見る・遊ぶ

表参道でトークセッション「AIとファッションの未来」 その場で画像生成も

会場では画像生成の様子をデモンストレーション

会場では画像生成の様子をデモンストレーション

  • 10

  •  

 画像生成AIがファッション業界にもたらす影響や可能性、問題などについてファッション関係者らがトークセッションを行うイベント「ジェネレーティブAIとファッションの未来 #2」が8月31日、表参道ヒルズ(渋谷区神宮前4)のスペースオーで開かれた。

ワンピースの生成過程を公開

[広告]

 今月28日に開幕したファッションイベント「Rakuten Fashion Week TOKYO(楽天ファッション・ウィーク東京)2024S/S(東京コレクション)」の公式イベントとして開催。AIをはじめとしたテクノロジーとファッションとかけ合わせたサービス・プロダクトの開発を手がけるOpenFashion(港区北青山3)CEOの上田徹さんをはじめ、バイオリニストでファッションブランド「PANORMO(パノルモ)」のデザイナーでもある花井悠希さん、東京ファッションデザイナー協議会(CFD TOKYO)代表理事の久保雅裕さんらが登壇した。

 トークセッションの冒頭に登壇した上田さんは、自社が提供する生成AI活用支援ツールで今月β版の提供を始めた「Maison AI(メゾンエーアイ)」の活用事例などを挙げながら、画像生成AIについて説明。その後、花井さんらも交え、その場で文字を打ち込むなどしてドビュッシー作曲の「月の光」をイメージしたワンピースを画像で生成するデモンストレーションを行った。

 登壇者らは「文章を打ち込むと20~30秒ほどで画像が生成される。ほぼ実写と見分けがつかない」などと驚き、上田さんは「現実感がないのは欠点だが、逆に言えば『ファンタジー』なデザインが作れる。デメリットをメリットとして捉えられる」とサービスのメリットを語った。

 デモンストレーションではまず、花井さんが手がけるパノルモのブランドコンセプトをAIに学習してもらうことから始め、「ドレスではない」「(バイオリンを弾くために)右側に比重を置く」などの設定情報を入力。次に「月の光」のイメージ画として夜空の青色などが表現された画像を生成し、さらに細かいキーワードなどを入れ、出来上がりをブラッシュアップさせていった。

 花井さんは「写真共有サービスをのぞくような感じでアイデアとして見られるのは良いヒントになる。著作権上、実際にあるものをまねるよりはクリアに使えるのでは」と話し、「最終的に決めるのは人間。デザイナーがいなくなるわけではない。いいとこ取りして使えたら自由に楽しめそう」とも。

 今後、画像生成だけでなく広報などの人材がAIに代わる未来も予測されるなか、東コレを主催する日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)の古茂田博事務局長は「加速度的に成長してあっという間に人に取って代わるものにもなり得る」とスピード感を実感していると言い、「ファッションやデザインは曖昧なもの。その中でデザイナーなどが日夜いろいろなことを想像して具現化していく作業をしている。それに対して、たった数十秒で具現化されていくのがAI」とし、「新しいものが生まれてくるのは良いことだが、何年も学んで経験して苦労してきたデザイナーに対して、たった数日でデザイナーになれる人が出てくるとなると、どんな風に進化するのかが見えてこない」と本音も漏らした。

 議論も多い著作権侵害については、「類似物を作るのはNGだが、偶然の場合は著作権侵害にならない。意匠権に関しては、そもそもファッションでは発生していないものが多く、生成した画像に手を加えることで侵害にはならない」と上田さんが自身の見解を述べた。

 2024年春夏の東コレでは、今回採用したキービジュアルのデザインに画像生成AIを活用。壇上では同ビジュアルが作られた過程や背景などの詳細はじめ、伊ヴォーグなどのファッション誌のカバーにもAIが使われた事例を紹介。クリエーティブ分野での可能性や、ECのバーチャル試着サービスでのAI活用などにも触れ、2時間のトークセッションを終えた。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース