岡本太郎「明日の神話」デッサンを初公開-昨年発見、修復完了で

初公開される岡本太郎「明日の神話」のデッサン。絵画修復家・吉村絵美留さんによって「定着処理」が行われた

初公開される岡本太郎「明日の神話」のデッサン。絵画修復家・吉村絵美留さんによって「定着処理」が行われた

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 岡本太郎記念館(港区南青山6、TEL 03-3406-0801)は11月29日より、今月17日に渋谷駅で公開が始まった岡本太郎の巨大壁画「明日の神話」のデッサンを初公開する。

渋谷駅に恒久設置された巨大壁画「明日の神話」

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 デッサンは、岡本太郎研究第一人者のひとり、川崎市民ミュージアム学芸員の大杉浩司さんが昨年11月の展覧会準備中に岡本太郎記念現代芸術振興財団の資料室で発見したもの。ほかの作品のスケッチなどが入った紙箱に、折りたたまれた状態で保管されていたといい、3枚の紙をつなげ木炭で描かれていた。サイズは、縦30センチ、横182センチ。

 発見時の作品は木炭が飛び散ってしまいそうなほど「未定着」な状態だったが、絵画修復家・吉村絵美留さんによって裏に和紙を貼るなどの定着処理が施され、展示できる状態になった。吉村さんは「デッサンには木炭の粉がすごく残っており、コーヒーの染みなどもあった」と修復前の状態について話す。

 明日の神話には、今回のデッサンとは別に油彩下絵が5枚(0号~4号)現存。2006年秋に同館のアトリエで白塗りの状態で発見された「0号」は、赤外線撮影を行ったところデッサンが浮かび上がり、再調査したところ初の下絵であることが判明。広島市現代美術館(広島市)で展示されている「1号」のサイズは、0号よりも少し大きい縦48センチ、横195センチ、続く2号や3号なども5分の1、3分の1のスケールで段階的に描かれており、下絵のサイズを徐々に大きくすることで最終的な縦5.5メートル、横30メートルの巨大壁画に近付けていったと見られている。

 「明日の神話」再生プロジェクト・ゼネラル・マネージャーの平野暁臣・岡本太郎記念館館長は、今回初公開するデッサンについて「今回のデッサンは「明日の神話の原子核のようなもの。頭の中にイメージしたものを瞬間的に描いた作品だと考えている。この時すでに大枠は現在とほとんど同じということが見て取れる」と話している。

 開館時間は10時~18時(入館は17時30分まで)。火曜・祝日、12月1日、12月28日~来年1月4日は休館。入場料は一般=600円、小学生=300円ほか。

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