リリース発行企業:リベロジック株式会社

Webアクセシビリティの診断・コンサルティングを手がけるリベロジック株式会社(本社:東京都港区三田、以下「リベロジック」)は、都道府県47・政令指定都市20・東京23区の計90自治体を対象に、公式サイトのトップページに対するWebアクセシビリティの自動診断調査を実施しました。
調査には、当社が提供するWebアクセシビリティ自動診断ツール「Lente Scan(レンテ スキャン)」を使用し、WCAG 2.2 レベルAAを基準として2026年9月11日に実施しました。
その結果、87自治体(96.7%)のトップページで、自動診断によって判定できる範囲のアクセシビリティ上の問題が検出されました。
1ページあたりの検出箇所は中央値18.5箇所で、最も多い自治体では146箇所でした。
なお、自動診断で判定できるのはWCAG達成基準の3〜4割程度です。本調査はその範囲を対象としたものであり、個別の自治体サイトのアクセシビリティ全体を評価するものではありません。公表するのは全体の集計値のみとし、自治体ごとの診断結果は公表しませんが、自動診断で問題が検出されなかった自治体については、年末に公表する予定です。
調査結果のポイント

1. 90自治体中87自治体で問題を検出。すべての区分で9割を超える
90自治体のうち、自動診断で問題が1件も検出されなかったのは3自治体でした。
問題が検出された割合は、都道府県97.9%、政令指定都市100%、東京23区91.3%で、いずれの区分でも9割を超えています。
また複数の自治体で同じ種類の実装上の問題が繰り返し検出されました。
たとえば最も多かった検出項目(下記3)は、74自治体・すべての区分で検出されています。特定の自治体だけに見られる問題というよりも、Web制作の現場で広く利用されている実装パターンが結果に影響していると考えられます。
1ページあたりの検出箇所の中央値は、都道府県24箇所、政令指定都市21箇所、東京23区11箇所でした。
区分別の内訳(中央値)

2. 最も多かったのは4.1.2「名前・役割・値」
検出された問題をWCAG 2.2の達成基準ごとに整理すると、4.1.2「名前・役割・値」が92.2%、1.3.1「情報及び関係性」が63.3%と、特に高い割合となりました。
4.1.2は、ボタンやリンクなどのUIについて、その名前や役割、状態などがスクリーンリーダーをはじめとする支援技術に適切に伝わるかを扱う達成基準です。
1.3.1は、見出しやリスト、フォームなど、ページ内の情報や構造、要素同士の関係性がプログラムからも判別できるかを扱います。
いずれも、画面上では問題なく見えていても、支援技術の利用者には「何のためのUIか」「どういう構造のページか」が伝わらない類の問題です。
なお、達成基準によって、ひも付く検出項目の数は異なります。今回検出対象とした39種類の項目のうち、4.1.2には18種類、1.3.1には12種類がひも付いており、これらの基準は検出率が高くなりやすい点には注意が必要です。
達成基準別・問題が検出された自治体の割合

自治体に対応が求められているJIS X 8341-3:2016はWCAG 2.0に対応しており、2.5.8と1.4.10はJISの範囲外です。
ただし、JISと同じWCAG 2.0の範囲に限定しても、問題が検出された自治体は86自治体(95.6%)でした。
新しい達成基準を含めたことだけが、今回の高い検出率につながったわけではありません。
3. 個別項目では「リンクの遷移先にjavascript:」が最多
個別の検出項目で最も多かったのは、リンク(<a>)の遷移先に javascript: を記述する実装で、74自治体(82.2%)・のべ724箇所で検出されました。
この実装では、支援技術には「リンク」として伝わる一方で、実際にはページ遷移ではなくその場の操作が行われるため、利用者の予想と動作が食い違うことがあります。
ページ遷移に使うリンクと、その場で操作を行うボタン(<button>)を適切に使い分けることで解消できる実装です。
ただし、この実装をどの達成基準の不適合として扱うか、そもそも不適合として数えるべきかは、専門家の間でも判断が分かれます。
本調査ではこの項目を最も軽い「軽微」に分類しており、724箇所という数字は問題の深刻さではなく、こうした実装が広く使われていることを示す数字として捉える必要があります。
調査方法

本調査では、オープンソースのアクセシビリティ検証エンジン「axe-core」と、リベロジックが独自開発した「Lente Detect」を併用しています。
数値は2026年9月11日時点の診断結果を集計したものです。診断エンジンや判定基準の更新などにより結果は変動するため、経年比較を行う際には同じ条件での測定が必要です。
本調査の結果は当社ツール「Lente Scan」の判定ロジックに基づくものです。自動診断には誤検出が含まれる可能性があるほか、使用するツールや設定が異なれば検出結果も異なります。検出された個々の問題が達成基準の不適合にあたるかの最終的な判断には、人による確認が必要です。
調査結果の詳細
達成基準別・検出項目別の集計や調査条件など、今回の調査結果の詳細は以下のレポートで公開しています。
Webアクセシビリティ自動診断による一斉調査 / 2026年9月 自治体トップページのアクセシビリティ実態調査
同じ基準で、自分のサイトを確認できる「Lente Scan」
本調査に使用した「Lente Scan」は、URLを入力するだけでWebアクセシビリティを自動診断できるツールです。
登録不要・無料で利用でき、本調査と同じ診断エンジン・判定基準(WCAG 2.2 レベルAA)で、自分のWebサイトを確認できます。
Webアクセシビリティ自動診断:Lente Scan
Lente Scanでは、オープンソースのaxe-coreと、自社開発の「Lente Detect」を組み合わせて診断します。
また、すべての検出結果には、IAAP認定ウェブアクセシビリティスペシャリスト(WAS)が整備した辞書に基づく日本語の解説を付与しています。
自動診断では判断できない項目については「人の確認が必要」として明示し、機械で確認できる領域と、人による確認が必要な領域を分けて表示します。
無料利用でも検出結果をすべて確認できます。
有料のProプラン(月額2,980円・税抜)では、検出結果ごとのAI修正案の生成、スマートフォン幅(320px)を含む複数画面幅での診断、PDFレポート出力、診断履歴の無期限保存などを利用できます。