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かまぼこ屋根・並木橋駅…旧東横線の記憶を残す 渋谷ストリーム開業で新たな歩行者動線

渋谷ストリーム2階から代官山方面に貫通通路が伸び、足元には旧東横線の線路跡をイメージしレールが敷設

渋谷ストリーム2階から代官山方面に貫通通路が伸び、足元には旧東横線の線路跡をイメージしレールが敷設

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 大規模複合施設「渋谷ストリーム」(渋谷区渋谷3)が9月13日に開業するのと同時に、渋谷川沿いに「旧東横線の記憶を残す」新しい歩行者動線が開通する。

旧東横線ホームの「かまぼこ屋根」を再現

 渋谷駅から代官山や恵比寿方面へ向かう駅の南側は、もともと国道246号線で地域が分断され、歩行者のアクセスや開発の妨げになっていた。2013年3月、東横線と副都心線の相互直通運転に伴い、東横線渋谷駅と代官山駅間の線路は地下化。その後、渋谷駅南街区土地区画整理事業の一環として、旧東横線渋谷駅ホームと線路跡地を再編。渋谷ストリームの建設工事と一体的に、都市基盤と街区の開発を進め、渋谷駅から並木橋付近までの渋谷川沿い約600メートルにわたり、安全でスムーズな歩行を実現する遊歩道を整備した。

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 渋谷駅から渋谷ストリーム、川沿いの遊歩道へと続く新たな歩行者動線には、長年多くの人々に親しまれてきた旧東横線の遺構や面影を残すデザインを数多く取り入れている。かつての旧東横線ホームは国道246号線を高架橋でまたいでいたが、その国道上に架かる「太い鉄筋」は解体せずにそのまま利用。渋谷駅と東口歩道橋、渋谷ストリーム2階をつなぐ「国道246号横断デッキ」として生まれ変わり、地域分断を解消する。横断デッキの頭上では旧駅舎のアイコンである「かまぼこ屋根」、側面には「クラム型の壁」の意匠も再現。足元には旧東横線の軌道をイメージした「本物のレール」を埋め込み、白字で記された「TRACK NO1~3」は「1~3番線」を意味するという。

 「本物のレール」は、渋谷ストリーム2階を代官山方面に貫通する歩行者通路から、渋谷川沿いの遊歩道まで計約400メートルにわたり敷設。さらに並木橋や金王橋近くの遊歩道上には、旧東横線の高架橋の支柱を一部残し、鉄鋼やレールを組み合わせ化粧直ししたオブジェを遺構として設置した。オブジェや遊歩道上に記された番号は、渋谷駅から数えた高架橋の支柱の順番を示しているという。

 並木橋付近の遊歩道上には、戦前まで代官山駅と渋谷駅間に存在した「並木橋駅ホーム」をイメージした1段高いステージを設置。特別な表記は無いが、「幻の駅」の記録を残す貴重なモニュメントといえる。

 遊歩道の新設とともに、渋谷川の整備も併せて行った。今まで水量が少なく、どぶ川のイメージが強かった渋谷川は水景に乏しかったが、下水処理を加えた再生水を利用し清流と水流を復活。さらに渋谷ストリームに面した川の護岸には、人工の滝が流れる「壁泉」と呼ばれる水演出の設備を整え、以前まで薄暗かった高架下は明るい水辺空間へと変ぼうした。稲荷橋と金王橋付近の川上には、それぞれ広場を設け、今後、イベントや催事などでの活用を計画。駅の南側エリアに誕生する「新しいまち」のにぎわい創出の拠点としていく。

 13日に始まる「まちびらきプロモーション」では、産学官民連携で「Shibuya River Fes~あたらしい景色をソウゾウしよう~」と題し、渋谷川沿い遊歩道にランタンを並べるイベント「ツナグアカリ」(13~31日、稲荷橋・金王橋広場、遊歩道)や映画イベント「シブヤガワ映画祭2018」(16・17日、稲荷橋広場)、畑作りイベント「Urban Farmers Club in 渋谷川キックオフ企画」(23日、遊歩道)など、2週間にわたって広場や遊歩道でさまざまな企画を展開していく。渋谷川の整備に関わる渋谷区担当者は「明治通り沿いはヨウコウザクラ、駅側はソメイヨシノがあるが、この遊歩道には河津桜を植え、時期をずらしながら(街全体で)桜が長く楽しめるようにした」と季節を意識し植栽にも工夫を凝らしたという。

 新たな動線の誕生について、渋谷駅南街区プロジェクトの開発を担当する東急電鉄・渋谷戦略事業部の西澤信二さんは「(渋谷ストリームと渋谷ブリッジの)両端部に大きなストリートをつくり、新たな人の流れをつくっていきたい」と渋谷と代官山方面をつなげ、まちとまちの連携や相乗効果をより高める起爆剤として期待を寄せる。

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