写真美術館で故・稲越功一さんの写真展-生前の思いそのままに

写真集「Maybe, maybe」(1971年)では、アメリカの日常を憧れと共に生き生きと切り取った

写真集「Maybe, maybe」(1971年)では、アメリカの日常を憧れと共に生き生きと切り取った

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 1960年代後半から時代を切り取る写真を撮り続け、今年2月に逝去した写真家・稲越功一さんの原点を伝える企画展「心の眼 稲越功一の写真」が8月20日、東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス、TEL 03-3280-0099)で始まった。

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 1941(昭和16)年岐阜県生まれの稲越さんは、1970(昭和45)年にフリーランスの写真家として活動を開始。「沢田研二 ぼくの中の男たち」(1976年、朝日新聞社)や「美空ひばり写真集」(1986年、竹書房)など数多くのポートレート撮影を手掛ける一方で、何気ない日常の光景を鋭いまなざしで切り取ったスナップショットの写真家としても知られる。

 同展は、稲越さんが1960年代後半にアメリカに渡り、憧憬(どうけい)の思いでアメリカの日常を切り取ったシリーズ「maybe,maybe」からスタートし、70年代に入ってテレビの画面を撮影したシリーズ「meet again」、80年代バブル直後から失われていく煙突や路地裏などの下町風景を独特なソフトフォーカスで撮り残したシリーズ「記憶都市」など、稲越さんが時代とともに歩んだ道のりを124点の写真群を通して明らかにする。

 会場では、白壁中央にモノクローム写真が直線的にシンプルに並ぶ。同展は稲越さんの存命中から計画していたもので、写真の展示順序や、説明や装飾をほぼ排除した独特の展示スタイルは、生前の稲越さんが希望していたものだという。同館専門調査員の金子隆一さんは「わたしや稲越さんの家族、友人たちの間では、この展覧会は稲越さんの生前最後の個展だと思っている」と話す。

 開館時間は10時~18時(木曜・金曜は20時まで、入館は閉館30分前まで)。月曜休館(9月21日は開館)。入場料は、一般=700円、学生=600円ほか。10月12日まで。

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