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東京都写真美術館で杉本博司さん「ロスト・ヒューマン」展 新作含む3シリーズ

来館した杉本博司さん

来館した杉本博司さん

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 東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス内、TEL 03-3280-0099)2階・3階展示室で現在、「杉本博司 ロスト・ヒューマン」展が開催されている。

インスタレーション「今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない」

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 同館のリニューアルオープンと総合開館20周年を記念した同展。「人類と文明の終焉(しゅうえん)」をテーマに初公開を含む3作品を展示し、杉本さんの世界観や歴史観に迫る。

 現代美術家の杉本さんは1948(昭和23)年東京生まれ、1974(昭和49)年からNY在住。立教大学経済学部を卒業後、ロサンゼルスのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインで写真を学んだ。自然史博物館のジオラマを撮影した「ジオラマ」シリーズ(1976年~)、世界各地の海を同じ手法で撮影した「海景」シリーズ(1980年~)などで知られ、作品はNYメトロポリタン美術館、パリ「ポンピドゥー・センター」などに収蔵されている。紫綬褒章など国内外で受章・賞している。

 インスタレーション作品「今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない」は日本初公開となる。「理想主義者」「比較宗教学者」「養蜂家」「コンピューター修理会社社長」「ラブドール・アンジェ」「漁師」「国土交通省都市計画担当者」など、さまざまな職業・存在の視点から考えた「文明が終わる33のシナリオ」を、自身の作品や収集した古美術、化石、書籍、歴史的資料などで構成する。

 物と一緒に掲出するシナリオは、「私は○○(職業)だった。今日、世界は死んだ。もしかすると昨日かもしれない。」という書き出しで手書きされている。生物学者・福岡伸一さん、音楽家・渋谷慶一郎さん、文楽・豊竹先甫太夫(さきほだゆう)さん、日本文学者のロバート・キャンベルさん、クリエーティブ・ディレクター小池一子さん、お笑いコンビ「極楽とんぼ」加藤浩次さんらが代筆した。

 展示室内はパリ近郊で集めたさびれたトタンに囲まれた空間に仕上げた。杉本さんは、「(リニューアルして)ピカピカになったと思ったら廃墟のような空間になっている皮肉な展覧会」と笑う。「(33のシナリオは)『そうなってはいけない』というシナリオで、警鐘を表す作品にしたくて説得力のある物で形にした」という。

 「廃墟劇場」は映画1本分を1枚の写真にした作品で、1976年から制作している杉本さんの代表作の1つ「劇場」シリーズを発展させた新シリーズ。廃墟と化した米国内各地の劇場でスクリーンを張り直し、スクリーンを持ち込んで杉本さん自身が選んだ映画を上映。三脚で固定した8×10インチ判カメラのシャッターを開放し、映画1本分の光量で劇場全体が写り込むように長時間露出した。作品は、「渚にて」(スタンリー・クレーマー監督、パラマウント・シアター)、「羅生門」(黒澤明監督、フランクリン・パーク・シアター)、「ゴジラ」(本田猪四郎監督、ケノーシャ・シアター)など。「さびの美学や物の哀れさ、滅びの美をどう見せるかを考えた」と杉本さん。

 「仏の海」はインスタレーション作品。7年越しの撮影交渉の末、1995年5月の早朝に撮影した京都・蓮華王院法堂(通称・三十三間堂)の千手観音1000体の写真9点と、光学ガラスで制作し水を表す球体部分に「海景」を配した「光学五輪塔」1基で構成する。自然光のみで撮影することで「平安時代の貴族が見ていた姿を今の時代に再現しようとした」(杉本さん)という。

 開館時間は10時~18時(木曜・金曜は20時まで)。観覧料は、一般1,000円、学生800円、中高生・65歳以上700円ほか。11時13日まで。

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