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渋谷で原発テーマの映画「100,000年後の安全」上映-連日ほぼ満席に

原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物に迫った「100,000年後の安全」より

原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物に迫った「100,000年後の安全」より

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 フィンランドの原発に迫ったドキュメンタリー「100,000年後の安全」が現在、渋谷「アップリンク・ファクトリー」(渋谷区宇田川町、TEL 03-6825-5502)で公開されている。

「オンカロ(隠された場所)」と呼ばれる施設に「世界で初めて」カメラが潜入

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 今秋同館で上映を予定していた同作。福島原発事故の行方に注目が集まる中、「何が正しい情報かわからないこともあり、原発に関する知識を得る事を必要としている人が多い」(アップリンク社長の浅井隆さん)と考え、急きょ上映を決めた。

 フィンランドのボスニア湾岸に位置する島「オルキルオト」に、世界で初めて原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場の建設が決まった。岩を削って地下に造られる「オンカロ(隠された場所)」と呼ばれる同施設に「世界で初めて」カメラが潜入した。同作では「10万年たたないと安全にならない」とされる放射性廃棄物を埋蔵したことや危険性を、未来の人たちに「確実に警告できる方法があるのか」を問う。

 メガホンを取ったのはコンセプチュアル・アーティストとしても活動するマイケル・マドセン監督。自らが施設内に潜入し、同プロジェクトの実行を決定した専門家たちに「未来の子孫の安全性」について問いかけている。同作は昨年のパリ国際環境映画祭グランプリなどの賞を受賞している。

 同館では当初、40席の劇場で1日1回上映していたが連日満席だったことから、現在は70席の劇場で1日3回上映(土曜以降は2回)している。各地の劇場でも公開が始まっているが、今でも「昼と夜の回は人があふれている状況」だという。「ミニシアターに初めてくる方、(普段は少ない)大学生のグループや高校生や中学生の親子連れ、ビジネスマンも目立ち、(原発が多い)フランスやアメリカなどの外国人も来場する」

 「放射性廃棄物、いわゆる原発から出る『ゴミ』をどう処理するかを描いている。日本はまだそれを考える余裕がないかもしれないが、例え明日原発が止まっても残る問題で、その方法は日本ではまだ決まっていない」と浅井さん。「原発賛成・反対とは別の問題で、賛成派も反対派も同じように、その『ゴミ』をどうやって安全になるまで保管するのかを一緒に考えなくてはいけない」とも。

 鑑賞料は、一般=1,600円、学生=1,400円、シニア=1,100円ほか。そのうち200円を東日本大震災の義援金として寄付する。

 円山町のミニシアター・コンプレックス「Q-AXビル」(円山町)2階の劇場(商興場)「オーディトリウム渋谷」では26日まで、山口県上関町の原発計画を追ったドキュメンタリー映画「ミツバチの羽音と地球の回転」(鎌仲ひとみ監督)を上映している。

 3月11日まで同館3階の「ユーロスペース」で公開していた同作は、翌12日から同所で上映の予定だったが、東日本大震災発生を受け上映が見送られていた。その後、上映を希望する声が寄せられたこともあり、今回の上映が決まった。20~30代の女性が中心だが、最近では年配客の来場も増え、連日満席に近い状況だという。鑑賞料は、一般=1,700円、大学生・専門学生=1,400円、シニア=1,000円ほか。24日18時の回の上映後に鎌仲監督のトークショーも予定。6月にはユーロスペースでアンコール上映される。

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