特集

大手・異業種の参入で過熱する
渋谷「ジュニア・マーケット」春の陣

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■市場細分化が進み、大手や異業種もマーケットに参入

デフレ経済下の数少ない成長分野でもある「ジュニアマーケット」がさらに拡大基調にある。ジュニア市場とともに、彼女たちの母親世代にあたる40代ミセスにもスポットが当たり、次いでヤングミセスとその子供たちにもマーケットの裾野が広がりつつある。いわば「ジュニアマーケット予備軍」とも言える世代。「トドラー」(=Toddler)は、ファッション、アパレル業界で使われる用語。市場細分化(マーケット・セグメンテーション)における年齢設定では、ベビーとキッズの間に位置するオムツのとれた2~4歳までの幼児向けの商品を扱うマーケットを「トドラー市場」と呼んでいる。

2002年4月1日に総務省統計局統計センターが発表した「年齢3階級別こども数」では、0~2歳=352万人/3~5歳=357万人/6~8歳=359万人/9~11歳=362万人/12~14歳=387万人となっており、少子化の加速傾向が浮かび上がる。

総務省統計局統計センター

同センターは、年齢別人口統計のひとつの指標として長らく「年齢5歳級別人口」を採用してきたが、少子化の加速を背景に、より正確な人口推移を把握するために上記の「年齢3階級別こども数」を発表した。しかし、実際の市場では2歳の差が商品構成を大きく変えることもあり、年齢別の呼称も、個人の成長の差が顕著になる「ジュニアマーケット」においてはさらに下記のようにさらに細分化の傾向を強めている。この中では「ベビー」と「キッズ」の間に「トドラー」を配することにより、その母親世代にあたるヤングミセスマーケット(20代後半~30代前半)の存在も顕著になってきた。

  • ベビー(0~2歳)=ベビーマーケット
  • トドラー(2~4歳)=キッズマーケット
  • キッズ(5~8歳)=チャイルドマーケット
  • ローティーン(9~14歳)=ジュニアマーケット
  • ハイティーン(15歳~19歳)=ヤングマーケット

関連業界でも「トドラー」マーケットを意識した動きが加速している。「オリコン・エンタテインメント」が発行する子供のためのオーディション誌「キッズ・デビュー」は今春よりキッズファッション誌にリニューアルした。4月号の特集は「トドラー・ファッション大提案」。同社では従来のキッズのための芸能界デビュー情報とあわせて、ファッションにも軸足を置き、ビジュアル展開を見せている。

キッズ デ・ビュー

イギリスの高級ブランド「バーバリー」を扱う「三陽商会」は2000年秋冬から「スクールライン」「ベイビー・トドラーライン」をスタート。同社は「バーバリー」の派生ブランドとして、先行して20代の女性をターゲットとしたブランド「ブルーレーベル」、続いて30代の男性をターゲットとしたブランド「ブラックレーベル」を開発し、それぞれ人気ブランドへと成長させた。同社広報部によると、2002年1月には「バーバリー」子供服全店舗の店頭前売りが予算比で2桁増と好調な推移を見せたという。すでにブランドイメージを確立しているブランドが従来のブランドイメージを活かしながらも、従来のブランドとは区別できる派生ブランドを送り出す理由は、そのブランドのファンに夫婦・親子で複数のアイテムを購入してもらうための戦略。例えば、ヤングママは「ブルーレーベル」、パパは「ブラックレーベル」、その夫婦が子供に着せるブランドが「ベイビー・トドラーライン」という図式となる。

三陽商会

一方、「組曲」「23区」「自由区」など主力ブランドを持つアパレル大手の「オンワード樫山」も2000年にはファミリー層を狙った「組曲ファム」を立ち上げ、郊外型ショッピングセンターで展開をスタートした。「トドラー・マーケット」もここに組み込まれている。さらに同社は今春、本格的にジュニア市場にも参入。2月に誕生した「組曲ガール」は10~13歳の女子を対象としたブランド。「ジュニアガールのオフタイムシーンに向けて、シンプル、アクティブ、コンテンポラリーをキーワードに新しいスタイルのジュニアファッションを提案する」という。同社広報部の白井さんは「当社ではファッションに目覚める年頃の女の子に向けたブランドがなかったが、『ナルミヤさん』(=ナルミヤインターナショナル)が開拓したジュニアマーケットが今日拡大しており、当社としても取り組んでみようと考えた。将来的に20代前半向けの主力ブランド『組曲』につなげるために、ジュニアの時代に『組曲』ブランドのファンをつかみ、ブランドイメージを刷り込んでいきたい」と説明する。主要アイテムの価格帯は、ジャケット・ブルゾン=14,000~16,000円、カットソー=4,300~9,900円、ニット=6,900~11,000円、パンツ=9,900~13,000円、スカート=9,900~15,000円など。このように大手アパレルは長い年月を費やして築いてきたブランド力を最大限に活用し、ターゲット別にブランドを変え、価格帯をきめ細やかに揃えることで、「母娘二世代マーケット」を開拓すると同時に、近い未来に主力ブランドの顧客になるであろうジュニア世代に向けたプロモーションにも力が注がれている。

オンワード樫山
キッズ・デビュー

2000年8月、代官山アドレスの開業と同時に同施設の「レジデンスサウス」2階に誕生した美容院「KIKUSHIMA」では、開店と同時に親子でサービスを受けられる「モアキッズシステム」を実施し、人気を集めている。例えばカットメニューなら「親=シャンプー&ブロー込み、子供=1人無料カット、ドライ込み」ショート5,500円、ロング6,500円という「モアキッズ専用料金」となる。同システムは幼児~小学6年生の子供をもつ母親専用のサービスで、子供は2人目から1人につきプラス1,000円で利用できる。通常、大人のカット料金は5,500円~、小学生以下のカット料金は2,500円。

同店代表の菊島さんは「モアキッズシステム」を考案した理由を「以前務めていたサロンで、25~30歳の女性を中心に担当していたが、ある時、ヤングミセスの客足が止まった時期があり、調査したところ、妊娠や出産によるものだった」と前置きし、「さらに足が遠のいたヤングミセスに聞き取りをしたところ、出産後、子育てが忙しくなることに加え、『子供を連れて行けるサロンがない』という声を聞き、早速、当時のサロンで子供を連れて通えるシステムを実施した」と語る。「KIKUSHIMA」ではオープンと同時に菊島さんが以前の店で考案したシステムを導入し、そのサービスは代官山界隈でも知られる存在になった。中心となる利用客は母親と子供のペアが多く、母親の年齢は25~45歳と幅広い。じっとしていない幼児のカットはプロでも難しいとされているが、菊島さんは「美容師の師匠にあたる方から、『美容師はオールラウンドでなければ務まらない』という言葉を聴き、幼児のカットもきれいにできなければプロではないと思い立った。子供の頃から母親と同じサロンを利用し、大人になってもそのサロンに通ってもらえる可能性もある」と説明する。

KIKUSHIMA
美容院「KIKUSHIMA」 美容院「KIKUSHIMA」

■ショップ&イベント連動型のジュニア雑誌の活況

ジュニアマーケットをターゲットとするアパレル業界と共存を図るジュニア雑誌にも勢いがある。老舗は1986年創刊の「ピチレモン」(学研)。同誌は1995年から「女の子が最初に手にする女性誌」というキャッチフレーズのもとにファッションを中心に据えた雑誌に転換。1997年には、ジュニア向けファッション誌「ニコラ」(新潮社)が創刊。2001年8月には「メロン」(祥伝社)、同年10月「ラブベリー」(徳間書店)が創刊。これらのジュニア雑誌には以下のような多くの共通点が見られる。

