学ぶ・知る

SHIBUYA109で服飾学生の作品展示 アップサイクル服で社会課題表現

館内に展示する学生の作品。中央が1位に選ばれたドレス

館内に展示する学生の作品。中央が1位に選ばれたドレス

  • 9

  •  

 ファッション専門学校「文化服装学院」(渋谷区代々木3)の学生が社会課題をアップサイクルファッションで表現した作品の展示が2月27日、渋谷のファッションビル「SHIBUYA109 渋谷店」(渋谷区道玄坂2)で始まった。

古着を切り刻んで作った布でドレスを作った1位の作品

[広告]

 同校と施設を運営するSHIBUYA109エンタテイメント(道玄坂2)、古着店「西海岸」を運営する日本ファイバー(福岡県)の産学連携企画。2021年に館内に出店した同校の学生(当時)が立ち上げたブランドのポップアップストアをきっかけに連携。本年度はカリキュラム内容や発信内容をブラッシュアップした。

 ファッション流通専門課程1年生の「ファッションビジネス」カリキュラムの一環として、昨年9月下旬から取り組んだ。320人が52チームに分かれ、それぞれで社会課題を見つけ、その背景や原因として起こる問題などを深掘りし、未来に向けたメッセージを込めて、日本ファイバ―から提供を受けた古着550点を使って洋服を作りコーディネート。1月に同校で公開プレゼンテーションを行い、同校学院長、日本ファイバ―、SHIBUYA109エンタテイメント担当者らが、「テーマ発見・分析力」「アップサイクル度」「ビジュアルクリエーション力」など5項目を基準に審査した。

 選考で選ばれた入賞3チームなど14チームの作品を同施設内に展示する。1位に選ばれたのは、「若者の自殺について」を取り上げたチーム。「負の感情」を表現するため、暗い色の古着約20着を細かく切り刻んでから布に再構築してからドレスを制作。上半身部分には、明るい色の古着を切り刻んだ端切れで作った腕や頭をモチーフにした装飾を取り付け「常に誰かに守られている」というメッセージを込めた。

 社会課題に対してクリエーション力を表現できたことや、作品単体で見てもインパクトがあることなどから1位に選ばれた。チームリーダーの肥後空我さんは「時間がかかり大変だった」と振り返りつつ、「小さな嫌な感情が積み重なって、大きな負の感情が集まったという思いを表現した。自殺の原因はちょっとしたことかもしれないけれど、小さな積み重ねだということを伝えたい」とコメントしている。

 このほか、デニムのオーバーオールから作ったコルセット、ベロアパンツから作ったセーラーカラー、トップスをつなぎ合わせたスカートで表現したセーラー服風の洋服、複数のシャツで作ったアーム・レッグウオーマーなどをコーディネートした「ブラック校則」を取り上げた作品なども。ライターで燃やしたり手で破いたりして「残酷さ」を表現するなどした白いワンピースや、迷彩柄のジャンプスーツにブルゾンの片袖、複数のリボンを結び心臓をイメージしたブローチなどを付けたジャケットに、シャツやブラウスなどで作った「ガスマスク」、ウクライナの民族衣装「花冠」を使ったヘアアクセサリーを合わせた「若者の戦争に対する関心度の低さ」を取り上げた作品なども並ぶ。

 同校のファッション流通専門課程専任講師・高橋優(まさる)さんは「社会課題を解決していくことは難しいかもしれないが、来館されるZ世代を中心とした方々が『自分たちの世代の人がこういうことを考えている、こういう風に思っていても良いんだ』など、考えるきっかけになれば」と話す。

 展示場所は2階の「COCO SPOT」(3月4日まで)と3階~5階のエレベーターホール。3月11日まで。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース