Bリーグ・サンロッカーズ渋谷（以下、SR渋谷）が3月20日、シーホース三河（同、三河）と対戦した。

　前日の試合で「エナジーが足りなかった」（伊佐勉ヘッドコーチ（HC））立ち上がりは、三河の攻撃を制限時間いっぱい守ったりボールを奪ったり好守を見せる。しかし、「オフェンスが停滞」し10-21で第1クオーター（Q）を終える。第2Qはゴール下へのアタックからのパスで得点を挙げるなど連携したプレーも見られたが、同Q後半はミスやファウルで得点が鈍化。ディフェンス面では、三河の日本人シューターに「上手いスクリーンの使い方をされてディフェンスが後手になり」（伊佐HC）32失点。29-53とリードを広げられる。

　前半のオフェンスに関して伊佐HCは「外角だけでボールを回していた」点を指摘。田渡修人選手は「ペイントタッチ（ゴール下の制限区域にボールを進めること）が足りない。（打った3ポイント（P）シュートも）良いシュートなのかと言われたらそうじゃないシュートも多かった」と続けた。「シューターのシュート本数が増えると良いオフェンスをつくれているという一つの指標になる。良いシュートをいかにチームでつくれるかをやっていかないといけない」とも。

　第3Q、SR渋谷は三河より10本多くシュートを放つも確率が上がらず、点差を詰められないまま最終Qを迎える。ジェームズ・マイケル・マカドゥ選手がミスマッチを突いてゴール下で得点を重ねるも三河の得点を抑えきれず点差は広がり、残り約7分にリバウンドから速攻を許すとほとんどの選手がディフェンスに戻らなかった。「渋谷のチームにはそういうバスケットは無い」と伊佐HCはタイムアウトを要求。試合後にも「あのようなことがあってはならない」と伝えたという。その後は選手を4人入れ替え、前線からプレッシャーを掛けボールを奪いにいき、リバウンドから速攻を仕掛けるなど最大31の点差を追い上げたが、74-93で試合終了。今節は連敗となった。

　この日14得点を挙げたジョシュ・ハレルソン選手は、三河の主力選手のダバンテ・ガードナー選手とマッチアップ。プレッシャーを掛けてボールを奪うプレーなど好守も見せたが、伊佐HCは「ダバンテにはできるだけジョシュをマッチアップさせると話していた。ジョシュじゃないとあれだけ抑えられないかな」と評価した。そのハレルソン選手は、時計が止まると選手を集めハドル（円陣）を組み、仲間に声を掛ける姿も見られた。

　最終Q、田渡選手はミスを誘発するディフェンスに加え速攻に走るなど6得点を挙げたが、「昨日の広瀬（健太）さんじゃないが、チームに何かきっかけをもたらせたかった」と振り返る。「最年長の広瀬さんがあれだけエナジー出してやってくれているので、もっと僕たちも反応しなきゃいけない。若い子にもプレーしやすくさせてあげたいし、一緒になれるようなチームづくり、雰囲気づくりをしないといけない」と話す。

　この日は出場しないQもあり「自分の中でも葛藤している部分はある」としながらも、「（個ではなくチームで戦うというチームスローガン）の『結』には、最初に自己犠牲がくると思っている。試合に出ている時も皆のために、出られていない時には違う役割があると分かっている」と続ける。その一つとして、ベンチからは声を出してチームを盛り立てているが、「もっと皆に伝染しなきゃいけないのでオーバーにやっている」と言う。武器である3Pについては「ここ最近ずっとシュートタッチは良いので、決めきることよりも打ち切ることを意識している。シューティング本数もめちゃくちゃ増やしているので、そこを信じて貢献できるよう継続したい」とも。

　ケビン・ジョーンズ選手が加入した今月15日にミーティングをした選手たち。前線からのボールプレッシャーを掛けるなど「激しいディフェンス」やスローガンの「結」の精神といった「スタンダードとは何かを確認して、もう一回やろう」と取り組んでいる。チームは5連敗と苦しい状況だが「負けているから明るくは無いが、より良くなるためにはどうしたら良いかを全員で考えてやっているのでそんなにも暗くない」と田渡選手。「自分たちのやることを徹底的に遂行するしかない。全員がプライドと責任を持って2400秒、最後までどのタイミングで出ても仕事をして戦い続ければ違ったかたちの結果が付いてくると思う」と力を込めた。

　次節となる今月23日は10試合ぶりのホームゲームとなる。田渡選手は「ホームは守らないといけないので、ファンの皆さんの声援も借りて、チーム全員で一丸となって『結』の力で頑張っていきたい」と意気込み、伊佐HCは「ホームの勝率が良いのはファンの皆さんがいるおかげなので、連敗を止めるべくファンの皆さんも会場に来ていただきたい」と呼び掛けた。