ジュニアマーケットをターゲットとするアパレル業界と共存を図るジュニア雑誌にも勢いがある。老舗は1986年創刊の「ピチレモン」(学研)。同誌は1995年から「女の子が最初に手にする女性誌」というキャッチフレーズのもとにファッションを中心に据えた雑誌に転換。1997年には、ジュニア向けファッション誌「ニコラ」(新潮社)が創刊。2001年8月には「メロン」(祥伝社)、同年10月「ラブベリー」(徳間書店)が創刊。これらのジュニア雑誌には以下のような多くの共通点が見られる。

(1)読者に親近感と憧れを抱かせる専属モデルの起用
「ピチレモン」では専属モデルを「ピチモ」、「ニコラ」は「ニコモ」、「メロン」は「メロモ」と命名。モデルの頭文字だけを残した「○○モ」という呼称は後発のジュニア雑誌でも踏襲されている。専属モデルは誌面だけでなく、雑誌主催のイベント、アパレルメーカー主催のファッションショーや握手会にも登場する。一例として挙げると、現在、ドラマやCMでも活躍している大沢あかねちゃんは「ピチモ」。

(2)誌名をもじった読者の囲い込みで連帯感を創出
「メロン」→メロンっこ(会員は「メロンぐみ」)、「ニコラ」→ニコラっ子、「ピチレモン」→ピチレっ子(会員は「ピチレCLUB」)。こうした愛称は、読者の世代的な連帯感を生み出すために活用されている。例えば「ピチレモン」では読者を10~15歳(メインは13歳)と定め、ローティーン=「ピチレモン世代」とネーミングしている。

(3)盛んな読者との交流イベント
ジュニア雑誌の大きな特徴のひとつが「読者参加型」を貫いている点。1999年、「ニコラ」が実施した編集部と読者との集い「読者解放日」は恒例イベントへと成長した。以降、ジュニア雑誌が主催するイベントが花盛りとなる。「ニコラ」主催「読者解放日」は毎年3月に開催。今年は3月27日、恵比寿303で開催。「参加型マーケティング」の導入は、ジュニアマーケットを把握する上で不可欠となっている。

(4)アパレルメーカーとの誌上タイアップを重視
誌面に登場するモデルが着用する洋服はすべてアパレルメーカーのもの。アパレルメーカーにとってジュニア雑誌は貴重なプロモーションチャネルであり、ファン獲得の重要なツールになっている。

(5)オリジナル商品などのライセンス展開に発展
「ニコラ」を発刊する新潮社が伊藤忠商事と提携し、2002年4月、原宿に開いたのがジュニア向け衣料・雑貨・化粧品を取り揃える「ガール・イズ・ガール・バイ・ニコラ」。出版社と商社が提携して小売業に参入するケースは前例がないが、同誌編集長の宮本さんは「ローティーンのマーケットは確実に広がったが、供給されている商品はまだ少ない。マーケットをもっと知ってもらいたい、参入できるシステムを提供したい、という思いでリアル店舗の出店を思い立った。雑誌とリアル店舗でマーケットのトータルなサポートが担える。オープン以降、雑誌やネットで連動し、大きな手応えをつかんだ」と語る。

一方、「ピチレモン」を発行する「学習研究社」はローティーンに向けての情報発信基地を目指し、4月29日、「キディランド原宿店」B1Fに、ローティーンの女の子たちに安心できる情報を直接伝えるために気楽に足を運べる情報発信型のファンシーショップ「ピチレショップ」をオープンする。同社広報室によると、「学研トイホビー」と共同で「ピチレモン」の商標、ロゴ、「ピチレモン」が使用権利を有するキャラクター等の商品化事業をスタートするという。同社では2001年度から、スニーカーやブーツ、バッグ、コスメセットなど商品化の実績がある。「ピチレショップ」では雑誌と連動したコーナー作りとショップオリジナル商品の開発を手がけていく予定。

ピチレモン ニコラ メロン ラブベリー

昨年創刊した「メロン」は4月3日、原宿クエストホールで初のイベント「メロンハッピーパーティー」を開催する。専属モデル「メロモ」による春のファッションショー、2002年にデビューしたガールズ・ユニット「BOYSTYLE」(ボーイズスタイル)などのライブ、「メロンガールグランプリ」受賞者決定のほか、協賛各社によるブースが出店される。また、ジュニア向けイベントに飲料メーカー、化粧品メーカー、通信会社などのブースが出店するのは珍しい。同イベント事務局の山西さんは「今回のイベントは、読者への感謝を込めたサービスイベントであり、かつ新規読者発掘のイベント。『メロン』はジュニア世代のファッション誌を強く意識しているので、イベントはファッションショーやミニコンサートが中心。ファッションメーカーだけでも8社、ブランド数で12ブランドのファッションショーを予定」と説明する。さらに、ファッションショーはライブとコラボレートしている点が特徴で、例えば「ブルークロスガールズ」(ナルミヤインターナショナルの新ブランド)+BOYSTYLE(アミューズ)、トドラー世代からローティーンにシフトするブランド 「チャビーギャング」+ルートφ(ヨン)(吉本興行)、エッジの効いたTシャツが人気の「トランスエロティックモード」+沖縄アクターズスクールユニットなどが予定されている。また、同日「第2回メロンガールグランプリ最終選考会」が開かれ、最終審査に残った4人の中から「メロンガール」を決定。グランプリに選ばれた女の子は、「メロン」のモデルとして活躍する。山西さんは「後発ゆえに誌名を認知してもらうことが大切。一方では、次世代に商品を訴求したいと考えているメーカーに協賛を仰ぎ、次のマーケットの主役になる世代に携帯電話や飲料、化粧品を知ってもらういい機会にもなる」と、ファッション以外のメーカーへのアプローチに意欲を見せる。

学習研究社「ピチレモン」 新潮社「ニコラ」 祥伝社「メロン」 徳間書店「ラブベリー」
ガールズ・ユニット「BOYSTYLE」 ガールズ・ユニット「BOYSTYLE」

■元気な女の子が「主役」を務めるジュニアマーケット

前述の「ピチレモン」が年2回募集している読者モデルには毎回5,000人以上の応募があるという。読者からモデルに“変身”し、観られる側にまわることを望むジュニア世代は多く、近年では音楽、舞台、モデルなど幅広いジャンルで活躍する素地が整ってきた。渋谷エリアには昨年創立50周年を迎えた名門劇団「劇団ひまわり」(恵比寿)が本部を構えている。

4月26日~5月11日、青山劇場で開かれるミュージカル「アニー」は、本年で18回目を迎える。親子で観劇できるミュージカルとして青山劇場の演目としては恒例になっており、集客力も高い。両親がいなくても勇気を失わず、自らの手で人生を切り開いていく主人公のアニーは11歳の設定。同じ舞台に立つ28名の子供たちの応募(8~15歳の女の子たち)は毎年10,000通を超えるという。「アニー」のパンフレットやポスターなどクリエイティブを担当する「インディゴデザインスタジオ」(神宮前)代表で、アートディレクターの高木さんは長年に渡ってオーディションを見続けてきた感想を語る。「オーディションを受ける女の子はみんな元気。ちゃんと目標を持っている子ばかりで、多くの人に見られることに気後れはない。また、おしゃれにも敏感。彼女たちは大勢の大人に混じって稽古を続けていくことで、社会性を身につけていくし、きちんと自己表現できるようになっていく。厳しい世界だが、主演の女の子たちは楽しく稽古を続けている」。

主演の「アニー」はダブルキャスト。11歳の下垣真香(まどか)さんは「みんなで歌ったり、踊ったりすることがとても楽しい。歌と演じることが大好きなので、『アニー』では特に演技を観て欲しい」と抱負を語る。もう一人の主演、10歳の仲原舞さんは「オーディションの最中には心から受かりたいと思った。お金を出して観てもらうので、一生懸命がんばる。ダンスが得意なので、特にダンスシーンを観て欲しい」と話す。彼女たちのようにきちんとした目標を定め、自身の才能を磨き、表舞台に登場していくローティーンは少なくない。

