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渋谷区役所新庁舎、内部公開 手続きのワンストップ化、危機管理システム一新

吹き抜けになっている2~3階をつなぐ2階総合案内付近

吹き抜けになっている2~3階をつなぐ2階総合案内付近

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 公園通り沿いで建て替え工事が進められてきた渋谷区役所新庁舎の内部が1月5日、関係者らに公開された。

ワンストップで対応する2階

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 1964(昭和39)年、隣接する公会堂と共に建設された旧庁舎。2011年の耐震診断調査の結果を受け、公会堂と共に2015年11月、建て替え工事に着手。今月14日までは、旧東京都児童会館跡地などを活用した仮庁舎で業務を行っている。

 新庁舎は区立神南小学校に隣接して建築。地下2階~地上15階の17フロアで、面積は3万1400平方メートル。非常階段のサインなどには区公認のパブリックデータ「シブヤフォント」を採用するほか、エレベーターホールの各階を示すサインなどには、点字と墨字(点字では無い文字)を一体にすることで視覚障がい者も晴眼者も読める書体を制作するプロジェクト「Braille Neue(ブレイルノイエ)」を取り入れている。

 移転を機にフロア内は壁を無くしたオープンフロアにし、職員同士のコミュニケーションの活性化を図るほか、モバイルPCやオンライン会議の導入などICT化やグループアドレスの導入など執務環境の変更などで「ワークスタイル改革」を進める。

 新庁舎には、これまで各所に散らばっていた課も集約することで区民の利便性向上を図る。エントランスを設ける1階と2階に総合案内を用意し、1階ロビーでは区民の作品を展示するスペースも設けるという。同フロアには、区と包括連携協定「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定を結んでいるコンビニエンスストア「セブン-イレブン」が出店するほか、高齢者や障がい者を雇用する飲食店を併設。両店舗の間には食事や待ち合わせなどに利用できるフリースペースも設けている。

 2~3階のエスカレーター周辺は吹き抜けの開放的な空間となっている。福祉関連の窓口を集約する2階には20以上のカウンター席を用意し、来庁者の要望に合わせて各担当者が入れ替わりながら相談から手続きまでワンストップで対応。フロアマネジャーが空席案内をすることで待ち時間を短くしたり、窓口は隣席への声もれ防止や後方からの視線を防げるようにL字型のパネルにしたりするなどサービス面でも配慮する。

 転入や転出、マイナンバーなどに対応する住民戸籍課、国民年金などに対応する国民健康保険課のフロアとなる3階は多くの区民が利用するフロアとなる。転入など住民登録の移動届出書を自動作成できるようシステムでサポートするほか、住民登録などに付随する申請にも対応できるよう、子育て給付の窓口なども設ける。

 渋谷ヒカリエ(渋谷2)から移転する防災課は8階に設置。災害発生時に設置する災害対策本部では、室内に110インチのスクリーン3基を備えシステムも一新。リアルタイムで鉄道6社の運行情報や電機・ガス・水道などのライフラインに関する情報のほか、アイコンを活用した被害情報、避難所の状況などの情報を集約し表示する。移転に合わせ区のホームページ内にある防災ポータルサイトもリニューアルするほか、3月には防災関連のアプリも配信する予定で、災害時の情報収集にも活用する。

 13階の議場には約60席の一般傍聴席と、子連れでも傍聴できる防音型の親子傍聴席も用意。最上階の15階は多目的スペース「スペース428」で、オリンピック・パラリンピック関連や「おとなりサンデー」など区のイベントに活用する予定。ガラス張りの窓からは代々木公園や新宿方面、再開発が進む渋谷駅方面などを一望することができる。

 新庁舎に移転後、現在の仮庁舎は第1庁舎を「第二美竹分庁舎」とし、中央保険相談所・生活福祉課を設置。時期は未定だが第2・3庁舎は解体する。併せて、神南分庁舎も建て替える予定で、将来的にフィンランドの子育て支援「ネウボラ」を参考にした「渋谷区版ネウボラ」事業の中核を担う施設を置く予定。

 開庁は今月15日。同時に建て替えている渋谷公会堂は5月末に完工し、今秋のオープンを予定する。

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