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サンロッカーズ渋谷、「天皇杯」優勝 激闘の末に川崎下す

優勝し天皇杯を掲げたサンロッカーズ渋谷の選手たち

優勝し天皇杯を掲げたサンロッカーズ渋谷の選手たち

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 サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が1月12日、「第95回天皇杯全日本バスケットボール選手権大会」決勝戦で川崎ブレイブサンダース(同、川崎)を78-73で下し優勝に輝いた。クラブとしてはNBL時代の2015(平成27)年以来2回目となる。

試合終了のブザーが鳴り喜びを爆発させたサンロッカーズ渋谷の選手たち

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 「最初から4クオーター(Q)勝負だと思っていた」という伊佐勉ヘッドコーチ(HC)の言葉通り、最後まで勝負の行方が分からない試合となった決勝戦。4点リードで迎えたSR渋谷だったが、残り4分36秒で同点に追いつかれると、キャプテンでエースのベンドラメ礼生選手が「指示通り」(伊佐HC)連続でドライブ(ドリブルでリングにアタックするプレー)からレイアップを仕掛けたが「難しいアタックになった」(伊佐HC)と3分13秒で一度ベンチに下がった。そこで伊佐HCが投入したのは、10年来の付き合いでbjリーグ時代に、同じチームでリーグ決勝戦を戦った経験のある山内盛久選手と、昨年まで所属していたチームで天皇杯3連覇を経験していた石井講祐選手。

 山内選手はピック(スクリーン)に対して川崎のディフェンス(DF)がアンダーを通っているのを見逃さず3ポイント(P)シュートを決めたほか、ピック&ロールからセバスチャン・サイズ選手の得点をアシストし73-69とリードを奪ったが、川崎もすぐに1点差まで詰め寄った。残り1分21秒で再びコートに戻ったベンドラメ選手は、「時間を使って決められれば落ち着く」とゲームの組み立てを考えたという。残り約1分、「決めるなら僕が」とドライブを仕掛けたが川崎のDFに阻まれボールを奪われたが、川崎がシュートを落とし44.6秒でボールを保持すると、ライアン・ケリー選手がドライブを仕掛け得たファウルはアンスポーツマンライクファウルに。30.1秒でSR渋谷のオフェンスから試合はリスタートし、ベンドラメ選手がドライブを仕掛けたが「一瞬、パスにするか(シュートにするか)迷った」瞬間にDFに追いつかれターンオーバーになると、出した手がファウルとなり「やってしまった」と頭を抱える仕草を見せた。

 残り17秒、2点リードで川崎・辻直人選手にフリースローを与えると、サイズ選手はファンをあおる仕草を見せ、それに応えるように会場に集まったSR渋谷のファンからは大きなブーイングが沸き起こった。「ファンの声援がミスを誘った」(サイズ選手)と辻選手のフリースローは1本外れ、16.2秒、1点リードで伊佐HCはタイムアウトを要求。川崎がファウルゲームをしてくる可能性に対し、「ボールを受ける順番」を指示。時間を9.5秒まで進めファウルを受けたのは石井選手。「緊張感はあったが(試合を決めるようなシュートは)自分が望んでいたこと。落ち着いて打てた」とフリースローを2本決め、リードを3点に広げた。ここで川崎がタイムアウトを要求すると、伊佐HCは「2点なら(決められても)OK」と全員で確認した。

 タイムアウト明け、シューターでもある川崎の辻選手が3Pを放ったが、「打った瞬間(軌道)がずれたのが分かった」(伊佐HC)と言ったよう、ボールはリングをかすめて外れた。シュートチェックに飛んだライアン・ケリー選手は「スタッツに残っているかは分からないが、指先で触れた感触があった」と言う。そのリバウンドを抑えたのは、残り9.5秒のタイムアウト後に投入されてた広瀬健太選手。「コートに入る時にリバウンドを取って、ボールを保持してフリースローをもらったらおいしいとイメージしていた(笑)」と言い、「決めてきれいに終わろう」とフリースロー2本を沈め勝利を決定づけた。

 ベンチでは終盤、選手たちが肩を組んで戦線を見守る姿が見られた。一進一退の攻防に一喜一憂していたことから「落ち着け」と関野剛平選手が肩を組み始め、「一致団結、皆で勝とう」(関野選手)と思いを込めた。広瀬選手がファウルを受けた瞬間、伊佐HCはベンチの選手らの元に歩み寄った。bjリーグで優勝をした時も「泣いていた」と言うが、この日は「試合に出られなかったCJ(チャールズ・ジャクソン選手)がしっかりゲームに入ってくれていた。お礼を言いに握手をしに行こうと彼の顔を見たら涙腺が崩壊してしまった」と言う。そこで山内選手に「『まだ終わっていないから』としかられて…。いつものパターンだった」と苦笑いしながら振り返った。

 伊佐HCはbjリーグ時代に優勝は経験していたが「Bリーグになりレベルが上がっている中、天皇杯を優勝できたのは、どえらいことをさせてもらった。4年目というこんな早い時期に優勝できるとは、僕の人生プランに全く無かったので、早すぎるうれしい結果」と勝利を喜んだ。

 ベンドラメ選手は「シーズン前から戦える自信はあったが、勝ち星を重ねるごとに確信に変わっていったし、(今日も)勝てる自信があった。結果が付いてきて良かった」と話す。「リーグ(シーズン)の途中だが日本一を取れたのは自信になったし、うれしいが通過点。天皇杯で優勝したチームがリーグを優勝しているのは見ていないので、強さを表現し続けられたら」と、後半戦を迎えるBリーグに向け意気込んだ。

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