青山劇場
「アニー」オーディション 「アニー」オーディション

■「ジュニアシティ」1周年を迎えた「ナルミヤ」の新たなコラボレート

2002年3月25日、「109-2」がリニューアルし、ジュニアマーケットを対象とした「ジュニアシティ」が開業してちょうど1周年を迎える。「ジュニアシティ」は「ナルミヤインターナショナル」(本社:渋谷区)が「エンジェル・ブルー」など自社の人気ブランドを集積したフロアの名称。同年8月には同ブランドの文具を揃えた専門店「レインボーパーク」を開業。その後、「ジュニアシティ」を追随するフロアがファッションビルやショッピングセンターに相次いで誕生したことは記憶に新しい。小学高学年から中学生の「ジュニア」が消費の主役として躍り出たその牽引者が「ナルミヤインターナショナル」であることは広く認知されている。デフレ時代に高品質・高価格のキーワードを掲げ、長く「空白の市場」と呼ばれたマーケットを成長分野に押し上げた功績は大きい。

さらに同社は相次いで次の手を打ち、コラボレートを展開している。例えば2002年11月には、同社と「ワコール」はジュニア向けインナーウェア分野で商品開発、マーケティングなどライセンス企画による共同開発を決定した。展開の開始は2003年秋冬物(7月)からで、商品構成はブラジャーを中心に約30アイテムの展開を予定している。「ワコール」は共同展開について「ジュニア女性のアウターウェアで圧倒的な支持を持つナルミヤインターナショナルのデザイン力と、ジュニアに向けてのインナーウェアでも品質・機能等での優位性をもつワコールの商品力と技術力をコラボレーションにより、ジュニア市場の確立と活性化を図る」と公表している。

一方、新ブランドの開発にも精力的に取り組む。「NOT SWEET、BE COLL!」をコンセプトに掲げ、女の子の可愛らしさとクールなかっこ良さをミックスした、クールなストリートスタイルを提案するニューライン「ブルークロスガール」のイメージモデルにガールズ・ユニット「BOYSTYLE」を起用、4枚目のマキシシングルのジャケット写真では同ブランドのアイテムを着用しているほか、3月26日に「109-2」屋上で開催された「ジュニアシティ1stアニバーサリーイベント」にもライブ&ファッションショーに出演。当日はファッションショーのモデルと「BOYSTYLE」による撮影、握手会が催され、会場は熱気を帯びた。また、「レインボーパーク」では、前出のジュニア雑誌「ピチレモン」による「キラキラスナップ」と題した撮影会が開かれた。さらに5月3日にはデザイナーのサイン会が予定されている。

ナルミヤインターナショナル ワコール
109-2 ジュニアシティ ジュニアシティ ナルミヤインターナショナル

■ジュニアマーケットに挑む新興勢力の戦略

2月22日、「ラフォーレ原宿」5階にローティーン世代をターゲットとしたショップ「girls power manifesto(ガールズ パワー マニフェスト)」1号店が誕生した。店名を意訳すると「女の子元気宣言」。同店を運営する「A-MISH(アーミッシュ)」(本社:渋谷区)はレディースブランド「アルゴンキン」を手掛けるアパレルメーカー。「ラフォーレ原宿」や「渋谷パルコ」などでショップ展開する「アルゴンキン」は、アラーキーこと荒木経惟氏にポスター撮影を依頼するなど、独自のプロモーションを展開している。「girls power manifesto」は「スクール&スポーティ、そしてガールズテイスト」をコンセプトに掲げてスタートしたブランドで、同社は1号店に続き、3月1日に「町田109」「札幌4丁目プラザ」「丸井柏店」(千葉)に出店、3月8日には「天神ビブレ」(福岡)、「宇都宮109」(栃木)へ出店した。立ち上がり1ヶ月間に合計6店舗を出店した同社代表のスズキさんは「『ナルミヤ』さんのお陰で、日本の子供たちがファッション分野で大人になり、追随するブランドが出やすくなったのは事実。そこで、当社としては違うアプローチで、残るブランドを作っていきたいと考えた」と話す。

