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雑誌「ぴあ」、アプリで復活 休刊時「戻ってくる」、ファンとの約束守る

イラストレーター及川正通さんによるカバー画像も引き続き起用する

イラストレーター及川正通さんによるカバー画像も引き続き起用する

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 2011年に休刊したエンターテインメント情報誌「ぴあ」が11月29日、スマートフォン向けアプリ版で復活した。チケット・出版事業を手掛ける「ぴあ」(渋谷区東1)が同日、発表した。

独自開発したというユーザーインターフェース(UI)

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 紙媒体だった同誌のエンターテインメント情報を継承しながら、デジタル化・ネット化による機能性・利便性を加えた「新しい『ぴあ』」を打ち出す。6月にテスト版を開始し、ダウンロード数は20万を超える。8月に本創刊を予定していたが、機能のブラッシュアップに向け開発期間が必要と判断し延期していた。

 左からドロワーメニューを引き出してメニューを出すオーソドックスなユーザーインターフェース(UI)だったテスト版に対し、複数のコンテンツに対し利便性アップや動作の簡略化を図り「チャンネル的UI」として独自のナビゲーションUIを開発。一部コンテンツでアプリ内課金(月額500円)を設けた(アプリのダウンロードは無料)。

 新サービスでは紙媒体時と同様、メジャー・マイナーを問わず幅広いエンタメ情報を紹介し、「いま」「ここ」など時間や場所ごとに行われているイベントの情報を一覧表示する検索機能「今すぐぴあする」や、みうらじゅんさん、池上彰さんら著名人や文化人の連載を毎日更新。エンタメの「目利き・ツウ」が100人以上参加する「水先案内人」コーナーでは、案内人によるお薦め作品を紹介。各コンテンツには関連画像をはじめ一部予告編映像なども掲載する。

 アプリならではのサービスでは、「マイノート」機能として作品や公演情報の中からリマインダー(「みたい」リスト)やエンタメダイアリー(「みた」リスト)を作成できるほか、連載やニュースなど好きな記事を「取り置き」できるブックマーク機能も用意した。

 そのほか、情報誌「ぴあ」の表紙を映画館や美術館の窓口で提示することで入場料の割引サービスを受けることができた「マルぴ」もアプリ内で復活。作品・公演情報のうち「チケットぴあ」で取り扱いのあるものは専用マークをタップすると販売ページに直接つながる仕組みなども。

 アプリでは、休刊まで「ぴあ」の表紙を35年以上にわたり描き続けたイラストレーター及川正通さんの表紙イラストも再び起用。毎月、新作の描き下ろしイラストがアプリの起動画面に登場する。読者同士や編集部とのコミュニケーションの場でもあった読者投稿コーナー「はみだしYOUとPIA」もデジタル版で復活している。

 1972(昭和47)年7月に創刊した同誌は、エンタメ情報誌の草分けとして映画・音楽・演劇・アートなどの興行スケジュールやアーティストインタビューなどの情報を掲載し、最盛期発行部数は80万部。休刊前はネットの普及で部数が一桁台まで落ち込み、「紙媒体として時代の役割は全うした」と判断し休刊を決定。一方で、「役割を見つけたら再び戻ってくる」とも明言し、7年半たち「実現した」(同社)と読者に向けコメントしている。

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