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渋谷駅前広場「ハチ公像」で慰霊祭 没後84年、作者・安藤士さんお別れ会も

花輪をかけられたハチ公像

花輪をかけられたハチ公像

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 渋谷の待ち合わせスポットで観光名所としても広く知られる渋谷駅前広場の「忠犬ハチ公像(以下ハチ公像)」前で4月8日、モデルとなった秋田犬「ハチ」の慰霊祭が行われた。

制作者・安藤士さんのお別れ会も開かれた

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 ハチは、現在の東急本店(渋谷区道玄坂2)裏手付近に住んでいた東京帝国大学(現・東京大学)上野英三郎博士に飼われていた秋田犬。

 1923(大正12)年11月に秋田・大館市で生まれ、上野博士を渋谷駅(現・JR渋谷駅)に送り迎えをしていたハチは、1925(大正14)年に上野博士が亡くなった後も駅前で博士の帰りを待った。その様子を模して彫刻家の安藤照が制作した同像は1934(昭和9)年に設置。ハチは除幕式に出席するも、翌1935(昭和10)年3月8日に死んだ。太平洋戦争中の1944(昭和19)年、金属類回収令により同像は撤去されるが、1948(昭和23)年に安藤の長男・士(たけし)さんが2代目となる現在の像を制作した。

 1936(昭和11)年以降、ハチの命日から1カ月後に当たる4月8日に行っている慰霊祭は今年で84回目を迎えた。主催した忠犬ハチ公銅像維持会・上條清文会長は、100年に一度といわれる大規模な再開発が進む渋谷を背景に、「街の姿は変化しようとも、訪れる人々が変化しようとも、ハチ公像を街のシンボルとして守っていくことで、ハチ公が教えてくれた無償の愛や忠義の精神、敬愛の念の大切さなどを後世に伝え継いでいきたい」とあいさつ。長谷部健渋谷区長は「ハチ公は渋谷区のシンボル。多くの人に愛されて大切にされ、今ではハチ公を目当てに来街する方も多くいらっしゃる。これからもしっかりと大切にしてシティプライドの象徴として活躍してもらいたい」と話した。

 祭典では、金王八幡宮(渋谷3)の神主による修祓(しゅうばつ)、祝詞の奏上後、上條会長や長谷部区長、福原淳嗣(じゅんじ)大館市長、士さんの長女・順子さんら参列者が玉串を奉典。最後に上條会長と丸山高司渋谷区議会議員がハチ公像に花輪を献上した。

 作者である士さんが今年1月に亡くなったことから、「多くの皆さんに敬愛されている安藤先生に、心から敬意と感謝の誠をささげる」(上條会長)、「これからも渋谷の街を見守っていただきたい」(長谷部区長)とそれぞれ故人をしのんだ。この日は、渋谷エクセルホテル東急(道玄坂1)で士さんのお別れ会も開かれた。

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