スズキさんは「このブランドの誕生には『フリフリカンパニー』と出会ったことが大きく影響している」と口を開く。同ブランドは数多くの人気キャラクターを世に送り出してきたキャラクター&デザイン会社「フリフリカンパニー」(本社:渋谷区)とコラボレートし、クマをモチーフとした「インディゴ」や元気のいい女の子キャラ「ジンジャー」、眼鏡をかけた男の子キャラ「ロジャー」などのキャラクターを前面に押し出しているのが特徴。また、店頭にモニターを設け、キャラクターが動画で映し出されるなど、グラフィックを最大限に活用している。「フリフリカンパニー」は「A-MISH」関連ウェブサイトの制作と「girls power manifesto」のグラフィク制作を担当している。スズキさんが「フリフリカンパニー」と出会ったのは昨年のこと。「『アルゴンキン』はブランドとしてインディーズでいたいと思っていたが、大きくなるにつれてインディーズであり続けることが難しくなった。そこで昨年から新たなブランドを考えていた。現在のジュニアは日本で最もパワフルな世代。しかし、見えないが、ストレスも多い。ある意味では病んでいるとも言える」と、スズキさんは「girls power manifesto」誕生の背景を語る。「ジュニアマーケットを調べ、本物のグラフィックを用いれば彼女たちを癒せるかもしれないし、真のグラフィックを見る目を養ってもらえれば感性も豊かになるし、次の世代に託す何かが提供できると考え、『フリフリカンパニー』とのコラボレートを決めた」。さらに、同ブランドの「インディゴ」「ジンジャー」「ロジャー」などのキャラクターは物語を成しており、「ストーリーを洋服の上で、店舗で表現している」という。「ラフォーレ原宿」1号店ではオープンを記念して「ホワイトインディゴ」が限定発売されているほか、次なるキャラクター「ビル」も近々登場するという。

ラフォーレ原宿 girls power manifesto(ガールズ パワー マニフェスト) A-MISH(アーミッシュ) フリフリカンパニー
girls power manifesto(ガールズ パワー マニフェスト) girls power manifesto(ガールズ パワー マニフェスト) girls power manifesto(ガールズ パワー マニフェスト) girls power manifesto(ガールズ パワー マニフェスト)

閉塞感が蔓延する今日の日本で、ジュニアマーケットを支える女の子たちの元気さは際立っている。男の子がリストラや不況に苦しむ大人や父親の姿を見て、やや萎縮しているように見えるのとは反対に女の子たちは、各々がほのかな光明を見いだしているかのように映る。それは彼女たちが自己表現の方法や場所を探し当てているからに相違ない。女の子たちのキーワードは「おしゃれ」と広義の「タレント性」なのかもしれない。男の子より心身ともに成長の早い女の子は、ファッションに目覚めるとともに「見られること」を意識し始める。「モーニング娘。」同年代や妹世代の女の子にはジュニア雑誌の読者モデルやミュージカル出演など「狭き門」ではありながらも、才能と努力次第で自己表現の場を勝ち取ることができる。彼女たちは目標を持っているからパワフルなのだろうか。

渋谷周辺のジュニアマーケットは、大手メーカーと新興勢力のせめぎあいが続く。「渋谷」対「原宿」の主導権争い、ファッションビルのジュニアマーケットへの対応力強化、ジュニア雑誌のシェア拡大のためのタイアップ・プロモーションなどが同時並行的に展開されているのも特徴。少子化を背景に可処分所得の高い「母と娘」は“不況”をダイレクトに感じることなく、消費の主役に躍り出ている。今後、ジュニアマーケットはファッション業界を核に、メディアやエンタテインメント業界ともリンクしながら、さらなるマーケットの拡大を目指す。

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