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デザイナー丸山敬太さん、母校・渋谷区立神宮前小学校でTシャツ作り授業

洋服を作る過程などを伝えた丸山敬太さん(中央奥)

洋服を作る過程などを伝えた丸山敬太さん(中央奥)

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 ファッションデザイナー丸山敬太さんが6月12日、母校の渋谷区立神宮前小学校(渋谷区神宮前4)の児童とTシャツをデザインする取り組みを始めた。

児童たちの質問に応える丸山さん

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 丸山さんは文化服装学院卒業後、アパレル企業に勤務。1990(平成2)年にフリーランスとなり、以降「DREAMS COME TRUE」などミュージシャンや俳優の衣装デザインも手がけるようになった。1994(平成6)年に自身のブランド「KEITA MARUYAMA」を立ち上げ、東京コレクションデビュー。1996(平成8)年に南青山に旗艦店を出店。翌1997(平成9)年にパリコレクションデビューするなど世界的に活動している。

 同ブランドが今年4月20日にデビュー30周年を迎えたことから、記念プロジェクト「丸山百景」を立ち上げ、さまざまな取り組みを進めている。「渋谷区立神宮前小学校デザインプロジェクト」と題する同校での取り組みもその一環で、区立小中学校で本年度始まった探求学習「シブヤ未来科」として実施する。

 丸山さんは原宿で生まれ育ち「この街に対してすごく思い入れがあり、ふるさとと言ってもいい原宿で何かしたい」と考えるとともに、「30年やってきたことを振り返りつつ、これからは未来につなげていかないと意味がないと思った。子どもたちに伝えられるのが一番いいなと思ったことと、彼らが持っている自由な発想が逆に僕に足りないもの、そこが混ざっていくことが大事だと思った」と、共創プロジェクトを持ちかけた。

 同校の5年生(約60人)と取り組むデザインプロジェクトでは、7月までに全5回の授業を行う。児童がデザインしたTシャツを実際に商品化し、9月に予定する展覧会で販売を目指す。初回となったこの日は、自己紹介に始まり、コレクションのテーマを決めるための「イメージワード」を挙げるところから、そのイメージをチームに共有するためにビジュアル化する「イメージボード」の制作、洋服全体のデザイン、生地や色、柄のデザイン、パターン(設計図)の制作、サンプルの制作、モデル撮影まで、自身の洋服を作る工程を紹介した。

 2回目以降は児童たちは10チームに分かれて、アイデアボードの作成、デザインの制作などを進め、都度丸山さんがフィードバックを行い最終的に販売する作品を決める。デザインの仕事について「物を作ることはそこに必要としている人がいる、必要とされている。目的に向けて形を作っていくことや物を構築していく作業」と解説し、手書きのデザインや写真のアレンジ、文字など「会場で売られるということ以外はとても自由」と話しつつ、販売されることから「仕事だと思って頑張ってほしい」と呼びかけた。

 授業中には質問コーナーが設けられ、幼少期に母親が洋服を作っていたことや絵を描くことが好きだったことからファッションデザイナーを目指したことや、「誰かの人生のどこかに自分が作ったものがあるのがすごく面白いと思う」点をやりがいとして挙げた。

 丸山さんがデザイン監修している同校の標準服(制服)に関する質問も飛び、校庭にある水車や表参道のけやき並木など都心でありながら「自然豊かですごく緑が多い場所で、皆が伸びやかに過ごしてくれるイメージを頭に入れて」デザインしたことや、神宮前小の頭文字「J」の文字をデザインしたエンブレムについて「おしゃれな方が良いな」「見てもらったときに褒められるものになったら」などの点を考えたと明かした。

 小学生との取り組みは初で、授業開始当初は「緊張する」とこぼしていたが、「すごく楽しかった」と笑顔を見せ、「100人いれば100通りの考えがあり感性があるから正解は一つじゃない、自分のやりたいこととか、いろいろなバリエーションがあることを分かってほしい。心の奥底にある火種みたいなものをうまく燃やしてあげることができたら」と意欲を見せる。

 「丸山百景」では9月に「遊覧会」と題して表参道ヒルズとラフォーレ原宿で展覧会を同時開催するほか、9月~10月にかけてカフェや生花店、アートギャラリーなど原宿の街のさまざまな店とのコラボレーション企画も予定。丸山さんは「自分がやってきたことを見てもらうことと、どうして・どうのようにやってきたのかを伝える30周年の一年になれば」と話す。

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