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1964年の渋谷をVRで再現 プロジェクト始動、一般にも協力呼び掛け

1964年に撮影された複数の渋谷の写真を元に再現された「3Dモデリング」のトライアル

1964年に撮影された複数の渋谷の写真を元に再現された「3Dモデリング」のトライアル

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 過去の写真から「東京の街をVRで再現するプロジェクト」を推進する一般社団法人「1964 TOKYO VR」(渋谷区東2)が立ち上がり、10月25日、渋谷ヒカリエで会見を開いた。同時に1964(昭和39)年の渋谷かいわいの街並みをVRで再現する「1964 SHIBUYA VR」プロジェクトも始動した。

応援に駆けつけた萩本欽一さん、長谷部区長ら

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 発起人は、スマートフォンで視聴する「VRドラマ」制作で知り合ったという日本テレビの土屋敏男さんとライゾマティクス社長の齋藤精一さんの2人。土屋さんは2年ほど前から「今昔鎌倉写真」プロジェクトを手掛け、「昔のまち」の写真と、同じ場所で撮影した「今のまち」の写真を見比べて、多世代間で地元愛を醸成していく活動を続けている。「今昔鎌倉写真」が注目を集め、鎌倉以外のエリアでも徐々に広がりを見せる中、齋藤さんは過去のまちの写真を集めて最新の3D技術「フォトグラメトリー」という手法を使い「記憶の中の街並み」を再現するアイデアを土屋さんに提案。「2020年の東京オリンピックを控える中、前回大会のあった1964年の東京はどのような風景だったのか、当時の東京を再現して比較したら面白いのでは」と土屋さんも賛同し、今回の組織設立に至ったという。

 第1弾として始動するのは、1964年当時の渋谷かいわいの街並みを360度で見られるVRで再現する「1964 SHIBUYA VR」プロジェクト」。東京の中で「渋谷」を選定したのは、「100年に一度の大規模開発が進み、2020年までに駅周辺に4つの超高層ビルの開業が控えるなど、今後ますます世界から注目される街であるため」(土屋さん)。現在、東急電鉄や渋谷区、宮益坂町会、読売新聞などの協力を得て、1964年前後の昔の写真や航空写真を収集し、3Dモデリングのトライアルを進めている。ただ、収集している写真だけでは「一方向から撮影した写真が多く、その反対側の街の3D化がまだできてない」(齋藤さん)と課題も挙げ、「より高精度な渋谷の街並みを再現するためには、多視点から撮影した数多くの写真がもっと必要」という。そこで、同プロジェクトでは、「みんなでつくるタイムマシン」というコンセプトの下、1964年前後の渋谷の街の写真を持つ一般にも広く写真提供を呼び掛けている。

 併せて、プロジェクトに賛同し組織の活動を支援する個人・団体による賛助会員の募集も開始。会見には、土屋さんとの交友関係から第1号の特別賛助会員となった萩本欽一さんも駆け付けた。萩本さんは「面白い内容だが、土屋(さん)だけだと無謀だけど、隣に優れ者(齋藤さん)がいるので安心した。僕は1964年当時、渋谷に住んでいたが、高速道路がもう少しでできるという頃に浅草に修業に出た。その後、トリオで一人前になって、さあテレビに行くぞと思い始めた時に、3人のうち一人が辞めると言い出して…。そいつのおふくろが渋谷の街角で煎餅屋をやっていたが、アパートを建てるので立ち退いてくれと言われ…(お金ができて)コメディアンなんてやっている場合じゃないと。ある意味、渋谷に振り回されてコント55号が生まれた(笑)」と当時を振り返った。

 渋谷VRの完成後は「教育ツールや、さまざまなアイデアで活用してほしい」(齋藤さん)とオープンデータとしての公開を目指す。「渋谷」のほか「2020年までに東京全体へ」、それ以降も継続して「神奈川や千葉、2025年の大阪万博など、全国や世界にも活動を広げていきたい」(土屋さん)と夢を膨らませる。

 11月4日・5日に開催予定の「くみん広場 ふるさと渋谷フェスティバル2017」(代々木公園)では、同プロジェクトのブースも出展。一般が所有する写真を、スタッフがその場でスキャンする。開催時間は、4日=10時30分~16時30分、5日=10時~16時。

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