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渋谷の公衆トイレ改修「THE TOKYO TOILET」プロジェクト、10カ所完成へ

坂茂さんが手掛けた、外壁のガラスが誰も入っていない時は透明で個室内に入り鍵を閉めると不透明になるトイレ

坂茂さんが手掛けた、外壁のガラスが誰も入っていない時は透明で個室内に入り鍵を閉めると不透明になるトイレ

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 渋谷区内の公衆トイレを改修するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」が本年度、10カ所完成する。

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 日本財団(港区)が、「暗い」「汚い」「臭い」「怖い」などのイメージから入りづらい状況がある公衆トイレを、デザイン・クリエーティブの力を活用し「誰もが快適に使用できる」ようにすることを目指し、昨年から取り組んでいる同プロジェクト。

 日本財団が渋谷区と「ソーシャルイノベーションに関する包括連携協定書」を締結していることや、同プロジェクトを国内外に発信する上で「日本のカルチャーの発信拠点」として海外でも認知度が高いと判断し、渋谷区で実施している。

 公衆トイレ17カ所の改修を進めており、デザインは建築家やデザイナーら16人が参画しているほか、トイレの設計施工は大和ハウス工業、トイレの現状調査や設置機器・レイアウトの提案はTOTOが協力。個室内は車いすで方向転換できる広さ、オストメイト用設備を備える「ユニバーサル仕様」で、全て様式、温水洗浄便座を採用するなどしている。ピクトグラムは佐藤可士和さんが手掛けている。

 維持管理は通常行政が行うが、日本財団・渋谷区・一般財団法人渋谷区観光協会が協定を締結し行っている(2023年まで)。清掃回数は従来の1日1回(場所によっては2回)だったのを2~3回に増やすなどしているほか、毎月第3者機関である「トイレ診断士」に診断を依頼し、その結果を基に協議会を行いメンテナンス向上を図っている。以前より増加した維持費は日本財団が助成している。清掃員のユニホームはNIGOさんがデザインした。

 昨年は、建築家・坂茂(ばん・しげる)さんが手掛けた外壁のガラスが誰も入っていない時は透明で、個室内に入り鍵を閉めると不透明になる「透明トイレ」とも呼ばれる代々木深町小公園トイレ(渋谷区富ヶ谷1)、はるのおがわコミュニティパークトイレ(代々木5)、安藤忠雄さんが手掛けた神宮通公園トイレ(神宮前6)など7カ所が完成・供用開始している。

 「子連れで利用しやすくなった」という声や「若い女性の利用が増えている印象」がある一方、落書き、雨天時に砂がトイレ内に入る、ゴミの放置、配管詰まり、「誰でもトイレ」の水浴びなどの問題も確認されており、中でも神宮通公園は夜間に汚れることが多く、防犯カメラも付けているが、マナーの向上にはつながっていないという課題も挙がっている。

 本年度は、5月31日=神宮前公衆トイレ(神宮前1、NIGOさん)、6月24日=鍋島松濤公園トイレ(松濤2、隈研吾さん)、7月15日=恵比寿駅西口公衆トイレ(恵比寿南1、佐藤可士和さん)、同16日=代々木八幡公衆トイレ(代々木5、伊藤豊雄さん)、同21日=七号通り公園トイレ(幡ヶ谷2、佐藤カズーさん)、8月見込み=笹塚緑道公衆トイレ(笹塚1、小林純子さん)。残る4カ所は今冬(12月~2022年2月ごろ)完成する予定。

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