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渋谷・神宮通公園に安藤忠雄さんデザインの公衆トイレ コンセプトは「雨宿り」

「雨宿り」をコンセプトにした公衆トイレのデザインを手掛けた安藤忠雄さん

「雨宿り」をコンセプトにした公衆トイレのデザインを手掛けた安藤忠雄さん

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 建築家・安藤忠雄さんがデザインした渋谷・明治通り沿いの神宮通公園トイレ(渋谷区神宮前6)の供用が9月7日、始まった。

オストメイト用設備やベビーベッドなどを備える「だれでもトイレ」

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 日本財団(港区)が展開する、建築家らが区内の公衆トイレをリデザインする「THE TOKYO TOILET」プロジェクトの一環。「暗い」「汚い」「臭い」「怖い」などのイメージから入りづらい状況がある公衆トイレを「誰もが快適に使用できる」ようになることを目指している。

 トイレの延べ床面積は54.47平方メートル。直径は庇(ひさし)を含め11.29メートル、高さは最高3.83メートル。安藤さんは今回、都市施設として「パブリックな価値を持つものでありたい」と「雨宿り」をコンセプトに掲げた。円形平面の棟からせり出した屋根庇を設け、雨天時には雨宿りするなどトイレ以外の利用もできるようにした。建物は「できるだけ汚れないよう、いたずらされないように」とアルミを採用。「安全で安心な空間」とするため、外壁は縦格子にすることで風と光が通るようにした。

 出入り口は2カ所設け、通り抜けられるようにした。トイレは「男性用」「女性用」「だれでもトイレ」で構成。それぞれ個室1室で、男性用の通路沿いに別途小便器2据を設置。だれでもトイレ内にはオストメイト用設備やおむつ交換台などを備え、男女の個室にはそれぞれベビーチェアを備える。

 安藤さんが独立したトイレをデザインしたのは今回が初めて。話を受けた際、「日本の売りの一つである『清潔で美しい国』というのが発信できればいいなと思った」という。「雨宿りもできるし、風通しもいいし、中に入ると美しい。汚れていなければ人はあまり汚さないものだから、きれいにずっと保ってもらえたら」と期待を込める。「小さいなりに大きな発信力があるようにつくった。公園全体を輝かすことができれば」とも。

 同プロジェクトでは、これまでに恵比寿公園トイレ(渋谷区恵比寿西1、片山正通さん)、代々木公園近くの代々木深町小公園トイレ(富ヶ谷1)、はるのおがわコミュニティパークトイレ(代々木5、以上坂茂さん)、恵比寿東公園トイレ(恵比寿1、槇文彦さん)、恵比寿駅西口・JR線線路沿いの東三丁目公衆トイレ(東3、田村奈穂さん)、渋谷区立西原一丁目公園トイレ(渋谷区西原1、坂倉竹之助さん)を改修した。

 維持・管理は日本財団と区、一般財団法人渋谷区観光協会が協定を結び行う。清掃は民間企業に委託し、これまでの1日2回から3回に増やすという。本年度から3年は日本財団の助成を受け管理していく。

 今年は神宮通公園トイレが最後となる予定で、残り10カ所は来年の完工・供用開始を予定。

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