キューバ映画の「名作」が日本初公開-革命後のハバナ情勢描く

映画「低開発の記憶−メモリアス−」より。ドキュメンタリー映像も交えながら革命直後のキューバ情勢に迫る

映画「低開発の記憶−メモリアス−」より。ドキュメンタリー映像も交えながら革命直後のキューバ情勢に迫る

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 映画「バベル」出演の俳優としても知られるガエル・ガルシア・ベルナルさんも「人生で最も影響を受けた作品」と公言し、およそ40年前に公開されて以来各国で「名作」と称されるキューバ映画が、5月26日より渋谷「ユーロスペース」(渋谷区円山町、TEL 03-3461-0211)でレイトショー公開されている。

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 キューバ人作家エドムンド・デスノエスさんの同名小説「低開発の記憶-メモリアス-」(原題は「Memorias del subdesarrollo」、日本語訳は「いやし難い記憶」小田実訳で1972年筑摩書房刊)を映画化したキューバ映画の「原点」的作品で、監督は「苺とチョコレート」(1993年)でアカデミー賞にノミネートされたトマス・グティエレス・アレアさん。本国キューバではフィルム上映に対応できる劇場がなく、制作から30年以上公開されなかった「いわく付き」の作品。

 映画の舞台はキューバ革命後の1961年、カストロ議長率いる武装勢力の指揮下にあった首都ハバナ。物語は、共産主義を唱えたカストロ軍からの影響を逃れるため資産家などが相次いで米国に亡命する中、独りハバナに留まる青年、セルヒオを中心に描かれる。ドキュメンタリー映像を交えながら当時の社会に迫る名作として、国際映画祭にも度々出品されてきた。

 日本で初めて同作の配給に着手した映画配給会社「アクション」(宇田川町)の比嘉世津子社長は「欧米では(映画関連の)専門学校で教材としても使われる作品と聞いた。公開から40年、とても息の長い作品」と語る。キューバでは長年、フィルム上映に対応する劇場がなく公開が先送りにされてきたが、2004年「キューバ映画芸術産業庁(ICAIC)」が公開に向けて動き出し、昨年ようやく本国での上映が実現した。

 この試みでは、スペインやメキシコなどのスタジオの協力を得て同作を含む18作品のデジタル化に成功。今回日本で上映されるフィルムも同プロジェクトでデジタル化されたものだという。同作は26日から渋谷・ユーロスペースでの先行レイトショーを開始し、今後は大阪や京都、名古屋などでも順次公開を予定している。

低開発の記憶-メモリアス-(公式ページ)

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