くなり、（点数を）離され始めた時にオフェンスでどうにかしようという感じになった。ディフェンスで我慢して（自分たちの）スタンダードをやらせるべきだった」と反省点を挙げた。

　最終Q約6分半には中心選手のベンドラメ礼生選手やハレルソン選手をベンチに下げ、「アグレッシブにディフェンスを仕掛けられる選手」を起用し、「自分たちのテンポを構築しよう」（伊佐HC）と送り出した。「全体的に暗かったが、出ている5人は下を向かずに声を掛け合って、点差を縮めることを意識した」と言う西野選手を中心に得点を挙げたが、56-81で大敗を喫した。

　試合を通してシュート確率が伸び悩んだSR渋谷。伊佐HCは、「シュートまではいけているので、誰が出てもどういう場面でも、フィニッシュの強さや確率、遂行能力は積み上げていかないと」と指摘。西野選手は、「マック（＝マカドゥ選手）がいないとリバウンドが弱くなりセカンドオフェンスが減るので、オフェンスをどれだけ大事にできるかが重要だった。もっとボールをシェアして良いシュートをつくることが大事だったのでは」と言い、「スクリーンを掛けるタイミングなど、コールしたプレーの精度が完ぺきだったかと聞かれたらそうじゃなかった。その辺りは次の課題かな」とも。

　SR渋谷が持ち味とする攻守の切り替えを速くし速攻を仕掛ける場面も多く見られたなか、「徹底して走ろうと思った」と言う西野選手は後半に速攻などで得点を重ね、10点をマーク。「個人的にはそれ（＝SR渋谷のスタイル）を体現できた。少しは勢いをつくれたのかな」と振り返る。終盤には、同窓の先輩である盛實海翔（もりざね・かいと）選手からのアシストでファウルを誘発するプレーも見せたが、「ギャンブルなプレーだったが、自分と海翔さんの長年の関係が生んだんじゃないか」と話した。

　リーグ戦も後半戦に入り、上位8チームが進出するチャンピオンシップ（CS）を掛けた戦も激化しているなか、SR渋谷は現在CS出場圏外に位置している。西野選手は「今日負けちゃって『崖っぷちにいる』ということは皆で話したが、試合がある限り立て直すチャンスがある。下を向かずに希望を持って頑張りたい」と前を向く。

　今月16日には次の試合が控えている。伊佐HCは「ここ数試合負けが込んでいるが、選手たちはしっかり同じ方向を向いてやろうとしてくれている。遂行レベルやビハインドを負った時に慌てる部分があるので、やるべきことの徹底をまずは40分間やって、その結果を楽しみにしたい」と話し、西野選手は「どういうシチュエーションであれ、コンディショニングがどうであれ、HCの言うことを聞いて、それをコートで体現してサンロッカーズらしいバスケをするだけ」と続けた。