ポイ捨て2,000円、ごみ箱未設置5万円の罰則――渋谷区は12月18日、来街者の急増により増えるごみのポイ捨てに対する改正条例について会見を開き、長谷部健区長は来年4月の施行に向け、今後街なかにもポイ捨て禁止を啓発するフラッグなどを掲出し、ポイ捨てを減らしていく意向を明かした。
「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」として、今月10日に渋谷区議会で改正条例案が可決。来年4月1日に施行され、周知期間を経て6月1日からは罰則として過料も科される。区は迷惑行為などを防止するためハロウィーン対策でも区長会見を開くなど広報活動で一定の効果を得てきたことから、ポイ捨て対策でも同様に、キービジュアル掲出や訪日外国人向けに多言語にも対応するなどして周知を広げていく。
条例の一部改正では、ポイ捨てごみの多くが飲食料品の容器や包装類であることから、渋谷駅・原宿駅・恵比寿駅の駅周辺の繁華街を対象に、コンビニやカフェ、ファストフード店、キッチンカーなどの店舗に、ごみ箱の設置を義務づける。ごみ箱の設置場所は、購入客が容易にごみを捨てることができる店舗の出入り口付近で、他店ごみを捨てられてしまうリスクもあることから、店内でも可。これまで自動販売機にはごみ箱の設置義務があったが、コンビニやカフェへの設置規定はなかった。
設置義務を怠った事業者には5万円の過料を科す。勧告→命令→公表を経て、過料を科す。
事業者への罰則と同時に、ポイ捨てを行った人に対しても、2,000円の過料を科す。区ではこれまで、路上喫煙者に対して多言語対応可能な喫煙ルール啓発員が24時間区内を巡回し、年間1万7000件近く(昨年度)の過料処分実績もあることから、このノウハウをポイ捨ての罰則にも生かしていく。
会見では、これまで区が基本としてきた「自分のごみは自分で持ち帰る」などの啓発活動では健全な環境を維持できなくなったことが、今回の改正条例の主な原因とし、区内のポイ捨てごみに関する現状については、義務化の対象となる店舗のごみ箱設置率は68%と説明。今年7月に行った調査では、ポイ捨て者の割合は外国人52%、日本人48%だったという。
長谷部区長は2003(平成15)年、原宿・表参道を中心にごみ拾いなどの活動に取り組むNPO法人「グリーンバード」を立ち上げ、初代理事長も務めた。「地域と連携した啓発活動の効果もあり、2015(平成27年)年辺りにはごみは減っていて、一つの理想だった」と自身の経験も踏まえ、条例だけでなく「一緒に取り組んでいけないかと各商店街とも話している。ごみ箱設置に当たってスポンサーを募るという考えもある。なるべく住民税を使わず効果的に啓発していけたら」などと続けた。
区による広報活動は改正条例施行前の3月から特に力を入れ、ハチ公前広場の憲章ボードや商店街のフラッグなども使いビジュアルを掲出。「海外メディアにもアプローチを図っていきたい」(長谷部区長)とも話し、周知に努めていく構え。